なんでそうなるの!!
活動報告より♪
本編38話目の裏話です♪ バーベナ様視点w
某貴族邸で行われている夜会。
今日もわたくしは完璧なのよ。
あの方のお好みそうな、しっとりとした臙脂のドレス。もちろん露出は高めに、自慢の胸はこれでもかと強調して。
腰のくびれはコルセットギリギリまで縛り上げてキュッとさらに細く。
髪はゴージャスに巻いて、お化粧も派手目にして。
完璧にあの方好み!!
よっしゃあ! と気合を入れていると。
「きゃあ! フィサリス公爵様がいらっしゃったわよ!」
「今日も素敵よねぇ」
「今夜はお一人みたいよ! チャンスじゃない?」
黄色い声でざわめきだした会場。ああ、あの方がいらっしゃったのね!
入り口を見ると、もう令嬢ども(と書いて肉食獣と読む)があの方に群がりはじめている。ああ、今日はあの目障りなオンナを連れていらっしゃられないのね。誰かが言ってたけど、今日はチャーンス!
「失礼。あら、ごきげんよう。失礼、どいてくださる?」
邪魔よ、おどきなさい。群がる女子群をぐいぐい掻き分けて、私はあの方の元へと急ぐ。
「まあ、バーベナ様!」
「ごきげんよう」
「今日もお美しく」
わたくしに気付いたどこぞの令嬢(と書いてザコと読む)が挨拶をしてくる。その声にまわりもわたくしに気付き出し、自然と道が割れた。おーほほ! それでよろしくてよ!
挨拶を適当に返して、遮るものなくとうとうあの方の元へ!
「サーシスさまぁ、お久しぶりですぅ」
ニッコリと全力の笑顔で微笑み、ちょっと甘ったるい声でご挨拶する。さり気なくサーシス様の腕に、自分のそれを絡めることも忘れずに!
「ああ、バーベナ嬢。お久しぶりです」
「お一人で来られるなんて。どうしてわたくしを誘ってくださらなかったのですかぁ?」
「約束していた人が急に来れなくなってしまいましてね。本当に急だったので、仕方なく私一人で来たんですよ」
「……」
いつも通りの麗しい笑顔でおっしゃってるけど、さり気なくあのオンナのことをアピールしてるわよね、それ。しかもしれっと腕は解かれてるし。むきーっ!!
……ごほん。取り乱してしまったわ。
いいのよいいのよ。だって聞くところによるとあのオンナ、身分も何もないらしいじゃない。しかもサーシス様よりも年上、若くもない。本当に美貌と体だけ。ふん! こっちはね、フィサリス家に次ぐ名門アルゲンテア公爵家の、しかも長女なんですからね! 地位も名誉も完璧なのよ!
おまけにサーシス様好みのスタイルだし。顔も、自分で言うのもなんだけどかなりイケてるわよ。
サーシス様のお好みは徹底的に研究させていただいたわ。ばっちり理解してるんだから!
サーシス様の隣に立つのは わ た く し よ ! サーシス様、早く目を覚ましてわたくしを見てくださいませ!!
なのに。
……なんで。なんでなのよ!?
サーシス様、ゴージャスで華やかな女がお好みじゃなかったのですかっ?
出るところは出て、締まるところは締まる。そんなメリハリバデーがお好きじゃなかったのですかっ?! きょぬー好きじゃなかったのですか!?
どうして貴方はそんな地味な女を「妻です」って連れてるの~?!
どうしてそんなひんぬーを連れてるの~!! しかもユーフォルビア伯爵家の娘ですってぇ?! 貧乏で家が傾きかけてるってもっぱら評判の! しかもそんな娘、パーティーでも見たことないわよ!!
むきゃ~~~っ!!!
間違ってる! こんなの激しく間違ってるわ!!
これは一言物申さずにはいられませんことよ!!
……そして後日。アルゲンテア家で行われた夜会でヴィオラに絡み、見事サーシスによって撃沈させられたバーベナであった。
今日もありがとうございました(*^-^*)
そりゃバーベナさん、選ばれないよ……www




