Program-5- 疑心
勇牙と猫羽が階段降りると1階の階段前に、2人の生徒がいた。
「航大!!」
「真優美~!」
勇牙と猫羽がそれぞれ名前を読んだ。
二人がその声に気づく。
1階にいたのは猿川航大と、豹原真優美だった。
猿川航大は優しい性格で、勇牙と1年の時から同じクラスで仲もいい。
豹原真優美は勇牙とはあまり話さないが、猫羽や虎居と仲良く、明るい性格である。
「勇牙じゃん!良かった~生き残ってたのかよぉ~」
「理沙がいてホント良かったぁ~。猿川だけじゃ頼りないしね~」
「なんだよそれぇ」
航大が切なそうな顔をする。
「そういえば、、、今まで誰かに会った??」
勇牙が聞いてみた。
豹原と航大が顔を見合わせる。
「う~ん、、ハッチかな」
航大が言った。
「そうだね、蜂須くらい。」
男子にハッチと呼ばれているのは、生徒会副会長の蜂須直幸である。蜂須はバスケ部の副部長もしている。
「ハッチか。今は?」
勇牙が思いきって聞いた。
「あぁ、体育館行ったよ。ねぇ?猿川?」
「ん?、うん」
勇牙の目には、一瞬航大がたじろいだように見えたが、気のせいだろうと思った。
「そっちは?」
「兎川さんと蛇村、あと虎居と、、亀山だな。」
「それで、、、消滅、、してないよね?」
豹原が不安そうな顔で二人を見る。
「兎川さんのタブレットは蛇村が壊して、、、亀山と蛇村のタブレットは、、俺が壊した、、、」
急に嘘をついた勇牙を、猫羽が驚きと心配が混ざったような表情で見ている。
「勇牙が!?なんで、、、」
航大が声を張って驚いた。
「、、雪ちゃんと沙彩を守るために、だよ。それで、沙彩がいなくなっちゃって、体育館に探しに行くところなの。」
猫羽がとっさに勇牙をフォローする。
「雪ちゃん?、、って兎川の事か。蛇村に付きまとわれてたもんな、、でも助ける勇気あるなんてスゲーな、、、俺らも体育館行く予定だったし、4人で体育館行く?」
航大の出した案に3人は乗り、体育館へと向かった。
階段の前を北側から南側に向かって直進する4人。妙なぎこちなさが4人を包んでいる。
誰も会話をしようとしない。
勇牙は体育館までの距離がとても長く感じた。
少しずつ体育館が近づき、手前の入口にたどり着いた。
ドアが全て閉まっているのに疑問をもったが、鍵は開いているようだ。
体育館には左右3ヵ所ずつと手前に入り口がある。
入り口前に来たとき、勇牙が提案をした。
「危険かも知れないから、左右に別れないか?」
「俺は賛成かな。。」
「なら私と獅子岡で右行くから真優美と猿川は左お願い。」
猫羽が言った。
「いいけど、、、」
豹原は不満そうに航大と左に向かった。
勇牙と理沙が2人きりになってすぐに、理沙が言った。
「、沙彩のことかばってくれてありがとうね。それを言うためにこの2人に分けたの。」
「そっか、、俺もこの2人に分けようと思ってたからちょうど良かったよ。」
猫羽が不思議そうな顔をする。
「実は、俺はあの2人をあんまり信用してないんだ。理由は後で説明するけど、疑問に思う事が何個かあるし。」
「そうだったんだ。。」
猫羽は悲しそうに勇牙を見た。
喋っているうちに2人はドアの前に着いた。
体育館の壁は内も外も一面真っ白でいかにも未来的だ。そして、清潔感がある。
いよいよ2人は、体育館のドアを開けた。