第89話≡薄情者?信用と言って欲しいね!!
すいません。
いまいち書く気が起きなくて遅くなりましたが、書けました!!
前みたいな2~3日に1話ってのは無理な気がしますので気長に待ってくだしあ
「マスター、どうしましたか?」
俺はマスターに呼び出しを食らったため今来たところだ。
なんか、あったけか?
「いやなに。お主には知らせておいた方がいい情報が手に入ったのでな」
「??」
「ナナフサは英雄に連れていかれたようじゃ」
「…やっぱりですか」
ナナフサというのは柚汰がグリーンランクの頃から親しくしていた女の子だ。
だが、ここ最近本部に姿を見せることがなく、連絡も通じない状態だった。
「目的はわからんがあやつらも無暗に殺したりはせんじゃろう」
「そうですよね。
すいませんがクエストメンバー待たせているので俺はこれで。
色々とありがとうございます」
柚汰は足早にマスターの部屋を出ようとした。
「無理はするでないぞ」
「…失礼します」
…ふぅ…ナナフサを助けたいって事もあるんだがな…
あいつに相談してみるか。
『フォォォォォォン!!』
「フェイク、危ないぞー。
ゾンビ頼んだ」
ドサッ
「のわ!?すまん!!」
聖と萩は2匹のグリフォンを相手に奮闘していた。
ゾンビはグリフォンのかぎ爪に切り裂かれ腕を無くしたが立ち上がって聖に親指を立てた。
「ゾンビの弔い合戦じゃー!!」
「いやいや、ゾンビ生きて…あれ?死んでる」
ゾンビはおろおろとしていたが聖は構わずグリフォンの翼を掴み地面に投げつけた。
「ん?人影!?
やば!!皆、頼んだ!!」
投げつけた前には人がおり萩は気がつきゾンビを向かわせた。
「くそ!!間に合わ」
バキッ!!
『グォ…ォォ…』
グリフォンは人影に当たると真横に飛び霧散していった。
『グォォォォォォォ!!』
グリフォンは仲間を殺した人影に向かったが人影に当たると同時に爆発が起き、動きを止めて霧散した。
「よお。久しぶりだな、ハンマー野郎」
「お前は!?」
人影に月の光が当たり招待がわかった。
「あー、韓国にいた。
…えーと、名前が」
「アートさんだろ?」
「エクスプロージョンだよ!!」
芸術は爆発の人って覚えてたから間違えたようだ。
「で、その爆発の人がなんの用事だよ」
「爆発の人って…
まあ、いいや。いやなに、世界が終わる前に手合わせでもと思ったんだがな」
「ん?世界が終わる?」
エクスプロージョンは首元に手を置いてゴキッゴキッと鳴らした。
「今日はいいや。
…そうだ。お前、俺らの基地に来い。相手してやるからよ」
「…基地に来いって場所わかんないけど」
「……あ」
どうやら考えてなかったようだ。
「まあ、あれだ。近々絶対にわかるからそん時に来い。
んじゃ、またな!!」
「おい、世界が終わるって…もういないよ」
二人はその場で少し悩んでから聖が案を出した。
「あのチーターならなんとかしてんじゃね?」
「いやいや、流石にそこまで万能じゃないから」
「まあ、試しに聞いてみようぜ」
結局他人に頼る事にする二人だった。
「ん?ここは…」
「おはよう。そして、落ち着いて聞いてくれ」
鎌鼬は鎖に繋がれてる自分の手足を見て桜を睨んだ。
「暴れなければ外すから。おーけー?」
「わかりましたから外してくれませんか?」
カチャリと音を立てて鎖が外れた。
鎌鼬は中性な顔だちで男にも女にも見えた。
髪の毛は緑色。
背も小さいからどちらにしても夜中に歩かせられない魔物だ。
「さて、いくつかの質問に答えてもらうけどいいかな?」
「僕からも頼み事をしたいんですが…まあ、どうぞ」
頼み事?
まあ、俺から質問しても言ってくれるだろうし大丈夫だろ。
「まずは君は種族、性別やら教えて」
「鎌鼬で男です」
「…ショタか」
「ん?」
「いや、なんでもないよ」
てか、さっきから気になる事があるんだが…
「なんで、女性陣は警戒しっぱなしなんですか?」
後ろからの殺気が凄まじいんだよね!!
怖いんだよ!!やめてほしいんだよ!!
「その子がまだ安全な魔物だという保証がありません」
「兄上は警戒しなさすぎじゃ」
「そうかな?
