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ナンパは慎重に! ~騎乗隊第一中隊の反省会~

書籍発売時の特典用に書き下ろしたものです♪ 

使わなかったのでこちらにUPです。

本編78話目、ヴィオラをナンパした直後のナンパメンズ。

「びっくりしたなぁ」

「ああ。まさか特務師団長夫人だとは思わなかった……」


 戦の前線に行く騎士たちを励まし送り出す『激励会』で、ヴィオラをフィサリス公爵夫人と知らずにナンパしてしまった騎乗隊第一中隊の隊員たち。

 彼らに囲まれ困り果てていたところをアルゲンテア執政官に助けられ、貴賓席へと案内されるヴィオラの後姿を、騎乗隊の面々は呆然と見送っていた。

 騎士としての実力もあり(騎乗隊第一中隊は実力がなければ所属できない)、顔もなかなか整っているので、街に出ればモテモテ、若いご令嬢にもキャーキャーと騒がれていたはずなのに。『俺たちはイケてんだぞ』という何とも小物感たっぷりな自信は、ヴィオラの前にもはや粉々に粉砕されてしまった。

「俺たちのこと知らないどころか、全っ然反応しなかったよなぁ」

「そりゃ、オレらそこそこ顔がいいって自信はあるけど、さすがにフィサリス団長にかなうわけねーよ」

「超名門貴族、超美形、超エリート。天は二物も三物も与えすぎだろ贔屓も甚だしいわっ!」

「あんな超美形を毎日見てたら、俺らフツメンにしか見えねーわな」

「だな」

 敗因はそこかー、と全員で溜め息をつくが。

 こそこそと額を寄せ合い、先ほどのナンパについて話し合っていると、


「あ~奥様ってば受難だったよなぁ」


 後ろから声が聞こえた。別に自分たちに向かって声を掛けられたわけじゃなかったが、聞こえよがしに大きな声で独り言を言っているようなので嫌でも耳に入る。『奥様』というタイムリーな単語にびっくりして一斉にそちらを見ると、ヴィオラを目的の場所に連れて行って、また戻ってきたアルゲンテア執政官だった。

「「「「「ア、アルゲンテア執政官……」」」」」

「いやあ、フィサリス公爵夫人ってホント美少女だよなぁ。うんうん。声を掛けたくなるのもわかるけど、そんなんアイツ(・・・)にバレたら大変なことになるし~。最近のアイツ(・・・)の溺愛、ハンパないもんな~」

「「「「「……」」」」」

『公爵夫人は特務師団長に溺愛されている』という事実を聞かされ、驚愕に固まる面々。

 そしてあくまでも騎乗隊メンツの方は見ずに、ひとり言を続ける(てい)のアルゲンテア執政官。

「旦那からも溺愛され、なおかつ旦那の部下たちからも溺愛されだもんな~。部下といえば、特務の女性騎士たち(綺麗どころトリオ)は、妹みたいにかわいがってたっけ~」

「「「「!!」」」」」

 特務師団の女性騎士といえば、ものすごく美人だがものすごく強くて怖いと有名だ。その綺麗どころトリオもかわいがっている……。そもそも特務師団自体がエリート集団だ。そんな彼らに大事にされている美少女おくさまをナンパしてしまったという事実を知らされ、愕然となる騎乗隊メンズ。


 ナンパ知られたら、オレらすげーエグイ作戦(こと)させられんじゃね?


 顔色が青を通り越し白になりかけたところで、

「ま、あいつら前線にいるから、このことを知られなくて命拾いだね~」

 最後まで彼らを一顧だにせず、飄々と独り言をつぶやき続けたアルゲンテア執政官は、ニヤニヤしながら再び会場に消えていった。


「だ、大丈夫だ。ほら、執政官も言ってただろ? 特務は前線(げんば)にいるんだから!」

「そ、そうだよな」


 とみんなで励まし合ったのだが。


 甘かった。


 数日の後には、彼らのわずかな希望は、『一番槍で逆落としやってこい』という前代未聞の作戦の前に、木っ端微塵に砕け散ったのだった。

「「「「「アルゲンテア執政官、容赦ネェな‼」」」」」


ありがとうございました(*^-^*)

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