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お留守番の過ごす日々

活動報告より♪

ヴィオラと旦那様がご領地に旅行に行ってる間の、王都の屋敷の侍女さんたちのブレイクタイム。会話中心です。

 休憩時間を、使用人さん用ダイニングで寛ぐ侍女さんたち。(ただしシフト制なので全員集合とはならず)

 今日はミモザも参戦。


「奥様たち、いつまで領地視察に行ってるのかしら」

「う~ん、旦那様の休暇が14日あるって言ってたから、終わるまでには帰って来るんじゃない?」

「それ、アバウト過ぎ~。あーあ、もう二日も経ったのかぁ」

「まだ二日でしょ」

「旦那様がいないのは茶飯事で慣れてるから気にならないけど、いつもいる奥様がいないと退屈っていうか、物足りん」

「「「「「確かに」」」」」」

「最近、先代様たちの目を盗んでいろいろやってたじゃない。あのスリル感がたまんなかったのに」

「アンタ、ツワモノね」

「奥様がいたら単調な日々も楽しくなるっていうかさぁ」

「「「「「あ~、わかるわ~」」」」」


 各々飲み物の入ったマグカップ片手に、今日のおやつをつまみながらのおしゃべりタイム。

 いつも元気に屋敷内をうろついて……げふげふ、動き回っているヴィオラがいないと、屋敷は途端に静かになる。明るく元気なヴィオラがいないと寂しい侍女さんたちは、ヴィオラの不在を嘆く。


「奥様たちがいないからって、こっちの生活が変わるわけでもないしね~」

「ロータスさんはいないけど、ダリアさんはバッチリいるもんね」

「ダリアさんいるから、いつも通りの生活だもんなぁ」

「それに大旦那様たちもいるからさ。変わんないよね」

「そう言えば大旦那様、いつまで執事ごっこやるんだろ? 食材とか納品に来た商人さんたちがビビりまくってるよ」

「ほんと、商人さんたちの反応面白いよね~! 商人さんたちからすれば『前公爵出てきたよ!?』ってなるわな~」

「びっくりするわな~」

「「「「あはははは~!!」」」」

「気がすむまでさせてあげればいんじゃない? 私たちには害がないし」

「まあね~」


 各々先代の執事ごっこを思い浮かべて温かい笑みになっている。


「あ~、ご領地ってどんなとこなのかなぁ~」

「う~ん、よくわかんないね」


 そして話題は領地のことへ。


「私、ロージアから出たことないからなぁ」

「私ロージアじゃなくて地方出身だけど、ご領地とは全然違う地方だからなぁ」


「くっ……『旦那様付き侍女』争奪じゃんけん大会で負けたのが悔やまれるっ!!」

「「「「「悔やまれるっ!!」」」」」


 ダンっと、一人が悔しそうにテーブルを打った。

 慌ててマグを抑え押さえながら、周りの侍女さんたちも同意している。


「私なんて、身体がこんなんじゃなかったら絶対連れて行ってもらえてたのにぃ~!」


 グイッとハーブティーを一気にあおり、ミモザが嘆いた。


「ミモザ、それは仕方ないことじゃん。タイミングが悪かっただけだよ」

「それにそんな身体のアンタを連れて行ったら、魔王様降臨間違いなしじゃん」

「そんなの無理無理」

「え。何が無理なの?」

「いろいろ」

「ぐっ……」


 生温かい微笑みの侍女さんたちに宥められるミモザ。


「まあまあみんな落ち着けー。ローザに報告書を書くように言っといたんだから、もうすぐロータスさんの報告書と一緒に届くよ。そしたら領地のこともわかるんじゃない?」

「そうだった!」

「楽しみだな~」


 各々領地を想像してニマニマしている。


 数日後、領地のローザから届いた報告書で、ピエドラの町で起こったアレコレを知り、青くなったり安堵したり盛り上がったりするのは別の話。




「みなさん、そろそろ休憩は終わりですよ」


 ワイワイ盛り上がっているところに、休憩終了を告げるロータスの声が聞こえた。


「はーい! ってロータスさん?! え?! へっ?!」

「「「「「ちが~う!! 大旦那様!!!」」」」


 ついいつもの癖で返事をしたものの、ここにロータスがいるはずない。ハッと気付いて入り口を見れば…………。

 

 にやにやと笑っている先代公爵と、苦笑いの夫人の姿が。


「ロータスのマネをしたんだけど、似てた?」


「「「「「にっ、似てましたっ!!」」」」」


「ぃよっしゃ!」

「ごめんなさいねぇ、うちの旦那さんが」


 すぐさま直立不動になる侍女さんたち。いちおう謝る夫人。うれしそうな前公爵。

 しかし二人がいつからそこにいて、自分たちの話を聞いていたのか気が気でない侍女さんたち。


「ど、どのあたりからそこにおられました?」

「ん?『ご領地ってどんなとこなのかなぁ~』ってとこから」


(セーフ!)


 恐る恐る尋ねた侍女に、あっけらかんと答える前公爵。侍女さん一同にホッとした空気が流れた。

 そして、


「「「「「では、お仕事に戻りま~す!」」」」」


 そう言って、蜘蛛の子を散らしたように退散していった。


ありがとうございました(*^-^*)

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