あの日のカレンデュラ様
表の話『第11話 襲撃☆』の裏側♪
ちょっと(かなり?)嫌な人なカレンデュラ様。
サーシスが結婚した。彼曰く『冴えない貧乏伯爵令嬢』と。
ま、彼の身分じゃ仕方のないことよね。私が正妻になるなんてまっぴらごめんだわ。
社交? めんどくさい。
私は毎日楽しければいいの。
結婚してもサーシスは以前と変わりなく別棟で暮らしているし、正妻のいる本館に、形ばかりは立ち寄るけども長居はしないから、私たちの生活は結婚する前とほとんど変わりはない。
彼自身も正妻に興味ないみたいだし。
何も変わりなく二人で楽しく過ごしているの。
正妻からこちらに何も言ってこないけど、ちょっとくらいは顔を見ておくのもいいかもしれないと思うのよ。
『私のサーシスに手を出さないでね』
って。
そう思って、サーシスのいない昼間に本館を訪れる。
エントランスの扉を、私を見つけて飛んできた門衛がいやいや開けてくれる。いっつも渋面なのよね、ムカつく。
一応私は公爵の愛人よ? もっと丁寧に扱えば? 私がサーシスにひとこと言うだけで、あんたなんかの首なんて飛んじゃうのに。
門衛の態度にムカムカしながらエントランスに入り、そこでばったり会ったのは若い小間使い。こっちから誰かを呼びつける手間が省けたって思ったんだけど。
……なにこの地味な子。
別に取り次いでくれるなら誰でもいいけど。
「あら、そこの方。ロータスかダリアを呼んできてくれないかしら?」
こっちを見てポケッとしてるけど、アナタ公爵家の使用人よね? ここの使用人、私に対する態度は慇懃無礼だけど、やることなすこと完璧なのよ? アナタ、それで務まるのかしら……って、なんで私がこんな子の心配してるのよ! 心底どうでもいいわ。
「あなた。貴女に言ってんのよ。早く呼んできて頂戴」
イラッとついでにきつめの口調で言いつけたら、やっと動いたわ。ほんと、大丈夫かしら。
とりあえずあの使用人が呼んできたのか執事がでてきたけど、ほんとこいつってば嫌い。
慇懃無礼の総本山だし、微笑んでいるようだけど目が笑ってないし。こいつがデレることなんてあるのかしら? って、またどうでもいいこと考えちゃったわ。
正妻が屋敷内にいることはわかっているのに、執事が頑として会わせようとしない。ホント、嫌なやつ。
まあこうやってエントランスで私と執事が睨み合っていたら、どこかで正妻が見てるかもしれないけど。
それでも牽制になるわよね。
今日のところは、あっさりと引き下がっておいてあげたわ。
近いうちにまた突然来てあげる。
私の快適生活を脅かさないでねって。
今日もありがとうございました(*^-^*)