暗躍するロータス
活動報告より。
本編59話目の裏側です♪ 書籍掲載分ですので、修正のみ。
まさか奥様が使用人に交じっているなんて露程も知らない商人ですが、今回の噂話はこんなところでするには不用意すぎると思います。もしかしたら公爵家にとって由々しき事態に陥ることも考えられるからです。
奥様は動揺されているのかオロオロされていますが、興奮した侍女たちはそれどころではない様子。やれやれ、これは教育のし直しが必要か。
まあそれはさておき、可及的速やかにこの噂話が本当かどうかを確かめねばなりません。
侍女たちには釘を刺し、奥様に暇乞いをしてすぐさま厨房を後にしました。
釘を刺したことで少しは落ち着きを取り戻したミモザが奥様についているだろうから大丈夫でしょう。
足早に向かったのは庭園にある温室。
「ベリス、仕事を頼みます」
言葉少なに無愛想な彼に言うと、
「わかりました。お庭番は」
「三人か……四人」
「わかりました」
私の意を汲み頷いたベリスは庭園に消えて行きました。
ものの数分もすれば弟子を連れて私の執務室に姿を現すでしょうから、私もそちらに急ぎましょう。
予想通り、私が執務室について一呼吸おいたかおかないかくらいでベリスは現れました。
『お庭番』たちを連れて。
「旦那様が王都の郊外に家を購入して若い愛人を囲っているという噂が出入りの商人からもたらされましてね。これが本当かどうかを調べていただきたいのです」
私が手短に内容を説明すると、
「最近の旦那様のご様子では、ありえないと思うのですが」
と呆れたような声を出したのは庭師長ベリス。庭師長でありお庭番の頭でもあるのですが。
「ええ、私もそう思いますが火のないところに煙はたちません。とりあえず調べておかねばならないでしょう」
「そうですね」
「旦那様には証拠が集まり次第連絡をしますので、できるだけ早急に散ってください」
「わかりました」
「よろしくお願いしますよ」
ベリスとお庭番たちは軽く目礼すると執務室を後にした。
まったくベリスの言うとおり、最近の旦那様は奥様に振り向いてもらおうと必死でしたからね。これは何かの誤情報だと思いますが、捻り潰さなければならない類だと厄介ですからね。調べておくに限ります。
しかしあの商人にはお仕置きが必要ですよね。
我が公爵家の大事な大事な奥様を動揺のふちに叩き落としたのですから……!
今日もありがとうございました(*^-^*)
お庭番=隠密




