第77話≡うわ、なにこいつキモい
桜はアヌビスに呼ばれた通り、一人で本部にやって来ていた
さて、アヌビスさんを探さないとな…
てか、あの人が頼むとかどんなクエストだよ
桜は邪魔にならないように本部のすみにいた
「おー、いたいた。
こんばんはクー君。なんで隅っこにいるんだ?」
『俺が堂々と出たら空気変わっちゃいますから』
「…苦労しているんだな」
まあ、こういう状況にしたのは俺だしな…
あれ、目から汗が…
「さて、クー君。今日読んだ理由だが、1つクエストを手伝って欲しいんだ」
『…今度はどんな敵なんですか?』
「今説明をするのは…いいだろう。
今回戦ってもらうのは装馬と呼ばれる魔物だ」
アヌビスの話によると装馬というのは馬の形をしたとても大きな魔物だそうだ。
なにより特徴的なのは全身が武器でできており倒すのも大変な事らしい
『今回の装馬の武器は?』
「すまない。情報がないんだ。
だが、今までの装馬とは形も違ければ武器も違うらしい」
…まあ、警戒だけは怠るなって事だな
『まあ、了解しました』
「では、次に君の今回のメンバーを紹介するよ」
…はい?
『アヌビスさんじゃないんですか?』
「ああ。実は私のコミュニティーのメンバーが3人でその装馬のクエストを頼んだんだが、正直実力が足りていない。
私は既にクエストを決めてしまっていて出ることもできないんだ。そこで君に頼みたいと思い連絡をいれたんだ」
…マジで?
俺、また縛り入れなきゃあかんの?
「君には辛いかも知れないが頼む。
仲間が死なない保険が欲しいんだ」
『…わかりましたけど、俺が居るからと言って皆が無事なんて保証はありません』
「君に任せれば平気だろう。
よかった。君に頼って正解だったようだ。
では、早速メンバーと顔合わせだ」
桜はアヌビスについていき3人が待っているところに向かった
桜が案内されたところには青年(DQN)とメガネをかけた青年、それとツインテールの女の子がいた
「いや、待たせたね」
「あ、クーさん」
その場にはネネも一緒にいた
「…アヌビスさん。なんの冗談ですか」
うわー、あからさまな拒否とか始めてだ
「言っただろ君たちだけでは不安なんだ。
そのための助っ人、クー君だ」
「だからなんの冗談ですかと聞いているんです。
なんで俺たちがそんな変態と組んでクエストをこなさないといけないんですか」
桜の心にナイフが入れられていく
「てか、俺は銅ランクですよ。
そんなここのルールも守れないクズとクエストなんか」
「ちょ、ちょっとそれは言い過ぎですよ」
ネネが食いついてくる青年をなだめていく
てか、こいつも金属色になったからって天狗になりすぎだろ
「彼はそう言っているが君たちはどうなんだ?」
アヌビスは残りの二人に聞いた
「わ、私もちょっと…」
「僕らの評判が下がるかも知れませんし…」
まあ、それが当然の反応だわな
「だが、それではリスクが」
「ですから俺が居るから大丈夫ですって!!
俺はもう金属色なんですよ?そこら辺の魔物なんか簡単です」
…こいつなんなん?
「てか、こいつがいるとむしろ邪魔。
俺たちのコンビネーションが崩されて迷惑にしかなりませんって」
「そうは言ってもだな」
アヌビスが必死に青年を説得しようとしている。
どうやらこのクエストの中心となっているのは彼のようだ
「てか、アヌビスさんも俺達にこんなクズを紹介しないでくださいよ。
マジで迷惑なんで」
「さっきからなにもわか」
桜はついにキレたネネを止めた
「クーさん…でも」
桜は静かに首を横にふった
『初めまして、俺はクー。
君たちは俺が一緒のクエストに行くことが嫌なんだよね?』
「ったりめぇだ!!てか、気安く話すな俺は金属色だぞ」
…金属色(笑)とかって落ちじゃないだろうな
内心そんな事を思いつつ桜はあくまで下に出て話を進めた
「てか、その雑魚がただ俺達とついてきて金だけが目当てかもしんねぇし」
「そうですよ。ただでさえ評価は下の下、信用に値するものが1つもありません」
はぁ…めんどくせぇ
『だったら俺は別のクエストとして同じクエストを発注してください。
そこであなたたちがいい働きをしたと思ったら4等分。
足手纏いでしたら俺の分は要りません』
「…俺たちが賞金欲しさに口を揃えるかも知れませんよ」
メガネの青年が桜を探るように言ってくる
『それはそれで構わないよ。ただし、そんな事をしたら俺よりも残念な心の持ち主って事になるかも知んないけどね』
「んだとこのクズが!!」
青年は桜の胸ぐらを掴み挙げた
「安心してくれ、僕は実績を見るタイプの人間だ。
彼女もちゃんとした判断を下せるだろう。
こちらは多数決で君を判断する。これで満足だろ?」
『どちらにせよ俺はアヌビスさんに頼まれてんだ。馬鹿な動きをしてアヌビスさんの株を下げるわけにはね』
メガネの青年はそれを読んで青年から桜を解放した
「チッ……どうせ、このクエストでてめぇはお陀仏だ」