あ、鎌鼬君は気にしなくてもいいから」
気にするなって方が無理だけど。
「は、はい…」
「さて、一番重要な質問だけど。
君、元居た世界に帰りたい?ここに居たい?」
「帰すことができるんですか!?」
「クー君!!」
詰め寄ってきた鎌鼬に皆が全力で武器を向けた。
「ひっ…」
「皆、落ち着いてくれ。
鎌鼬がまともに話せないだろ」
そういうと皆渋々武器を納めてくれたが殺気は健在だ。
「えーと、話を戻すけど君を帰すことが俺にはできる。
いくつかの実験もしてるからたぶん安全」
「成る程。
すいませんが僕はまだ帰るわけにはいかないんです」
鎌鼬は足を正座に組み直して桜に向き直った。
「頼みがあります」
「その頼みってのと帰れないってのが繋がる訳ね」
「はい。
その頼みというのは」
鎌鼬は深々と頭を下げてきた。
地面に額をつけたところから必死さが伝わってくる。
「お姉ちゃんを助けてください!!」
…どうやらふざけられる話題じゃ無さそうだ。
「皆、俺は」
「わかってるよ。
私もちょっと気になるしね」
「ですが完全に信用はしてません。
罠かも知れませんし」
まあ、罠だろうがなんだろうが潰せばOK。
そのための力もあるしな。
「さて、鎌鼬君。詳しく話してくれ」
「はい、お姉ちゃんは…」
話をまとめると
・姉は特別なアイテムを持っていたせいで捕まった。
・鎌鼬君が人質に取られていたため逆らえない。
・鎌鼬君のアイテムはマッピング系のアイテムで場所は特定できる。
「その、お姉ちゃんを捕まえた組織ってわかる?」
「英雄と言ってました」
「「「はぁ…」」」
いや、まあ。わかってたよ。
こんなことするのあいつらくらいってわかってたが…
「知っているんですか?」
「有名なテロリストグループですよ」
「でも、これであいつらの本拠地が叩ける訳だ」
うまく潰せば当分は動けなくなるだろうし
「あいつらの目的とかわかる?」
「龍の力を借りると言ってた気がします」
龍の力ねぇ…
龍を呼び出してこっちで暴れさせるってのがセオリーだが…
まさかね…
「さて、いつまでもここにいるって訳にもいかないしいったん帰るか」
「この子はどうしますか?」
「この子も連れて帰るけど」
「…はぁ」
いやいや、流石に放っておいたら危険でしょ。
「わかりました。
ですが変な動きを見せたら即攻撃します。いいですね」
「わ、わかりました」
さて、帰りますか。
「お兄ちゃん。夜に護衛してあげようか?」
「遠慮しとくね」
「ぶー、お兄ちゃんが最近冷たい」
愛情をいっぱい育んでやってるのにその言い分はおかしい。
桜は短剣を使ってワープをした。
『ネネちゃん。終わったから報告に来たよ』
「お疲れさまです。
マスターが呼んでいるので先に行ってきてください」
…俺はまだ何もしてねぇぞ。
いや、流石についさっき考えた乗り込みはバレてないだろ。
桜は不安を胸にマスターの部屋を訪れた。
『失礼しますっと。
あれ?なんでこのメンバー?」
マスターの部屋には朔を除く学校のメンバーが揃っていた。
「俺たちもマスターから呼び出され組」
「うわー、大変だな」
「あ、それと桜後で相談したいことがあるんだが」
「あ、俺も」
ん?3人が俺に相談とか珍しいな。
明日は槍でも降るのか?
「集まったか。
お主ら、これから言うことにショックを受けるでないぞ」
マスターの言葉で全員に緊張が走った。
「実は先日…
オワリンが誘拐された」
『はぁ…そんな事かよ』
4人の息がピッタリと合わさった瞬間だった。
「お、お主ら、友達が誘拐されたんじゃぞ!?」
「まあ、大丈夫でしょ。
どうせ、生きてますって。
あー、無駄に緊張感出さないでくださいよ」
てか、誘拐の犯人ってまた英雄でしょ?
乗り込むしついでに助けれればそれでいいや。
「…薄情者ばかりじゃな」
「失礼な。
俺たちはあいつを信用してるんですよ。
なあ、皆」
『……お、おう』
ほら、完璧だ。
この中には薄情者はいないな。
「はぁ…ひとまず伝える事は伝えたぞ」
「では、俺はクエストの後の手続き済ませたいのでこれで』
ネネちゃんを待たせるのも悪いしな。
「あ、桜、ちょっと待てよ!!」
全員がぞろぞろとついてきてマスターの部屋から芋づる式に皆が出てきた。
『あー、そうだったな。
相談とは?』
「あのさ…英雄の本拠地知らない?」
…タイミングが素晴らしいね。
「後の二人は」
『同じく』
「理由は?」
マスターの前ではあんなこと言ってたけど本当は朔の事を…
「ケンカ売られたから」
「行けばあいつを潰せると思うから」
「朔よりも大切な友人が捕まったから」
……今、朔は泣いていい。
『はぁ…わかった。
本部前で待ってろ。詳しいことは家でな』
「って事は」
「流石、チーターだな」
…なんかもういいや。
とっとと済ませて寝よう。眠いし。
桜はクエスト後の手続きを済ませて皆を連れて家へとワープした。
「で、お前の乗り込む目的ってのは?」
鎌鼬君の話を皆にしてから柚汰がそんな事を聞いてくる。
「この子の姉を助けたいからに決まってるじゃん。
あ、神楽。これにマナを魔素に変換する呪いかけて」
「わかったのじゃ」
桜はそこら辺の石で作ったBランク魔宝石を神楽に渡した。
また、狂化されたらたまったもんじゃないしな。
「で、いつ行くんだ?」
「思ったら即行動カレー。
明日行こうぜ」
「わかったがカレーってなんだ?」
「さあ?なんか口癖になってる」
なんでカレーなんだろう?
