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旦那様付き侍女Aの嘆き

活動報告より

 フィサリス公爵様――私たちは旦那様とお呼びしていますが、お若くて騎士団でもエリートで、それはそれは素敵な見目麗しい貴公子様です。そりゃあ、独身令嬢が旦那様を一目見ただけで目をハートにするくらいの。

 本来ならば、そんな旦那様に直接お仕えする私たちはとても光栄なのでしょうが、ちょっと素直に喜べないのが今の現実でして。


 旦那様はお仕事から帰って来ても、本館にはちょっとしか立ち寄りません。執事のロータスさんから今日一日の屋敷の報告を受けるだけで、すぐさま別棟に帰ってきます。それも気のない感じで聞き流しているだけ。

 まずここで第一段階がっかり。公爵家当主としてのお仕事放棄がはなはだしい! お連れ様と出会う以前は、若くてもしっかりとした旦那様でしたのに! 今はロータスさんやダリアさん、カルタムさんとベリスさんという各分野の長がしっかりしているから、何事もないですけど。


 そして別棟のリビングで寛いでいるお連れ様の元に直行します。


「ただいま、カレン!」

「あら、今日は早かったのね。ねえ見て、このネイル。とっても綺麗でしょ? この間仕立てたドレスに似合うと思わなくて?」


 旦那様はお連れ様にギュッと抱きついています。けっ。毎日毎日よくやるね。……すみません。私情を挟んでしまいました。

 コホン、旦那様。帰ってきて早々にいちゃこらするのは勘弁してほしいです。使用人と言えども、い・ち・お・う 私たちもいるんですよ。ええ、ええ、使用人は空気ですよ。私たちも『超名門公爵家使用人』というプライドがありますから、空気に徹していますけれど。

 ここで第二段階目のがっかり。どんだけデレてるんだよ、旦那様。普段の凛々しさなんて、かけらも存在してませんよ! ……これが本物のご正妻様でしたら、私たちだって「まあ、仲睦まじいこと! きゃ☆」と、微笑ましく見守れるんですけどねぇ。あ、でも当主としてのお勤めを放棄してたらダメね。

 しかし、旦那様が惑溺しているほど、お連れ様は旦那様に溺れてはいません。かわいそうですが客観的に見て事実です。今も、旦那様は大急ぎでお連れ様の元に駆け寄っていきましたが、お連れ様は先程施していたネイルがきれいにできたと惚れ惚れと見惚れているだけで、旦那様を見て「お帰り」とは言ってないですからねぇ!

 ですのでこんなふやけた旦那様を見ているのがつらい私たちからすれば、早く目を覚ましてほしいというのが一致した見解です。

 もうすぐ旦那様は結婚なさいます。 

 正妻様が来られても、この二人の関係はこのまま続いていくのでしょうか……?


今日もありがとうございました(*^-^*)

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