第85話≡嬉しいけど喜べない!!
「すいませんでした」
「………」
桜はミラルバとの試合後に頭を下げていた
「本当、テンションが上がっていたといえ、タメ口なんてすいません」
あー、ヤバイな…
さっきからミラルバさん何も言わないし、腕組んだままだし…
「…桜君。君は」
お願いだから抹消とかだけは…
「奴隷と主の共存は可能だと思う」
「本当、すいま…
…ん?」
「いや、だから。君はどう思う?」
…えーと、なんだっけ?
奴隷と主の共存?
「できると思います。
現に俺は奴隷を家族のようになってますから」
「そうか…
それと」
ぐっ…ついに怒られるのか…
「ありがとう。僕も頑張ってみる。
ラタトスク」
「はい。きゃっ」
ミラルバはラタトスクの後ろから抱きつくように腕を回した
「僕も嘘をつきたくないからね。
ラタトスク、愛してる」
「ご、ご主人様…」
…甘い。
なんていうかリアルにピンクの背景が見えるぞ
「とう」
「ぐぼら」
朱音か?
首がグキッてなったぞ…
「はっ」「…たぁ」
「そげぶ」
桜は朱音、神楽、鳴の3人にジェットストリームアタックをくらい地面に倒れた
「お前ら」
「おめでとう、お兄ちゃん!!」
「じゃがあくまで保留じゃからな」
「…お嫁さんは私」
…怒るのはやめとこうかな
「何を?私がお嫁さんになるんだもん!!」
「させるか!!わらわが妻じゃ!!」
「お、お前ら、人の、上で、ごぱる!!」
「…ダメ」
桜を舞台に3人は大乱闘を始めてしまった。
それを微笑ましく見るのはミラルバとラタトスクだ。
「ラタトスク。子供は元気に育てよう」
「は、はぃ」
お二人さん。甘々なところ悪いけど、そろそろ助けてほしいんですが…
「クー君、おめでとってあなた達!!」
「ヤバッ水奈だ!!逃げるよ!!」
「仕方あるまい」
「…ん」
3人は一目散に逃げていき桜はボロ雑巾のようになっていた。
「クー君、大丈夫ですか?」
「…ああ、ありがとう水奈。助かったよ」
「そ、そんな。私、クー君の為なら」
そしてなんとも言えない空気になった
「ごほん。
桜君。改めてお礼を言わせてもらうよ。ありがとう。
僕の次の目標が見つかった」
「私からも。
主の悩みを無くしていただきありがとうございました」
「いやいや。
お二人さんとも仲良くしてくださいね」
すると二人は微笑んだ。
「あたりまえです」
「夫婦になるんだ。仲睦まじくないとな」
「そして、私たちも仲睦まじくですね」
ん?なんだこの柔らかくていい香りの…
「シオンさん、離れてください!!」
「って、やっぱりシオンかよ!!」
かぷっ
「だから耳の甘噛みは止めろと!!」
「はっはっはっ。僕は負けてよかったみたいだな」
ミラルバさんは豪快に笑っていたが、桜は笑える状況ではなかった。
「あらら、シオンたら。
ミラルバさん、残念でしたわね」
「そうですね。シオンさんが嫁いでもらえないのは痛手です。
ですが、今回の戦いで目標が出来ました」
「それはよかったですわね。
ふふふ、桜さんには驚かせられてばかりですわね」
俺は普通に生活してるだけなんだけどな…
それよりも
「シオン、いい加減噛むのを止めろ!!」
「ふぁくらふぁんのみみはおいしいのどぇいやれふ」
「いいから離れろ!!」
桜はガルシオンを引き剥がしたが、ガルシオンは不服そうだった
「僕たちもあんな風に仲良くなりたいね」
「そうですね」
これのどこがよさそうに見えるのか俺にはさっぱりわからんぞ
「桜君。君とは色々と話をしたいんだけど時間いいかい?」
「あ、はい。いいですよ」
うーんと、奴隷の話でいいんだよな?
「ミラルバ君、少しいいかね」
「はい。大丈夫です」
ミラルバはガイヌスに連れられ屋敷に戻って行ってしまった
「桜さんは私とお話しましょう。
シオンもついてきて」
「わかりました」
「それじゃ、水奈はあいつらの事お願い」
「任せてください」
桜達はアリシルの後に続いて屋敷に戻った
「まずはおめでとうございますね。
見てて楽しい試合でした」
「あはは、そう言ってもらえると助かります」
話ってなんだろう?
『よくも勝ってくれたな…面子丸潰れじゃー!!』とかじゃないよな?
