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旦那様の怖い夢

活動報告より♪


本編173、4話目の裏側? ヴィオラのマタニティブルーの引き金になった、旦那様の見た夢とは……?

 僕たちのかわいい娘プチが、十五歳になった途端に縁談が来た。

 プチはヴィオラに似てかわいいから引く手数多になるとは小さい頃から想像はしていたけど、僕的に、どうしてもこいつのところにだけは嫁かせたくないと思っている人物がいる。

 それは……。


「まあまあ! プチさんに王太子様が直々にプロポーズしてくださったって?」

「はい……」


 顔を真っ赤にしてうつむき恥じらうプチは今日も超絶かわいいけど。

「なんて? なんて?」

 ワクワクと顔に書いてあるヴィオラがプチに直球を投げると、

「え〜と、『僕の嫁に来い。側室は持たない、プチ一人だけを大事にするから』って……」

「きゃぁぁぁぁぁ!!」

 ますます小さくなり恥じらうプチと、興奮しまくりのヴィオラ。

 ……でも僕のテンションはだだ下がりだ。

 

 あの王太子(と書いて生意気なガキと読む)に、うちのかわいいプチを嫁にやるだと!? 絶対嫌だ! 断固反対する!


「プチさんがディアンツ様のお妃様になるのね! 喜ばしいわ」

「ええ……でも……」

 嬉しそうに微笑むヴィオラに、まんざらでもなさそうなプチ。

 恥じらう姿は健気でかわいいんだけどちょっと待ちなさい、プチ。お前はあの王太子でいいというのか?


「いやいや、よく考えなさい、プチ。王太子妃になるということは王室に入るということだよ」


 ここで我慢しきれなくなり、僕は二人の会話に割り込んだ。

「はい」

「王室なんてしきたりやらしがらみやらでギッチギチの堅苦しいところだよ」

「それは仕方ありませんわ。伝統ある王家ですもの」

 まっすぐに僕の目を見て答えるプチ。む。正論。

「ぐぅ……。それに、政変なんかがあったら一番に命が狙われるんだよ?」

「その時は私も王太子様とともに戦いますわ!」

 その瞳に決意を表し断言するプチ。なかなか意志が固いなこれ。


 ん? ……まさか、ね?


「ねぇ、プチ。まさかとは思うけど、お前はあの王太子のことが好きなのか……?」

「そんな、お父様、ハッキリ言わないでください! ディアンツ様のことは……遠くから憧れておりましたけど」

「な〜〜〜に〜〜〜っ!!」


 うちのかわいい娘が、あの、王太子に、憧れていただと〜〜〜!?

 あの生意気なガキの、どこに憧れる要素があるんだ!?


「プチ、悪いことは言わない。あいつはやめておけ」

「どうしてですか!」

「あいつは性格悪いぞ」

「嘘です! いつも優しいです!!」

「それはプチが女の子だからだ! それにプチだけじゃなく、よその娘にも優しいぞ。浮気者決定だな、これは」

 僕が一生懸命現実の王太子を教えてやったというのに。


「そんなこと……っ! お父様のバカァ!! お父様なんて大っ嫌いっ!!」

「えっ? あ、プチ!!」


 泣きながらプチがサロンを飛び出していった。


 ぷ、プチに嫌われた!? 僕はよかれと思ってしたことだぞ!?


 僕がプチの言葉にショックを受けて固まっていると、


「サーシス様? どうしてプチさんの初恋を邪魔するようなことをおっしゃったんです?」


 じとん。ヴィオラが睨んできた。

 あ、あれ? ヴィオラさん、怒ってらっしゃる?

「だって、ほら、王家になんか嫁に行ったら苦労ばかりだよ? かわいい娘には苦労してほしくないからさ。それにプチなら、もっと性格も良くて優しい相手が見つかる。あんな性悪じゃなくて」

「ディアンツ様は見目も麗しく頭も良く、何よりプチさんを大事に思ってくださる優しい方です!」

「それは仮面だ! あいつの本当の性格は……」


「サーシス様。娘の幸せを邪魔するなんて許せません!」


 そう一喝したヴィオラの手には、いつの間にかムチが……って、それどこから出したんだ!?


「ヴィ、ヴィ〜!?」

「問答無用!」


 バチーン!


 ムチがしなった。僕の体をかすめて床を叩く。


 マジ怖い! 


「どうしたんだ? ヴィー? そんな物騒なもの、こっちに寄越しなさい」

「いいえ!」

 そう言ってまたムチをしならせるヴィオラ。

 そ、それはそれでなんか、いいかも……? 

 …………いやいかん! 危うくおかしな扉を開くところだった。

 目が据わり、楽しそうに微笑むヴィオラがかなり怖い!!


 ちょ、どうなってるんだ!?



 * * *



「うわぁぁぁぁぁ!!」

「サーシス様、またですかぁ?」


 嫌な夢に耐えきれず、僕は飛び起きた。

 隣では眠たそうなヴィオラが呆れた声を上げている。ああ、ごめん。妊婦はただでさえ眠たいというのに、また夜中に起こしてしまった。


 はぁ…………夢か。よかった…………。


 僕の娘があの性悪王太子の嫁だと!? 悪夢としか言いようがない。

 つーか、そもそもうちの子、まだ生まれてないし。

 そうだよ、女の子だって決まったわけじゃないからな!!

ありがとうございました(*^ー^*)


書籍第7巻は今日発売です♪

発売記念小話祭りは活動報告で開催中です。よろしければ覗いてやってくださいませね!

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