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レティちゃん囲んで一家団欒

活動報告より♪


本編177話目の元ネタです。お義母様視点。

 王都の本宅から『赤ちゃんが産まれた』という報告をもらった次の日。

 私たちは大急ぎでピエドラの別荘を出発したの。だって一刻も早く赤ちゃんに会いたいんですもの。

「どうしましょう、私も『おばあちゃま』ですわ! う〜ん、『おばあちゃま』がいいかしら、それとも『ばあば』がいいかいら?」

「いやいや、それはまだ早いよ。昨日産まれたばかりなんだし、おしゃべりできるまでにゆっくり考えたらどうだい?」

「いいえ! 刷り込みは大事ですわ。おしゃべりできないうちからも私が『おばあちゃま』だということを覚えてもらわないといけませんの。だって、毎日会えるわけじゃないんですから」

「はいはい」

 気が早すぎて、パパに笑われちゃったけど。




 髪や瞳の色はサーシスに、顔立ちはヴィーちゃんに似た赤ちゃんは『バイオレット』と名付けられていたわ。

 久しぶりの赤ちゃん、しかも初めての女の子。かわいくないはずがない!


「レティちゃん、おばあちゃまですよ〜」

「…………」


 まだ無反応だけど、こうやって毎日刷り込んでいくわよ!


 私とパパは、時間さえあればバイオレットの側にいるの。正直、ご招待されているお茶会なんて行きたくないくらい。


 バイオレットが産まれて七日経った。

 日に日に赤ちゃんらしく、かわいらしくなっていくバイオレット。ああもう、領地に帰りたくなくなってきたわ。(いや、帰ってください byサーシス)

 今日も晩餐の後、サロンにみんな集まってバイオレットを愛でている。

 バイオレットはクーハンの中で、一人機嫌よく指しゃぶりをして遊び中。いい子だわ〜。

 その横では、


「父上、そういえば気になっていたのですが、サファイアの産出はどうなっていますか? ルビーの出が悪くなったような気がしているのですが」

「ああ、ルビーの新しい穴を掘削中でな、そっちに注力してるから一時的に産出量が減っているだけだ、心配ない。サファイアも順調だ」

「そうだったんですね。それはきちっとこちらにも報告をあげてください」

「お、おう。すまんかった」


 サーシスはこの時とばかりに父親を捕まえて領地のことを聞いてくる。ふふふ、以前のあの子からは考えられない光景ね! 鉱山のことだけじゃなく、領地の治安のことも、自警団の仕組みを考えたりもしてるし。しかも今なんて、珍しくパパが言い負かされてるじゃない! だめ、ツボッちゃった。

 笑をこらえるけどダメね、肩が震えちゃう。


 それに、パパと二人で仕事の話をしていると思いきや、


「ヴィー。この話が済んだら、僕がレティを寝かしつけてこようか?」

「大丈夫ですよ〜。サーシス様はお仕事に専念してください」

「いやいや、レティをヴィーにばかり任せっきりはダメでしょ。それに僕だって、たまにはレティと一緒にゆっくりしたいし」

「あら、そういうことでしたらお願いしてもいいですか?」

「うん。じゃあちょっと待ってて」


 なんて、ちゃーんとヴィーちゃんにも気を使ってるの。やるじゃない、サーシス! 

 いいお父さんしてるのね、きっと。


 仕事にしても家庭にしても、サーシスのこの変わりよう。ヴィーちゃんのおかげとわかっていても、やっぱり息子の成長はパパもママもうれしいわ!




 私がサーシスやヴィーちゃんを観察してニマニマしていると、


「う〜……にゃぁ……」


 それまで機嫌よく一人遊びしていたバイオレットの機嫌の雲行きが怪しくなってきた。

 そろそろおねむの時間かしらね?


 よーし、パパの話が終わるまで、ここはおばあちゃまが抱っこしてご機嫌取りをしてあげましょう!


 抱っこできる〜とルンルンで私がバイオレットのそばに行こうとすると、


「おやおやレティ様、ご機嫌ななめでちゅね〜。オムツが気持ち悪いでちゅか? それともおねむでちゅか?」


 バイオレットの近くにいたロータスが、バイオレットの枕元に置いたガラガラを振ってあやしながら声をかけてたんだけど……。


 ロータス! 今、あなた、『〜でちゅね』って言ったわよね!!


 ここにいる全員の心の声が一致した瞬間ね。

 サーシス、ヴィーちゃん、うちの旦那さん、そしてここにいる使用人一同が呆気にとられながらロータスを凝視している。

 そのロータスは、視線に気付かずニコニコしながらバイオレットをあやしてる。


 どうしよう、面白すぎるっ!!


 しんと静まり返ったことに気づいたロータスが顔を上げて、ようやくこの状況を把握したみたい。

 みんなから一斉に見られていることに気付いたロータスは、こほんと一つ咳払いをしてから、

「レティ様をお部屋にお連れいたしますか?」

 すました顔でヴィーちゃんに言ってるけど、あなた、耳が真っ赤よ!

「……グフッ……う、え、サーシス様が連れて行ってくれるから……ブフッ……」

 笑いを堪えてるのが丸わかりなヴィーちゃんが途切れ途切れに答え、

「話も済んだし、僕が連れて行くから」

 サーシスもニヤニヤしながらバイオレットを抱き上げた。




 うん、今日もフィサリス家は平和ね!

ありがとうございました(*^ー^*)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 笑をこらえるけどダメね、肩が震えちゃう。 "笑い"をこらえるけどダメね、肩が震えちゃう。 では? [一言] 更新ありがとうございます。 やっぱりほのぼの楽しく読めます。
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