第68話≡あれはいったい…
桜は新幹線から窓の外を見ていた
「桜さん。わくわくしますね」
前に座っているガルシオンは桜に聞く
「そうだな…うーん」
「どうしたんですか?」
「いや、どうしてこんな事にってさ」
桜の言葉を聞いてガルシオンの表情は曇る
「…嫌…でしたか?」
「嫌だったらあそこで断ってるさ。なんか展開が早すぎてな…実感がわかないんだ」
ほんとトントン拍子でここまで来たからな…
「まあ、楽しそうだしいいや」
「本当ですか?」
「ああ。
俺は友達と旅行なんて初めてだから変に緊張するよ」
すると今度は膨れてしまった
「友達ですか…本当に友達ってだけで誘うと思ってるんですかね」ボソッ
「ん?ごめん、聞き取れなかったからもう一回」
「独り言ですよ~」
悲しんだり怒ったり忙しいやつだな
「ほら、シオン」
桜はポッキーを差し出した
「……」パクッ
ガルシオンは今度は何を思ったのか笑顔に変わった
「シオンって面白いな」
「な、何がですか?」
「表情がコロコロ変わって飽きない」
今度はなんとも言えない顔になってしまった
「桜さんも飽きませんよ」
「俺?」
「はい。強いのにいつもぐーたらしてます」
ぐーたらって…
そんなにしてないと思うんだけどな…
「でも、優しくて温かいです」
「?」
「桜さんは変な所が疎いですもんね」
…ダメだシオンの話についていけない
「それでですね桜さん私…」
桜はガルシオンの持ってきた本を見ながらこれからの予定をたて始めた
「…なんだったんだ、あれ」
東京で桜を待っていたのは黒塗りの長い車だった
桜はそれに乗って夢の国まで来たがガルシオンの規格外の凄さに驚き疲れてしまった
「シオンって本当にお嬢様なんだな…」
「…そうですよ?いちよお嬢様です。
はい、パスポートです」
桜は入場用のパスポートを受け取った
「ランドとシーあるけどどっちから行く?」
「シーからにしましょう。
ランドは明日パレードですから」
「了解」
てか明日もこっちにくるのね
桜とガルシオンは専用の乗り物でシーを目指した
「さて、どうするかな?」
桜は2度目の来場に心が踊っていた
「桜さん。まずは見て回りましょう?」
「はいはい。時間はあるからゆっくりな」
桜はガルシオンに引っ張られてお土産屋を回ってあるいた
ガルシオンは欲しいと思った物をすぐに買おうとする癖があるため桜はそれをセーブするのにも体力を使っていた
「桜さん。次はどこに行きますか?」
ガルシオンは歩くときはいつも桜の腕にしがみついているため桜は出来るだけ考えないようにしていた
「…シオン、ちょっと休もうか」
「もう、桜さんは体力がありませんよ」
誰のせいだ。誰の。
桜はベンチを見つけたため座りにいった
するとガルシオンは桜に寄り添うように座ってきた
「(シオンの髪の毛って結構いい匂いがするんだな…)」
「桜さん?」
「ふぁ!?」
桜があまりにも間抜けな声を出すからガルシオンは笑ってしまった
「なんて声を出してるんですか?」
「悪い悪い。どうした?」
「もうすぐ12時です。ご飯にしましょう」
ガルシオンの提案で桜は予約していたレストランに向かった
「シオンって本当早いな」
「そんなことないですよ」
思ったら即行動なんてなかなかできるもんじゃないもんな(本人談)
ガルシオンと他愛もない話をしていると料理が運ばれてきた。
桜はステーキが、ガルシオンは白身魚のソテーが出された
「おお、すごく旨そう」
「ふふ、喜んでもらってよかったです」
桜はステーキにナイフを入れて肉を頬張っていく
「桜さん」
「ん?」
「あーん」
桜はガルシオンが出した白身魚を躊躇なく食べた
「おお、これも旨いな。
ほい、シオン」
「…あーん」
桜はステーキを一口程度に切ってガルシオンに食べさせた
「んー、幸せの味です」
「そんなに美味しかったのか?」
「はい、とても」
シオンってステーキが好きなんだ。
1つ学んだな
ガルシオンと話ながら食べていると食べ終わった
「あ、シオン」
「はい、なんです……」
桜はガルシオンの口元についていたソースを手で掬った
「ついてたぞ。…結構美味しいな」
ガルシオンは真っ赤になり動かなくなってしまった
「シオン?シオンちゃーん?ってここで止まられてもな」
桜はガルシオンの手を引っ張って外まで連れてきた
「ここまで来れば邪魔にはならんだろ」
「桜さん、狙ってるんですか?」
桜はガルシオンの言うことが理解できずに首をかしげた
「もういいです。桜さんの馬鹿」
「っとい、いきなり抱きつくな」
「ふふふ」
ガルシオンは幸せそうに微笑みながら桜の腕に抱きついていた
「あ、シオン。折角来たんだしあれに乗ろうぜ」
「あー、写真にあった」
桜の指差した先には巨大なジェットコースターがあった
「いいですよ。楽しそうです」
「人も並んでないからとっとと乗れそうだしな」
前回来たときも楽しかったんだよなー、これ
桜はガルシオンと隣の席に座ってジェットコースターに乗ることになった
「ドキドキしますね」
「俺は楽しみでやばい」
桜は両手を放してジェットコースターを楽しんだ
ガルシオンは始まってから無言になっていた
「いやー、楽しかった」
「………」
「シオン?」
桜はうつむいたガルシオンを除き混んだ
「クラクラします」
「って、お前こういうの弱いのかよ!!」
桜はガルシオンを引っ張ってベンチに座らせた
「飲み物は?」
「要りませんが横になりたいです」
桜はガルシオンの肩をつかんで自分の足の上に寝かせた
「ぁ」
まさか弱いとはな…
まあ、これから絶叫系アトラクションに乗らなきゃいいんだもんな
「大丈夫か?」
「頭を撫でてもらえますか?」
「こうか?」
桜はガルシオンの要望通り優しく頭を撫でてあげた
「うぅ…桜さんに迷惑をかけてしまいました…」
「気にすんな。苦手なんだから仕方ないだろ。
ああいうアトラクション以外にも楽しめるんだから楽しもう」
「はい」
その日の夜
シーの方で幻想的なショーが開かれていた
「綺麗ですね…」
「そうだな…」
桜とガルシオンは言葉少なくショーを見ていた
今日は楽しかったな…
シオンも楽しめたのか?
