足止め
活動報告より。
書籍掲載分ですので、加筆はしていません。掲載時のままUPです。
「ヴィオラは大丈夫か?!」
「奥様はまだご実家でございます」
「へ? だって『危篤』って」
「『危篤』ではございませんよ? よく見てください『帰宅』でございます」
ロータスが指すのは、僕の手に握りしめられていた伝言の用紙。すっかりくちゃくちゃだが。
そこには、
『okusama kitaku sugu kaere』
と書かれていたのだ。どうやら僕は早とちりして『ta』を『to』と読んでしまっていたらしい。恥ずかしいからスルーしよう。
「じゃあヴィオラは帰って来ているのか?」
「いや、ですから先ほど申し上げたようにまだご実家でございます」
「はあ?」
「こうでもいたしませんと旦那様は帰宅途中にユーフォルビア家に行かれるのが目に見えておりましたので」
「だめなのか?」
「家族の団欒を邪魔してはいけません。晩餐もこちらでご用意いたしますし」
「向こうで食べたらいけないのか?」
「家計を逼迫するようなことは」
「じゃあ食費をおさめれば……」
「モノより思い出でございます」
「……」
「プライスレスです」
「……」
「さ、晩餐の準備はできておりますよ。着替えもなさってください」
「……はい」
今日もありがとうございました(*^-^*)




