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ヴィオラの瞳・とある宝石商の語る伝説 ~いただきものです♪~

相互ユーザー、相沢洋孝サマからいただきました!

本編106話目くらいの関連話です。

お話のずーっとずーっと後の世の話。二人はすっかり伝説になってました♪

 これはこれは……、お目が高いですなあ。このサファイアを選ぶとは……。

 これはヴィオラ・サファイア、それも最上級のランクを示す『ヴィオラのヴィオラ・アイ』と呼ばれるものですぞ。


 このヴィオラの瞳に素晴らしい逸話が残されております。


 事の起こりは数百年前の物語でございます。


 始まりは我が国に名だたるフィサリス公爵家当主サーシス様と平凡ながらも質実剛健、質素倹約を旨としていた誇り高きユーフォルビア伯爵令嬢ヴィオラ様の御成婚でございます。

 当時、軍務に熱心で有能なる特務騎士団団長たるサーシス様のお側には素性定かならぬ踊り子がいたそうであります。


 今では、その踊り子のことはどこの誰ともわかりませぬが、当時も今も諸説ある話でございます。


 曰く、我が国の貴族の叛意を調べるために王家より派遣された間者である。

 曰く、我が国の王家が他国との交易における交渉を有利に進めるために雇われた諜報担当である。

 曰く、サーシス様は他国の密偵により篭絡され、弱みを握られ、情報を流している

 曰く、相手は他国の密偵であるのは間違いないが、サーシス様はそれを篭絡し、偽情報を流している


 などなど……。まあ、数百年前のお話でございますからなあ。事の真偽はもはやわかりますまい。


 さて、ヴィオラ様のご実家、ユーフォルビア伯爵領はこれといった特産物はなくも歴代の当主は野心に燃えることなく、強欲に走ることなく、民は平穏無事に過ごしておりました。


 ところが結婚式から遡ること3年ほど前、歴史的な大飢饉により伯爵領の領民に塗炭の苦しみが訪れたのでございます。

 そんなところに質実剛健にして質素倹約を旨とするがゆえに、社交界にあまり出ることのなかったヴィオラ様の見目麗しき姿の噂を聞きつけたサーシス様が民を想う心優しきヴィオラ様のご実家である伯爵家へ融資する代わりに結婚を申し込んだそうです。


 ある意味、政略結婚でありますが、それを気にすることなく、ヴィオラ様は職務に励まれるサーシス様を陰ながらに支え、屋敷の使用人皆様に愛される素敵な公爵夫人へとなられたのでした。


 さらに時は進み、サーシス様の側にいた謎の女性はいつの間にか、姿を消し、戦争を始めとする激務ゆえにできなかった新婚旅行の代わりにへと公爵領への視察旅行へと赴かれた際の出来事でございます。


 フィサリス公爵領ピエドラの町、国内でも有数のルビーの産出を誇る街を訪れた際にヴィオラ様は偶然にも見学なされた鉱山よりサファイアを見つけられたのです。


 産出量の少ない天然ルビーの代わりに、比較的産出量の多いサファイアを加工して人造ルビーとして流通させていたのですが、それはもったいないと呟かれたヴィオラ様の一言がヴィオラ・サファイアを生み出したのです。ヴィオラ様の美しく宝玉のように青き瞳の如く、素敵な宝石であるなら妻の名をつけようとサーシス様は判断なされました。


 さすがにこれはヴィオラ様も恥ずかしがり、諌めようとしましたが、愛の力ゆえにか、押し切られ、サファイアの産出も始まりました。


 このピエドラ産サファイアのうち、高品質な物はヴィオラ・サファイアと呼ばれ、そのヴィオラ・サファイアの内、一定以上の大粒な物をヴィオラの瞳として重宝がられ、まさに愛の結晶ということで王家献上の品として収められたヴィオラの瞳は王太子妃、王妃の冠にも使われ、今も伝わる国宝となっております。


 この宝玉はヴィオラの瞳とようやく認められるほどの大きさでございます。それでも、これが今、市場に出ている、ほぼ唯一といっていいほどの数少ないヴィオラの瞳でございましょう。


 逆に、あまりに希少ゆえに、この大きさが市場で流れることのできる限界の大きさでしょう。

 これ以上の大きさはよほど裕福な貴族、大商人、王家の皆様ではないと買えぬものとなりますな。


 ちなみに花には花言葉というものがあるように、石にも石言葉というものがございます。

 サファイアの石言葉は慈愛、貞淑、誠実。まさにヴィオラ様にふさわしい言葉でございますが、我が国の場合、ヴィオラ・サファイアに認められし物には永遠の愛という言葉も付くそうです。


 ヴィオラの瞳ほどの名のある宝玉ではございませんが、高品質なピエドラ産出のサファイア、ルビーはもちろん取り扱っておりますぞ。ささ、愛するお方への手土産にどうぞ御覧くだされ。


 それとお気を付けくだされ。中にピエドラ産の宝石と銘打って販売しておる物の中にはまがい物がいくつかあるようです。それをさせぬためにピエドラの町の職人たちはヴィオラ様を意味する伯爵家、サーシス様を意味する公爵家の紋章を全ての宝飾品の何処かへデザインの一部として目立たぬように彫り込むそうです。その彫り込む技法は門外不出、知ろうとした者は公爵家の庭師に消されるとかいうお噂。まあ、庭師に暗殺の技能があるとは思えませぬが……。もちろん当店ではキチンとしたルートで公爵家の方々と取引しております。


 このサファイアとルビーがあなたの愛の成就を手助けできることを祈っております。


相沢サマ、ありがとうございました!!


24話目に『エステ隊の実況中継』を割り込み投稿しています♪

本日(9/23)の活動報告にも小話を載せる予定です。よろしければお立ち寄りくださいませ~!

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― 新着の感想 ―
>質実剛健、質素倹約を旨としていた誇り高きユーフォルビア伯爵 ヴィ「えぇー、ただ貧乏だっただけなんですけど…」 ( ̄▽ ̄;)…そんなヴィオラ様の声が聞こえてきた気がしました…物は言い様?
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