「シオン、今日は楽しめたか?」
「はい。最高の1日でした」
「なら、よかった」
桜はショーをじっと見つめていた
「…桜さん、少しいいですか?」
「ん?どうしたシオ」
桜の唇はシオンの唇で塞がれた
「…今日のお礼です」
「………」
え?今何が…え?
桜は思いっきりパニックを起こしていた
「桜さん」
「は、はい?」
「楽しんでもらえましたか?」
その時のガルシオンの笑みは可愛くなによりも綺麗だった
「さ、ショーをみましょう」
ガルシオンはショーを見始めてしまったため桜も視線をそっちに向けた
「はむ…れろ…ちゅ…」
桜は変な音と違和感で起きた
「あ、おはようございます。ちゅ…はむ…」
「って、耳を噛むなー!!」
あのあと桜達は部屋に戻ってボケーっとする桜を後目にガルシオンは風呂に入り、
桜も風呂に入るとすでにガルシオンは寝ていた
「朝はおはようですよ」
「あ、ああ。おはよう」
「はい、おはようございます。では、はむ…ちゅぱ…」
桜はガルシオンの肩をつかんで放した
「ではじゃねーから!!なにしてんの!?」
「桜さんのお耳の甘噛みです」
「そういうことじゃねーから、なんで俺の耳を甘噛みしてるかって聞いてるの」
桜は朝から息を荒らげていた
「そこに耳があったから?」
「どこの登山家だよ!!ひとまず甘噛みはダメ!!」
「わかりました。では」
ガルシオンは目を閉じて何かを待っているようだった
「ちぇりお」
桜はガルシオンの鼻を手で潰した
「何をするですか?私はただ目覚めのキスを」
「するか!!」
桜は布団をどけてカーテンを開けた
「んん…あれがなかったらいい朝」
「桜さーん」
桜は後ろを向いた
「ぼふぁ!?」
ガルシオンは軽い浴衣のような物を羽織っているだけなので胸が隠れているか隠れていないのかセウトなレベルで
パンツは見えている
「ガルシオン、ひとまず何か着てくれ」
「あー、今桜さん。私を見てドキッとしましたね」
「ああ、危険がないのに心臓ドキドキだよ。
今にもはち切れそうだから何か着てくれませんか!?」
ガルシオンは仕方ないと言って着替え始めた
桜はすぐにベットにダイブをして布団を被った
「桜さん」
「何?」
「私Eカップあるんですよ」
「そんな情報いいから早く着替えてくれませんか!?」
「ふふふ、面白いです」
桜の朝はどこだろうと騒がしかった
「で、これに乗りたいと」
「はい」
桜はメリーゴーランドの前にいた
「頑張って」b
「桜さんもです」ズルズル…
「止めろよー、放せよー」
桜はガルシオンに引っ張られて白馬の前まで来た
「早く乗らないと困ってますよ」
「…くそ!!シオン覚えてろよ」
桜は諦めて白馬に乗りその後ろにガルシオンが抱きついた
「って、お前は他のに乗れよ!!」
「始まってしまいました。どうしましょ」
ガルシオンは言葉とは裏腹に嬉しそうに桜にしがみついた
なにこれすごく恥ずかしい。やめてほしい
桜は公開処刑されながらメリーゴーランドを乗り終えた
「何あれ…」
「桜さん、楽しかったですね」
「恥ずかしくて死にたくなってた」
桜はポップコーン片手にそんな事を言った
「でも、ありがとうございます。夢が叶っちゃいました」
「夢?」
「はい。二人でメリーゴーランドに乗ることが夢だったんです」
絵本とかの影響かな?
「そうか、シオンが楽しんだならよかったけど…
俺はもう遠慮する」
「えー、また乗りましょう?」
「断る」
桜はそういうとメリーゴーランドから放れた
「だから置いていかないでください」
ガルシオンは桜を走って追いかけた
桜は帰りの新幹線に揺られていた
「この分だと帰るの10時過ぎるかな…」
外はもう暗く電灯が光っていた
…そういえば
「シオン、あの時のキ…ス?」
「すぅ…すぅ…」
ガルシオンは疲れて眠ってしまったようだ
「はぁ…振り回されっぱなしだな」
桜は色んな意味を込めてガルシオンの頭に手を置いた
「えへへ…」
その時ガルシオンはとてもいい夢を見ていたそうだ
読んでいただきありがとうございました!!
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感想くれたら喜びます!!
そろそろバトル描写かな?
今日は連続投稿する…かも




