みられた?!
活動報告より
今日も天気だ掃除が楽し~♪
私は旦那様がお仕事に行っている間、使用人さんのお仕着せを着て、はりきって家事手伝いをしています。お屋敷は広いし、使用人さんの技術レベルは高いしで、ほんとやりがいがあって楽しいんですよね~!
私はご機嫌で、鼻歌交じりに廊下の窓を拭いていました。きゅっきゅっきゅ~♪ どんな小さな汚れも逃さないんですからね!
ストイックなまでにごしごしとガラス窓を磨き上げていると。
ばちっ。
ふいに誰かとガラス越しに目が合いました。
「?!」
「!?」
向こうも目を丸くしています。それは……
だ ん な さ ま !!!
ぎゃ~!! 見られた!! お仕着せ姿でガラス窓拭きをしている姿を!!
とりあえず私はしれーっと視線を逸らせて、何気ない風を装い掃除道具をまとめてその場を後にすると、疾風の如く私室に駆け込みました。
そっと扉を後ろ手に閉め、バクバクする心臓を鎮めようと深呼吸していると。そこにはダリアが待ち構えていました。
「旦那様、帰ってきたのね?!」
「急用とかで、先程。ミモザが奥様を呼びに行ったのですが……。奥様、旦那様とお会いになられたのですか?」
「ええ! というか鉢合わせたというか。お仕着せ姿を見られちゃったわ!」
「まあ。でもどうでしょうか。今の奥様はお化粧もしておられませんし髪型もおさげですから、若い使用人にしか見えないと思いますが。とにかくお着替えください!」
「わかったわ!」
大慌てで着替え、軽くメイクをして変身完了。
そこにミモザが、
「奥様! あ~、こちらにいらしたんですね! 旦那様がお戻りになられました!!」
と、私を呼びにきました。
「行きます」
私はいつものようにエントランスへ向かいました。
エントランスには、いつものようにロータスと話をしている旦那様がいました。
私の姿を見つけると、
「先程貴女をそこで見かけたような気がするのですが……?」
先程私がいた、車寄せに面した窓の方を見ながら、旦那様が聞いてこられました。ハイ。確かにいましたよ。まさか素直に頷けるわけがありません。
「いいえ? 私室で刺繍をしておりましたわ?」
可愛らしく(※当社比)小首を傾げて不思議顔を作ってみました。すっとぼけ作戦です。
すると旦那様は視線を泳がせて、
「いや、うん、まあ、私もこちらの使用人を全部把握しているわけではないですしね」
「?」
「いや、ひとり言です」
旦那様は自己完結されたのかしきりに頷いています。よかった~。どうやら他人認定してもらえたようです。
その後はいつものように社交辞令会話をしてから、旦那様は別棟に帰って行かれました。
私はこれから急いでアリバイフォローのための刺繍をせねばいけませんね。また旦那様にポケットチーフでも縫っておきましょうか。め、めんどくせ~とか思ってませんよ?
今日もありがとうございました(*^-^*)
第3話目に『旦那様付侍女の嘆き』を割り込み投稿しています m( _ _ )m