二人のかたち
活動報告より♪
本編104話目の裏話♪ 117話目の手つなぎエスコートはこうして生まれた……!
夕方、二人でピエドラの別荘の居間を出たところで。サーシスが何気なくヴィオラの腰に手を回しエスコートしようとしたところで、はたと動きを止めたヴィオラ。
「エスコートって、どうしていつも腰に手を回すんでしょう?」
「え? いきなりなんですか?」
小首をかしげて何やら真剣に考え込むヴィオラと、突然のことにきょとんとなるサーシス。
「いえね、何だかくっつきすぎで歩きにくくて嫌いなんです、私」
ヴィオラはサーシスの手をつまみ、しれーっとはがす。
「ん~、でも一般的ですけどね」
そうはさせじとまた元に戻すサーシス。
「なんだか後ろから押されているような?」
「……押してませんけど」
「拉致られ感があるとか?」
「……拉致ってませんけど」
「そして、くすぐったい」
「まあ、それは人それぞれですから。では腕を絡めるのは?」
サーシスは一旦ヴィオラの腰から手を放し、少し腕をずらしてヴィオラが腕をからめるのを待つ。
それをじっと見つめるヴィオラ。
「それもくっつきすぎて歩きにくいんです」
「適度な距離感が欲しいわけなんですね、ヴィオラは」
「はいっ!」
「じゃあ、手をつなぐのでいいんじゃないかな?」
「う~ん、それはそれで恥ずかしいですけど」
「でも手繋ぎだったら、くっついたり離れたり、距離感自由自在ですよ?」
サーシスはヴィオラの手を取り、離れたりくっついたりして見せる。
「おおっ!! 本当ですね!!」
目からうろこ的に、パッと顔を輝かせるヴィオラ。
「でしょう?」
にっこりほほ笑むサーシス。
「でも、公の場でも通用しますか?」
「別に腰に手をまわさないといけないとか、腕を絡めないといけないとか決まりはないんですから、いいじゃないですか(※)。むしろ僕たち二人だけのかたちって感じで、僕としては嬉しいですね」
「二人のかたち云々はどうでもいいですけど、じゃあ、それでいいです」
サーシスが強調したことをしれっとスルーするヴィオラ。
「二人だけのかたちです! では僕の、ヴィオラのエスコートは手つなぎで決まりですね! ということで、さっそく」
「……はい」
あくまでも二人だけのかたちを強調するサーシスに、折れたヴィオラがこくんと頷く。
こうして手を繋いで、別荘から出て行く二人だった。
※ あくまでもフルール王国の社交界では、です。
今日もありがとうございました(*^-^*)




