第81話≡俺のプライドが…
桜が部屋に戻ろうとするとなにやら皆が騒いでいた
「…すいません。今すぐに」
「え?楽しそうだしいいじゃん。
ちょっと俺も気になるし」
寮の一階にある食事をとる広間で騒いでいるようだ
「おいおい、お客様が来てるんだぞ」
「あ、やべ」
「いいって。楽しそうだし。何してたんですか?」
桜がそう聞くと執事たちは解散するのを止めて、落ち着きを取り戻した
「それで、何してたんですか?」
「えーと、私たち執事は娯楽が少なく…えーと」
「たまにゲームをして発散してるんですよ」
あ、なるほど。
確かにいつもそんなだと疲れるからな
「すいません。今すぐ」
「だからいいって。
てか、俺も混ぜてほしいな…なんて…」
一瞬空気が凍った
「ぷ…あははは!!」
皆一斉に笑いだした
「え?なんで?え?」
「す、すいません。
まさか、混ざりたいなんて言うとは思わなくて」
すると、皆がまた机を出し始めた
「で、今日は何を?」
「腕相撲だ」
…あー、これはダメだな。
俺、腕相撲最弱って言われてるからな…
「お客様もやりませんか?」
「え?俺は」
「ささ」
「いや、だから」
ってもう、腕組んでるぅ!?
「ファイト!!」
ビッターン!!
「………」
「だから、無理なんだよ…」
そう言うと周りから一気に笑いが溢れた
「俺本当に腕相撲弱くて…」
「ぶはは、そうでしたか。
では今度はそちらからどうぞ」
桜はファイトの掛け声と同時に力を込めた
「…ぐぬ……ふっ」
1ミリも動かなかった
「えーと、本気?」
ビッターン!!
「くはっ」
「ぶはは、本当に弱いですよ」
だから最弱とあれほど。
自慢じゃないが高3の時中2といい勝負して負けた腕前だ
「だから俺は見てる方が」
「面白い位に弱いからやってみろって」
「聞いてますか!?」
目の前には桜と同年代の男の人がいた
「お手柔らかに」
「…こちらこそ」
ファイトの掛け声で瞬殺された
「…痛い」
「本当に弱かったです」
「うっせ。だから言っただろ…」
目の前の青年は立ち上がり少年に変わった
「よ、よろしくお願いします」
「…流石になめすぎだろ!!」
ビッターン!!
「orz」
「か、勝てました!!」
そして、また笑いが溢れた
「…いいよ、もう見てる側になるから」
「そうだな。見て楽しんでくれお客様」
それから、桜は戦わず終わるまで見て楽しんだ
「おでのブライドはぼどぼどだー」
桜はジャージでベットに倒れこんだ
「あー、疲れた。
…明日もなんかあるとか言ってたしな」
このまま寝ようかな…
ギィ…バタン
「桜さん、起きてますか……
よし」
起きてるよー。
俺はちゃんと起きてるよー。
桜は目瞑って寝てるふりをした
「あらら、布団もかけずに…
風邪をひいてしまいますね」
と言いつつ添い寝をし始めた
「………」ジー
「………」パチパチ
見事に視線があった
「さ、さささ桜さん。なにしてるんですか!?」
「こっちの台詞だから」
まあ、予測はしてたさ
「で、ではお休みなさい」
「まあ、待たれい」
「あぅ」
ガルシオンは首もとを捕まれたため苦しそうな声をあげた
「聞きたいことあるんだよ」
「な、なんでしょうか?」
さて、この話の裏を教えてもらおうかな
「コカトリス家ってどういう事?」
「……どこでそれを」
「ちょっと、小耳にね」
これでマイクから聞いたとか聞いたらあれだもんな
「で、どういうこと?」
「話そうとは思っていたんですが…」
遅かれ早かれだったか
「実は縁談を持ちかけられまして…
私は反対したのですが、親同士の決定で逆らえず…
そこで桜さんの名前を借りさせてもらったんですが」
…話が面倒な方に傾いて来たぞ?
「迷惑をかけてしまい申し訳ありません。
でも、私は旦那様は自分で決めたくて」
「はいはい。大体わかったから。
ま、今更あれだし、ちゃんと頑張ってやるよ」
親に顔を見せて帰るとか、人格疑うだろ
「でも、そんな問題俺が解決できるのか?」
「はい。
私の家は力を重視しますから」
「手っ取り早く言えば負けなければいいんだな」
「はい。勝つことが出来ればきっと認めてくれると思います」
…バトル続きだな
「明日が忙しくなるってそういうことか」
「明日?
