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あの日の公爵家

本編89話目と90話目の間のお話。

ヴィオラがお風呂でのぼせた! それを救出したダリアとステラリアでしたが、その時他の人たちは……?

裏説51、52話目の後の公爵家の様子です。

バタバタしています。

* ロータス *


 奥様に見送られ部屋に入る旦那様に従い控えていると、しばらくした頃、奥様の部屋のあたりから悲鳴に似た声が聞こえました。


「なんだ?!」

「さあ……?」


 少し声が遠かったのでわかりにくかったのですが、おそらくダリアの声だと思われます。あの冷静なダリアが叫ぶとなると、あまりいい予感がいたしませんね。


「ヴィオラの部屋から聞こえたようだが?」


 旦那様の濃茶の瞳が鋭くなりました。


「おそらく」

「ヴィオラに何かあったのかもしれない」


 そう言うと旦那様が素早く部屋から飛び出しました。私もそれに続きます。

 旦那様が扉を力任せに叩いていますが、しかし奥様の部屋は中から鍵がかけられているようで、開きません。


「ちっ、なんで鍵かけやがった?! おい、ヴィオラは?!」

「取り込んでおりますので、少々お待ちくださいませ!」

「はあ? おい、ヴィオラは?!」


 中からステラリアが応えましたが、やはり開けてもらえない様子。やれやれ旦那様。こういう時こそ日頃の信用というものが生きるのですよ……とまあ、そんなこと今はどうでもいいですね。失礼いたしました。

 ということは、今、中では何か旦那様にはお見せできないような状態がおこっていると考えられます。時間の経過をかんがみるに、今頃奥様は湯殿を使われていたのではないでしょうか。ということは……。しかし中にはダリアとステラリアがいます。あの二人がいればそうそうおかしなことにはならないでしょう。そう判断した私は、何があっても対処できるように人手を集めるべく、使用人専用ダイニングに急いだのでした。



* ステラリア×カルタム *


 旦那様が奥様をベッドに運んでくださったので、私と母さんで奥様を夜着に着替えさせました。奥様のお着替え中は、もちろん旦那様は母さんに強制撤去……もとい移動させられてました。


「奥様に夜着をお着せいたしますので、旦那様はしばらく外でお待ちください」

「はぁ? なんで!」

「……また鍵をかけましょうか?」

「……外で待ってる。終わったら呼んでくれ」


 そしてロータスさんに呼ばれて駆け付けてきた他の侍女たちが奥様の世話をし始めたので、私はその隙に父さんの部屋に向かいました。

 朝の早い父さんは、母さんよりも早く寝ています。

 眠っている父さんの布団を容赦なく引っぺがし、


「起きて、父さん!!」


 と耳元で大きな声を出せば、


「ふわっ!? びっくりした~!! なんだい、リア?!」


 と、びっくりして飛び起きる父さん。起きたところで素早く、


「奥様が湯殿で倒れちゃったの!! 私たちが熱出した時に作ってくれるアレ、作って!!」


 お願いという名の強制をすれば、さすがというかなんというか、この寝込みの襲撃にもかかわらずシャキッと目を覚ました父さんは、


「奥様の一大事かい? わかった、すぐ作ろう」


 そう言ってベッドから抜け出して、使用人専用の階段に向かいました。

 そして厨房で、父さん特製の水分補給薬を作ってもらったのです。



* ミモザ×ベリス *


「なんだか階下が騒がしくない?」

「さあ」

「奥様になにかあったのかしら? そうじゃないとこんなに騒がしくならないでしょ」

「……ちょっと様子を見てくるから、ミモザは寝てろ」

「はあい」


 ――数分後――


「奥様が、喉が渇いたからと水を所望したそうだ」

「ふうん? それにしちゃあえらく騒がしかったような?」

「大勢で水を取りに行ったからじゃないか?」

「??」


 ――嘘も方便。



ありがとうございました(*^-^*)

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