語呂とかそういうのが関係してる訳じゃないのにな。
「まあ、いいや。9時くらいに家で。午後だからな」
「友達の家に行く感じで乗り込むなよってツッコむところだった」
明日の時間がわかった皆はぞろぞろと短剣を使ってワープして帰って行った。
「さて、鎌鼬君は俺の部屋で寝ることな」
「ふぁい」
鎌鼬君は1日何も食べていなかったようなので今夜食を食べている真っ最中だ。
「ダメです!!危険すぎます!!」
「それじゃ鎌鼬君には寝ている間プロテクトをかける。
それならいいだろ?
俺はどうせマナ消費しないし」
こういうときに俺のアイテムって便利だよな…
って染々思う。
「鎌鼬君には悪いがこうしないとダメだ。
皆が安心してくれない」
「僕からは何もありませんよ。
夕飯に寝床まで…文句なんて言ったらバチが当たります」
本当にこの子はいい子だ…
皆疲れているせいもあったのか風呂に入ると皆寝てしまっていた。
布団はどうやら桜が風呂に入ってる間に水奈が敷いてくれていたようだ。
「では、失礼して」
鎌鼬が布団に横になると半球状に白めの透明なプロテクトが作られた。
「さて、話をしようか」
「えーと、僕が話せることはもう…」
「鎌鼬君ってさ、お姉ちゃんが本当にいるの?」
「本当です!!
そんなところで嘘をついたりしません!!」
まあ、確認だったけど酷いことを言っちゃったな。
「…桜さんも僕を疑っているんですね」
「友好的には接してるけど信用してるって言われたら違うって言えるかな」
出会って1日も経ってないのに信用しろって方が無理だ。
「うん。鎌鼬君のお姉ちゃんを助けたいって気持ちとお姉ちゃんを大切に思う気持ちはわかったよ」
てか、あの土下座は演技じゃない気がするんだよね。
「お姉ちゃんが大切なんだろ?」
「当たり前です!!
お姉ちゃんは僕のたった一人の家族ですから…」
うんうん。家族は大切だもんな。
「その家族のために新しい人質を連れてこいって言われたら誰でもするよな」
「…なにを…言ってるんですか」
おや?この反応は。
「君が俺たちを騙して
「お姉ちゃんを救いたければ人質を連れてこい」
って言われたら誰だってそうする。俺だってそうするさ」
当たり前だ。他人の命と家族の命を天秤にかけたら誰だってそうなる。
「…どこで気づいたんですか?」
「え?マジで?
勘で言ってみただけだよ」
よく、ドラマとかで見るんだよな。
まさか、そういう風なシーンが再現できるなんて思わなかったけど…
「ふざけないでください!!
僕は」
「落ち着けって。俺は本当に勘で言っただけだよ」
「…僕をどうする気ですか」
…まあ、目的わかったところでだよな
「俺が黙って連れていかれればお姉ちゃんは助かるんだろ?」
「…少なくとも彼らはそう言ってくれました」
「なら、単純だ。
俺は騙されて君に従ってついていく」
おお、鎌鼬君。ものすごく目が開いてるね。相当ビックリしたみたいだね。
「どうしてですか?」
「俺は元からあいつらが気にくわない。
本拠地で暴れて軽くダメージを与えたい程度には嫌いなんだよね。
で、君は俺を連れてお姉ちゃんを助けたい。
皆ハッピーになれる」
ぶっちゃけ道案内させたいだけなんだよね
「あなたはそれでいいんですか?」
「俺は案内される。君は救える。
手を取り合わない理由はないだろ」
…そろそろ眠くなってきたからここら辺で話を切り上げたいんだよな。
「そうですね。
では、僕のために騙されてくれますか?」
「おう。騙されてやるよ。
後、その石は手放すなよ、狂化を抑える石だから」
「わかりました」
そして、2人は目があって笑いあった。
「さて、寝るか」
「はい。お休みなさい」
なんか鎌鼬君とは打ち解あえた気がするな。
桜の部屋には2人分の寝息が聞こえていた。
読んでいただきありがとうございました!!
誤字脱字がありましたら報告お願いします!!
感想くれたら喜びます!!