青年はそれだけ言ってどこかに行き二人がその後を追っかけた
『すみません。気分が悪くなりましたよね』
「いや、私は平気だが…君は大丈夫なのか?」
『俺は平気ですよ…こうなることを望んで動いてましたから』
本当、水奈が居なくてよかった。居たら水奈も罵倒されてただろうしな
そんな事を考えてる桜をアヌビスはじっと見つめる
「嘘だな」
『…確かに悲しくなります。でも俺はこうするしかないんですよ。
二人はこんな風にはなってはいけませんよ』
桜は少しふざけたように言った
「なにいってるんですか!?クーさんはあんなに罵倒されて」
「はぁ…たまには二人でクエストに行きストレスを発散しよう」
「アヌビスさんもなにを」
全く、ネネちゃんは優しいな
「ネネ、クー君に今どうこう言っても現状は変わらない。
ならせめて彼を支えてあげよう」
「………はぁ。それしかないんですよね。
でも自分も大切にしてくださいよ」
『ありがとう。
さて、ネネちゃん、クエストを発注させてもらうよ』
てか、あいつらに先いかれてついたら全滅してました。なんて洒落にならん
「それじゃ、私も用事があるんでね」
『アヌビスさんも気を付けて下さいよ』
「私よりも君の方が大変そうだけどね」
アヌビスはそう言うとどこかに歩いていった
「ではクーさん。こちらに」
桜はネネについていき装馬の手続きを済ませた
「はい、これです」
『ありがとう』
ネネから座標が入った短剣を受け取った
「…本当に気を付けてくださいね」
『俺だって怪我したくないからね』
桜はそう言うと席を立った
「…クーさん。頑張ってください。出来る限りの手助けはさせてもらいますから」
『その言葉だけで十分だよ。
それじゃ行ってくる』
桜は早々に本部を出て短剣を使いワープした
『っと今回は大分開けたところにいるな』
そこは工事中の現場のようなところだった
えーと…あ、いたいた
桜がマナの範囲を広げると遠くに3人がいた
…ひとまず接触は避けるか
桜は言葉が文字になる機能を切って3人を範囲の中に入れながら違う方から魔物を探した
『っと見つけた。
あいつらこれの様子見をしてるのか』
桜は仮面を外して魔物を見た。
そこにいたのは動体が銃で覆われ顔のない馬のような魔物だった
「…なんと言うか。本当気持ち悪いな』
さて、あいつらの動き次第だが、奇襲をかけるなら動かない方がいいよな
すると桜にくってかかった青年がアックスを持ってわざわざ声を上げながら、装馬に斬りかかった
「うおおぉぉぉぉ!!」
装馬の足をアックスが襲い斬りつけたが直ぐに傷は塞がれた
「な!?奇襲をかけると言いましたよね!!」
「は。奇襲よりもこっちの方がいいだろ!!」
「まだ相手がわからないのに」
その時装馬に動きがあった
「危ない!!」
装馬は足を上げて青年を踏み潰そうとしたが回避した。
すると装馬の背中が避けて三本の腕が出てきた
…趣味悪いな
手のひらには目がついておりどうやらあれで敵を見つけるようだ
「ひっ。気持ち悪すぎるでしょ」
「全くだ」
「こんなの見かけ倒しだよ」
3人を見つけた装馬が青年に銃口を1つ向ける
「ふん。俺達には化学兵器は」
タン!!
青年に向かって赤い線が走った
「ぐっ」
「修羅!!」
青年―修羅―は足を押さえてしゃがんでしまった
「なんで避けなかったの!!
銃でも魔術加工がされてるに決まってるじゃん!!」
「うっせぇ。ねぇと思ったんだよ」
そう話してる間にいくつもの銃口が3人に向く
これはまずそうだ
桜は魔銃を2つ錬成して飛び、装馬の上にいた。
装馬の目の1つはそれを確認して全ての目を閉じた
まずは俺からの初手だ
桜は氷のマナを打ち出して背中に何本か刺した。
魔物も着地地点を予測し銃口を向けるも霧魔術を使って身を隠した
「なかなか強いですね」
「これは期待できるかも」
「チッ…
あんな雑魚に何ができるって言うんだ。
おら、とっとと行くぞ、スピネル!!」
背中に大剣を背負った女の子―スピネル―が修羅と一緒に装馬に斬りかかっていく
「ダムラン!!お前も頼んだぞ!!」
「わかっていますよ」
メガネをかけた青年―ダムラン―は杖を構えて周りに水の槍を出現させた
「おら!!」
「たぁ!!」
足を攻撃する二人に銃口が向く
なら、俺の仕事は
桜は姿を現して背中から生えている手を爆撃魔術でダメージを与えながら大きな動きでジクザクに動いていく
すると体の回りをうろうろと動く桜に銃は焦点を合わせようとし始めた
よし、これで下にいる接近戦たちには…?
桜は装馬が足の付け根に火のマナをためているのが見えた
あの量は…洒落にならないかも知れん
桜は作戦を変更せざるおえなくなった
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装馬のイメージはゴットイーターの戦車っぽいあいつです。
あいつに俺なりにキモさをプラスしたらこうなりました




