旦那様のリサーチ
活動報告より。
僕のやることにイマイチな反応しか見せないヴィオラをどうしたら喜ばせられるのかと思い、いろいろ考えた。でも僕が考えるものでは喜ばないのなら、ここはひとつ身近なものの意見を聞くのがいいかもしれないと思い立ち、使用人たちに聞いてみることにした。彼らならいつも一緒にいるので、僕の知らないヴィオラを知っているはずだからね。
~ ダリアからの聴収 ~
「ヴィオラの好みはどういったものなんだろうか?」
「奥様のお好みでございますか?」
「うん、そうだ」
「何の、でございましょう?」
「何でもいい。いや、そうだな、趣味だな」
「ご趣味でございますか……。特にこれと言って偏ってお気に召すものはないようでございますが、周りを綺麗にしたり飾ったりするのがお好きなようでございます」
「そうか。他に興味を示すものは?」
「調理などでしょうか。よく厨房でご覧になっておられます」
「わかった。ありがとう」
ダリアからの聴収でわかったことは、ヴィオラがきれい好きだということと料理が好きだということかな。
~ ミモザからの聴収 ~
「ヴィオラの好みを聞きたいのだが」
「奥様のお好みでございますか?」
「ああ。服装などなんでもいい」
「華美なものよりも清楚でつつましやかなものを好まれます。ごてごてとした派手なものよりもシンプルなものを選ばれます。これは総てにおいて共通しておりまして、服もそうでございますし、お食事にしてもでございます」
「そうか、なるほど。他には?」
「他でございますか……。お花などがお好きですが、こちらも素朴なお花の方を好まれるようでございます。見栄えのする花は総てお邸の飾りにしてしまわれて、ご自分のお部屋にはいつも目立たないけど可憐なかわいらしいお花を飾っておいでです」
「わかった。ありがとう」
ミモザからは、ヴィオラが派手に目立つものは好まず、つつましやかだということが判った。
~ ロータスからの聴収 ~
「ヴィオラについてロータスの分析が聞きたいのだが」
「私の、でございますか?」
「ああ、客観的に見てヴィオラがどういう人物か。僕よりも一緒にいる時間が長いからな。むかつくことに」
「まあ、そうでございますね、全体的なことを申し上げますと育ってきた環境のこともありますがつつましやかでいらっしゃいます。贅沢なことを好まれません」
「……そんな感じだよな」
「性格はとても気さくなお方です。われわれ使用人ともすぐに打ち解けてしまわれましたし」
「……僕には全然打ち解けてくれていないよな……」
「時間の問題でございましょう」
「それだけでない気がするのは気のせいか……?」
「お心当たりがございますなら、それを改善するよう努力なさいませ」
「ぐっ……」
「ああ、それに無駄な出費を嫌がられます」
「……」
「モノより思い出なのでございましょう」
「……」
「プライスレスでございますよ」
「……」
「……これから頑張ってくださいませ」
「……頑張る」
ヴィオラの身近な使用人たちの話を聞くに、心が折れそうになった。否、むしろ最後のロータスとのやり取りですっかりポッキリ折れたと言った方が正しいな。僕のやってきたことは全部ヴィオラの好みと正反対……っ!! いや、たまには強引な方がいいよな? そうだよな?
……これからはちゃんと周りを見て行動しようと心に誓った。
今日もありがとうございました(*^-^*)
書籍掲載分ですので、加筆はしておりません。