「それでお母様。お話とは?」
「あらあら。シオンったらせっかちさんね」
「お母様が変なことを言う前に済ませたいんです」
その笑顔やめて怖いから
「わかりましたわ。
では、桜さん。どうしてシオンと結婚しないのですか?」
あー、そういうやつ
「私が言うのも何ですが、シオンは容姿も良く将来も決まっている。
その上、魔術師としても優秀ですわよ」
うん。確かに。
シオンほどいいお嫁さんはいないな。
「確かにシオンさんは可愛らしくて優秀です。
俺からもお願いしたいですね」
ガルシオンは頭から湯気を出して恥ずかしがっている。
「では…あー、あなたの奴隷達の中に決めた子等が?」
…へ?
その発想は無かった。
「桜さん。世の中には一夫多妻。いわゆるハーレムというものがあります。
シオンもそれで構いませんよね?」
「は、はい。愛していただけるのなら…」
この子は何を口走っているんだ?
「ちょっ、ちょっと待ってください。
俺がシオンさんと結婚しないのはハーレムがどうこうではなく」
「あー、早く孫の顔が見てみたいわ」
「お母様、そんな…」
…聞いてないし。
「アリシルさん。俺がシオンさんと結婚しないのには俺の方に理由があるからです」
「孫の名前は……理由?」
あー、よかった。話を聞いてくれそうだ。
てか、孫の名前って気が早すぎる。
「はい。
俺はまだ17歳です。
世の中の事なんか全然わかりません。俺はまだまだ未熟なんです。
ですから結婚は無理なんです」
「なるほど。
しかし、そう勉強もかねてシオンと結婚してみては?
夫婦でしかできない相談もあるでしょうし」
確かにシオンに聞いた方が良いこともあるだろうな…
「これは俺のわがままなんですが…
何も知らないまま次の段階にいきたく無いんです。
相手が構わないと思っても俺がどうしても嫌なんです。
ですからシオンさんと結婚は今の段階ではしたくありません」
俺の言いたいこと伝わったかな…
「なるほど。わかりました。
しかし桜さん。あなたが結婚に納得するまでにシオンは他の男性を見つけるかも知れませんよ」
「そしたら俺はシオンの友人として全力で祝わせてもらいます。
シオンが幸せになれるなら俺も嬉しいですから」
少しの静寂が部屋に訪れた
「だそうよ、シオン」
「嬉しいです。桜さんにそんな風に思われていたなんて…」
…あれー?なんか違う解釈されてね?
「ふふふ、これでわが家も安泰ね」
「桜さん。私は本妻ですよね?」
えーと、何がなんやら…
「え?え?待って。俺まだ結婚しないって」
「はい。まだしませんよ。
でもいずれ結婚しましょう」
「桜さんが優しそうな男性で私も嬉しいわ」
…ダメだ。全然話についていけてない。
「では、お母様。私は皆に本妻ということを知らせてきます」
「行ってらっしゃい。負けちゃダメよ?」
「はい」
この二人、本当にノリノリである。
ガルシオンは飛び出すように部屋を出ていった。
「ふふふ、ありがとう桜さん。あなたが来てから飽きないわ」
「ど、どういたしまして?」
…ダメだ。良くわかんね。
その後、桜は四人から一斉に押し掛けられ大変な事になっていたそうだ。
桜達が来てから数日。
ついに帰る時がきた。
「桜。ありがとう。
僕も頑張って説得してみる。そして平等な世界を作ってみせる」
「頑張ってくださいね。ミラルバ」
ミラルバとは普通に話す仲になったが桜がタメ口かつらいとなんとか呼び捨てしてるレベルだ。
「本当にありがとうございました」
「いいですって。ラタトスクも幸せに」
「…はい
!!」
ま、俺がそんなことを言わなくても大丈夫そうだけど
「桜君。また来てくれ」
「ここを自分の家だと思ってくださいね」
「あはは、それはまだ難しそうです。
でもまた来たいですね」
二人と握手をかわし少なからずお礼の言葉を告げる。
「桜さん」
ギュッ
…シオンってなかなか力があるから苦しいんだよな
「絶対に会いに行きます。ですから」
「わかってるから泣くな。これが最後の別れってわけでもないだろ?」
「ですが…」
最近になってわかった事がシオンって結構寂しがり屋のようだ。
「桜さん」
「ん?どうし」
桜の口はシオンの唇によって塞がれて最後まで言えなかった
き、キス!?
って背後からの殺気が尋常じゃない!!
「んぁ……大好きです。待ってますね」
「お、おう」
ダメだ。彼女を持ったことのない俺には気の聞いた言葉が思い付かない。
「クー君?
家についたら…」
そして、この状況を打破する方法もわかんない!!
え?家に帰ったらなにされるの、俺!?
「か、帰ろうか」
無言で俺を見るのをやめてもらえますか?
「では、皆さん。お世話になりました!!」
『なりました!!』
四人は一礼して影に帰り俺は短剣を使ってワープした。
その時皆が手を振ってくれて心が少し暖まった
読んでいただきありがとうございました!!
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