前公爵夫妻の証言 ~訪れてみたよ☆~
活動報告より
本編16、17話目あたりの裏側です♪
フィサリス前公爵は、引退したとはいえ、いろいろ忙しい息子に押し付けた公爵家のことを心配していたので、ロータスにちょくちょく邸の様子を報告させていた。サーシスについて然り、ヴィオラについても然り。……そして、愛人然り。
二人で仲良く並んで報告書を読んでいた前公爵夫妻。
「すごいね~。ヴィオラってば、結婚してひと月ほどでもう屋敷に馴染んじゃってるみたいだし」
「ロータスやダリアだけでなく、その他の使用人一同からも好かれているみたいですしね」
「本当にいい子なのかもね」
「そうですね」
「もう少ししたらあっちに様子を見に行ってみようか」
「いいですわねぇ! どんなふうにお屋敷が変わったのか見ものですわ!」
「だね~。……そしてあいつ、どうやって愛人のことを繕ってくるんだろうね」
それまで朗らかに微笑んでいた顔を一瞬でひっこめ、ニヤリと笑う前公爵。
ロータスの報告のおかげで、公爵家のことは離れた領地にいても詳しく把握している前公爵。唯一知らされていないのが、ヴィオラが毎日お仕着せを着て、使用人と一緒に楽しく動き回っていることだけ……。
結婚式から三か月後。
前公爵夫妻が久しぶりに訪れた公爵家は、すっかり様変わりしていた。
自分たちが領地に引っ越してサーシスだけがここにいた頃は、どことなくひっそりと静まり返っている感じだったのが、それが今回来てみれば、気が付けばそこかしこに緑や花が飾られていたり、手作りと思われるファブリックが置いてあったりと、明るい、暖かな空間に変わっていたのだ。
「これ、全部ヴィオラのおかげなのか?」
「でしょうね! こういうことは女性じゃなければ気がまわりませんよ」
「うちの使用人がでしゃばるわけがないしな」
「その使用人たちともすっかり打ち解けてるみたいですし……。あの無愛想なベリスにまで受け入れられてるなんて、なかなかないことですよ。私、ヴィオラのことすっかり気に入っちゃったわ」
「僕もだ。――後は、バカ息子だけ、か」
二人のいるところでは、サーシスとヴィオラは表面上は仲よさげにしていたが、やはりどことなくぎこちなさが漂っていた。主にサーシスの方が。本人たちは気付いていない様だったが、客観的に見るとわかりやすくて笑いそうになったくらいだ。
むしろ、ヴィオラと使用人が接するときの方が、肩の力が抜けているような気がしたくらいに。
「ほんとに。あの子にヴィオラの良さが気付けるかしら……」
「あいつがああなったのも、僕たちの責任でもあるからねぇ」
「そうですねぇ」
「今は静かに見守るか」
「はい」
まだ愛人と別れたという報告は来ていない――。
そしてヴィオラは、家事面でも合格点をもらった。
今日もありがとうございました(*^-^*)