救助!
活動報告より♪
本編89話目と90話目の間、ステラリア視点のヴィオラ救助話ですw
滅多にない母の焦った悲鳴に、私も続いて湯殿に駆け込むと、そこには湯船の縁にぐったりとしなだれかかった奥様が見えました。
「お、奥様?! 具合でも悪くなられたのかしら?」
「わからないわ。とりあえず湯船から運び出さな――」
私が後ろから声をかけたことで、一瞬固まっていた母が再び動き出しました。いつも冷静沈着な母が、珍しく取り乱しているようです。それでもすぐに落ち着きを取り戻し、私に指示を出そうとした言葉を最後まで言い終えないうちに。
「おい! どうした!! ヴィオラに何かあったのか?!」
ドンドンドン、という扉を叩く音と旦那様の声が聞こえてきました。
ああ、そうよ、旦那様に奥様をここから運び出していただいたらいいじゃない! ……と思ったのはどうやら私だけで、
「リア、旦那様が部屋に入ってくるのを阻止! ちょっと鍵かけてきなさい」
キッと私を振り返った母が短くそう私に指示しました。
「えっ? ええっ?!」
え? なんで?? どうして??
どうして母がそんなことを言うのか理解できない私は、盛大に疑問符をとばしながら戸惑っていると、
「さっさとする!」
「はいっ!」
母の鋭い言葉に、私はよくわからないままに返事をしました。一流の使用人として叩き込まれた『とにかく主が一番』『私的なことは後から』という鉄則が体に染みついてます、私。詳しいことは後から聞けばいいし。
ここはとにかく母に言われた通り、まずは部屋の鍵をかけて旦那様をブロックしてから、
「取り込んでおりますので、少々お待ちくださいませ!」
「はあ? おい、ヴィオラは?!」
そう扉の向こうの旦那様に言うだけ言って、私は踵を返して湯殿に向かいました。
「早く奥様を湯船からお出ししましょう。とりあえずバスローブだけでも着せてしまって。そしたら鍵は解除」
「はいっ!」
今は緊急事態、とにかく母の指示に従おう。
私が上半身を支え、母が下半身を抱えて奥様を湯船から出しました。母と場所を交代して、バスローブを着せかけたところで、
「いいわ。鍵を開けて旦那様に事情を説明して」
「はい!」
ようやく鍵の解除が指示された。なんで旦那様を締めだしたのかは後で母に聞くとして。
カチリ。
ガチャッ!!
「何があった!? なんで鍵かけた?! ヴィオラは?!」
鍵が開いた途端、勢いよくドアを開けて旦那様が血相を変えて飛び込んできました。
ありがとうございました(*^-^*)




