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護衛騎士長のつぶやき ~その時、外では~

本編66、67話目あたりの、公爵家護衛騎士長の視点で♪

「よし、無事旦那様たちは入店したな。では俺たちは店外で待機するか」


 フィサリス公爵家護衛騎士長である俺は、集まってきた部下たちにそう指示をした。

 今日は旦那様であるフィサリス公爵サーシス様とその奥様のヴィオラ様が王都を散策するということで、俺たち護衛騎士部隊と御庭番である庭師チームとで護衛をしている。しかし馬車や騎乗ならともかく、徒歩って……。




 ベリスたちが先回りしておかしなやつらがいないか見回り、俺たちは旦那様たちの周りでつかず離れず護衛する。

 なるべく視界に入らないように、同じ奴ばかりが近くに行かないように、入れ代わり立ち代わりするのはなかなか苦労した。

 しかし、そうやって側近くで護衛しているうちに、俺は新たな旦那様の一面を発見することができた。

 

 いつもはきびきびと、むしろ早足気味で歩く旦那様が、奥様の歩調に合わせてゆったりと歩くなんて!

 奥様が少しでも興味があったものを素早く察知するなんて!


 俺だけでなく部下たちも驚いてましたよ!




 パン屋にも、客に紛れて部下数名を配備した。


「パン屋の次はレモンマートルの菓子屋、だったな」


 パン屋の外で待機している間に、俺は次の予定を確認する。ロータスさんから聞いているのは、昼飯にダンディライオンのパン屋に行き、その後午後のお茶にレモンマートルの菓子屋へ行くということだった。後は気の向くままに散策するらしい。

 今のうちに菓子屋に先回りするか~と考えていると、


「レモンマートルの菓子屋が、特務師団の騎士たちに占拠されています!」


 という報告を庭師の一人が持ってきた。


「はあ?! どういうことだ?」

「よくわかりませんが、ユリダリス様以下、特務師団の面々が菓子屋内にいまして『店内の護衛は任せとけ!』と言っているそうです」

「それで、占拠しているということだが、旦那様たちの席はあるのか?」

「もちろん確保しているそうです」


 カフェを占拠して警護って……やることが豪快すぎないか、騎士様方。

 俺は超笑顔で親指を立てている、旦那様の腹心の部下であり友人でもあるユリダリス様の顔が容易に浮かんだ。




 旦那様たちについて菓子屋に着くと、庭師が言っていたとおり店内は満員御礼だった。一見するといつもの状態のように見えるが、実際は一般客に扮した騎士達。でも明らかに一般人(ろうじょ)がいるけどなんでだ??

 中は騎士団の連中が警護(ほんとかどうか怪しいが)しているから、俺たちは店外で行列している客を装って警護することにする。

 ちょっと店内を様子見するのに覗いた時、ちょうどユリダリス様と目が合った。

 ……やっぱりいい笑顔だった。


「あ~、中の人たち楽しそうですねえ」


 ちらちらと店内の様子を見る度に部下が嘆く。なんだか中は、いつのまにかパーティーの様相を呈してきていた。


「今度休みの日に来たらいいだろう。仕事できてもつまらんぞ」

「……中の人たち、仕事で来ているようには見えないんすけど」

「……それは言わない約束だろう」


 中の楽しそうな声を聞こえないふりをする俺たちだった。




 旦那様たちが店から出てきたので、俺たちもまた配置につこうとすると、


「こちら、お持ち帰りできなかった残りの分です」


 と言って、店員が菓子の入った箱を持って出てきた。

 何事かよくわからなかった俺は、思わず首を傾げたのだったが、


「あ~それ、団長からのお土産ですよ~。さすがに奥様一人に使用人全員分の菓子を持たせるわけにはいかなかったみたいで」

「なぜ奥様が持って?」

「奥様が持つと言ってきかなかったんです」

「そうなんですか」

「ということで『後はよろしく』だそうです」


 店員を追いかけて出てきたユリダリス様が説明してくれた。そう言えば奥様、店から出てくる時箱を持っていたな。あれは使用人への土産だったのか。


「そうですか。わかりました」


 俺が菓子箱を受け取っている後ろで。


「旦那様が……(ウルッ)」

「お土産……(ぐっ)」

「僕たちにまで……(きゅん)」


 さっきまで店外でやさぐれていた部下たちの目が潤んでいた。


今日もありがとうございました(*^-^*)


騎士長さん、年齢はアラフォーくらい。ロータスよりは年下で、ベリスより年上です。もとは騎士団にいましたが素質を見込まれ、前代様にヘッドハンティングされて公爵家にきました。ちょっと堅物、かな? まだヴィオラに陥落していない貴重な人www

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