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雨の日エステ 〜ミモザの思い〜


お仕えしている公爵様の結婚式の日。初めて見た花嫁様は普通のかわいらしい人でした。

 でも——宝石の原石でした。

 丁寧に櫛を入れたらツヤの出るストロベリーブロンドの髪。マッサージをすればバラ色になる頬。

 ちょっとお手伝いさせていただいただけで、超美形と名高い旦那様の隣に並んでも引けを取らない美少女に変身してしまいました。


 そのまま奥様付きの侍女になったのですが、この奥様、普通の『お嬢様』ではありませんでした。

 貴族のご令嬢って、ツンと取り澄ましたイメージだったんですけど、うちの奥様は見事にそれをぶち壊してくださいました。

 使用人(わたしたち)と一緒に掃除や洗濯はするわ、庭園の雑草の手入れはするわ。おまけに食事は私たちと一緒に使用人ダイニングで摂っていらっしゃるし!

 それをとても楽しそうにしているから、つい私たちも『ま、奥様が楽しそうだからいいか』って許しちゃってるんですけどね。


 だからといって使用人の真似ばかりではいけませんので、雨の日にはマナーレッスンやダンスのレッスンをしています。雨の日は使用人の仕事もできるものが限られるので、奥様が退屈そうにしていたのを見たロータスさんが考えつきました。

 公爵家の奥様になられた以上、お外で恥をかかないように気をくばるのも私たちの役目です。

「視線下げない! 笑顔を忘れずに!」

「はいい〜!」

 ロータスさんにはダンスをみっちり叩きこまれたら、

「茶器は音を立てないように」

「はいっ!」

 ダリアさんからテーブルでのマナーや、

「座るときはドレスをこう、皺にならないようふわっと……」

「うっ……ボスッとダイブしたい」

 普段の仕草などを厳しく指導されるので、1日が終わる頃には奥様は疲労困憊です。

 お気に入りのサロンのソファーでぐったりしている奥様を見ていると心が痛みます。

 私も奥様のお役に立てれば……!

 ああ、そうだ! 奥様をマッサージで癒すついでに磨きをかけるのよ!

 奥様、素材はすごくいいんですもの。中身はもっといいけど。

 だから、その中身にふさわしい外見に磨き上げましょう。

 私は『奥様磨き』の仲間を募りました。


 内側から滲み出る人柄の良さ。さらに外見も追いつけば、今は奥様を見向きもしない旦那様もきっとそのよさに気付いて振り向いてくれるはず——。




ありがとうございました(*^ー^*)


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