確かに明日来ますがつくのは夜の予定ですよ」
ん?となると忙しくなるのって明後日からじゃないのか?
「うーん…ま、明日になればわかるか。
さて、眠くなってきたし…な?」
「あ、そうですね」
ガルシオンは布団に潜ってしまった
「あのー、シオンさん?」
「なんですか?寝ましょう?」
ガルシオンはゴロゴロと布団の中で遊び始めた
「寝ましょう?じゃねーよ!!
なんで、自分の部屋で寝ないんだよ!!」
「桜さんはこんな夜遅くに女の子を一人で帰すつもりですか?」
「ここってお前の敷地だろうが!!」
これ以上安全なところなんてないだろう
「狼さんなんていっぱいいますから」
「お前なら狼だって逃げるだろうが」
「いいから寝ますよ」
「のわ!?」
ガルシオンが布団の中から飛び出て布団に引きずり込まれた
「ふふふ」
「…今のちょっとしたトラウマものだから」
「そんなこと関係ありません」
ガルシオンは腕に抱きつき、足も絡め始めた
「寝れないんだけど」
「私は安眠できそうです」
ガルシオンはそのまま目を閉じて眠りはじめてしまった
「…本当、寝不足になるかもな」
結局桜が寝たのは3時を過ぎてからだった
「ふぁ…ねむ…」
「んん…気持ちのいい朝ですね」
俺は思いっきり寝不足だけどな
コンコン…
「起きてますよー」
「マイクです。朱音様が朝の鍛練に来てほしいとの事でしたが」
窓から外を見ると朱音が元気に手を振っていた
「わかりました。ありがとうマイク」
はぁ…ここでもやるのか…
「という訳だ。俺はすぐに部屋を出るがどうする?」
「私には気にせずお出かけくださいね」
ま、シオンもシオンなりにすることがあるんだろうな
シオンの目的が桜の脱いだ服だとは微塵も考えていなかった桜だった。
桜はとっとと着替えてまた窓から外に飛び出すのだった
「っと、今回は?」
「もちろん走って、時間ギリギリまで組手だよ」
うん。いつもよりもハードなスケジュールじゃまいか
「ほら、お兄ちゃん行くよ!!」
「わかったら引っ張んな」
桜は朱音に連れられ広い敷地をそりゃもう走り回った
「ぜぇ…はぁ…無理ぽ」
「だらしないな…
あ、お兄ちゃん今回は武器ありでやろうよ」
「え?武器あり?
刃は潰せばいいから…
ま、やってみるか」
桜は地面に手をついて適当な武器を錬成して朱音に渡した
「さあ、お兄ちゃん!!やるよ!!」
「はいはい。わかってるよ」
桜は時間になるまで朱音と、武器をぶつけ合った
「いつもやっているのか?」
「何がですか?」
皆で朝食を食べているとガイヌスが桜に聞いてきた
「鍛練の事だ」
「ああ、朝の。いつもは組手で武器は使いませんけど」
「鍛練は重要だ」
ま、朱音に付き合ってるだけだけど
「桜君。コカトリス家の事は聞いたかね?」
「まあ、大体は」
「ふむ。ならば君の実力をみたい。
朝食後に手合わせを願おう」
…大変ってこれの事か
「君が負けたのなら即帰ってもらう。
酷いかも知れないが娘を任せることはできないんだ」
「…わかりました。負けたときはすぐに帰ります」
だが、焦っているものは誰もおらず皆涼しい顔で朝食を続ける
「…皆から信頼されているようだね」
「今更慌ててもダメですから。
それより対戦は奴隷ありですか?なしですか?」
「ありだ。
それを含めて戦わせてもらおう」
となると前回の約束もあるしな
「鳴。よろしくな」
「…ん。やっと役にたてる」
やる気はあるようだ
「…ふと、思ったのだが、この奴隷たちは君のアイテムの力か?」
「…まあ、そう思っていただけると説明が楽です」
「そうか」
はぁ…言ってはみだが大人と戦うなんて初めてだぞ
桜はちょっとした緊張感に襲われつつ朝食を食べ進めた
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