第63話≡そりゃもう、徹底的にだよね!!
今回は少しグロテスクな表現がありますのでご注意を
「おやおや、ずいぶんと出てきたねぇ」
光の中から出てきたのは目が赤い魔物だった
「ご主人様。あちこちから同じ臭いがします」
「…ゾンビって事だろうが
どういうことだ…」
どうやらインフェルノが出した魔物のほとんどはゾンビのようだ
「アハハ、わかんないようだね。
いいよ。今から死ぬ君達にはネタバラシだ!!
出てこいグール」
すると影からぬるりと老人のような人影が現れた
「お呼びでしょうか…」
「こいつが僕の奴隷、グールだ!!
こいつは死体を一時的に蘇らせることができる!!
さらに僕のアイテム…」
インフェルノの手には鍵が握られていた
「心理の国の王。この鍵を使われた魔物は僕に逆らうことが出来なくなるんだ!!」
つまりこの子はグールで蘇らせてアイテムで強制的に動かしてるって事か…
「どうだい?僕の力は最強だろ?
一つ一つが質も高く数もある。僕には絶対的な力があるんだ!!」
「絶対的な力ねぇ」
桜は立ち上がった
「1つ聞く。お前が麒麟を手にしたらどうした?」
「抵抗しなかったら僕の生きてる犬だろうね。したら殺して死んだ犬だろうね。
結局僕のペットになる意外の道はないんだろうね」
インフェルノはそう言うと高笑いをし始めた
「…さて、動くか」
「桜、ここは俺にやらせてもらう」
桜は抵抗しようとしたが萩の表情を見てやめた
「死んだものを愚弄するのは許さない」
う、うーん。かっこいいんだが悪いんだか…
「死体を愚弄?気持ち悪いもんを気持ち悪いって何が悪いんだよ」
「萩、話すだけ無駄。
あとあいつは俺がやるからな」
「…わかった。徹底的に頼む」
「任せとけ」
萩はこと一言を後々後悔することになる
「さあ、お話の時間は終わりだよ。…死ね」
桜達に向かって魔物達が襲いかかる
「…アンデット」
萩が呟くようにいった
「アハハ!!この時間が楽しい!!」
しかしインフェルノの思いとは裏腹に魔物の動きはすぐに止まった
「ん?どうしたっていうんだ?早く動けよ」
「無駄。俺のゾンビ達をなめんなよ」
魔物達の脚は皆、地面から現れたゾンビ達に固定され動くことが出来なくなっていた
「処刑人」
すると地面から自分よりも何倍も大きな斧を持ったゾンビが現れ各々位置についた
…よし、NGだな
桜は闇の魔術を使って女の子皆に目隠しをした
「え?なにこれ見えないよ?」
「GJ」
「だろ?」
ザシュ…
魔物達に一斉に斧が下ろされていく
「注意する人物間違えたかな…」
「く…アハハハハ!!死体を殺してどうするの?アホなの?」
「それはどうかな?」
萩の本から黒いもやが生まれる
ンガッ
脚を押さえているゾンビ達の口が一斉に開いた
「は?」
「こういうこと」
魔物達はゾンビに食べられて跡形も無くなった
貴重なゾンビの食事シーン……見せられないよ!!
「リッチ!!」
「肉体がございませんので…」
桜はその場がR指定解かれるのを待ってから闇の魔術を解いた
「クー君。今のは?」
「こう…みなくていいんじゃないか?」
はぁ…今夜絶対夢に出るよ…
「でも、終わったのは陸のやつらだ!!行け!!」
大きな鷹のような鳥達が桜達に向かう
「桜、対空はできてないから任せた」
「打ち落とせばいいばんだろ?」
桜はナイフをいくつも空中に投げた
「ナイフ?そんな攻撃が届くと」
「サンダガ」
桜がそう言うとナイフから雷が発生し他のナイフと連結した。
結果、雷の網のようになりその近くを飛んでいた鳥達はすべて打ち落とされた
「あ、一匹こっちにくるな」
打ち落とした鷹のような鳥が桜達に向かって降ってくる
「ここは俺の出番」
「なあ、俺暇で暇で仕方ないんだけど」
萩は聖を無視して本を広げた
ヒュォン!!
鷹は本に吸い込まれ何事もなかったかのように静かになった
「うまくいけば対空の戦力になるな」
「あー、これから交渉?」
「いや、終わってからやろうかなって」
いやー、萩も大変だなぁ。
で、お前は黙ってると思ったら違うのね
桜の攻撃予測が発動したため桜は手を向けようとした
「……ダメッ」
「って、何で皆、前出たがるの!?」
インフェルノの桜達に熔岩を投げつけたため桜が対処しようとしたら鳴が前に出てしまった
って魔術使うなら変に手出しも出来ないし
ビュン!!
『は?』
全員が口をそろえた。
それも仕方ない事だ。なぜなら熔岩は鳴の前でクルッとターンしてインフェルノの方に向かったからだ
「ちっ」
インフェルノはすぐさま目の前に魔物の死体を出して熔岩を防いだ
「鳴、今のは?」
「…アイテム」
あー、なるほど。
鳴のアイテムってカウンターとかリバース系なのね
「ちっ…面倒なもの持ちやがって」
インフェルノは盾にした魔物を熔岩で溶かして退かした
「…お前、魔物をなんだと思ってんの?」
「魔物?
下僕、盾。
他にも色々と言い様は有るけど僕に都合のいい存在だよ」
…これが一般的な考え方だよな
「というより、君だってたくさんの魔物を連れてるじゃないか。少なくとも麒麟の他にも連れているように見えるよ。
そんな君と僕とどうちがうんだい?」
インフェルノは桜達の雰囲気を無視して話続ける
「僕と大して代わらない君にああだこうだ言われたくないね!!」
「確かにな…
俺とお前じゃ大した差はないだろうな」
桜は笑っていた
「だけどな、お前は気にくわない。
だから…潰す」
桜は真面目になり、冷たい声で言いはなった
「さ、桜。落ち着」
桜は1本のナイフをインフェルノに投げつけた
さて…徹底的にだったよな
「あれ?今お兄ちゃん…」
朱音は桜に少し疑問を持ったが目の前の事で疑問は消えた。
桜の投げたナイフは一瞬にして横一面に増えてインフェルノに向かった
桜はその間に横に走り始めた
「な、何した!?」
インフェルノは熔岩で壁を作ってナイフを全て溶かした
「はっ。ビックリはしたがこんなもんだろ!!」
インフェルノは桜に向けて壁から熔岩を飛ばした
「これで」
「残像だ」
熔岩に当たったはずの桜はインフェルノの後ろに立っていた
「な」
「遅い」
桜はインフェルノの腹に一撃を与えて人一人分宙に浮かせた
死にそうになったら…水奈がいるしな
桜は一瞬でインフェルノの上に現れると蹴りをかます。
今度はインフェルノの下に現れまた宙に浮かた
桜はそれからインフェルノを低空で蹴りのコンボを決めると地面にインフェルノを叩きつけた
「かはっ…」
「まだ、腕とか肩だけだよな?」
桜は闇の魔術を使ってインフェルノと共に闇の中に消えた
「…あいつ完全に消えてたよな?」
「うん。お兄ちゃん、動くとき消えてた。
それにあの時お兄ちゃんが少しぶれてた」
「ぶれてた?」
朱音は頷いた
「クー君、まだ隠してるのかもしれませんね」
「あ、帰ってきたよ」
闇から飛び出た桜はだめ押しとばかりに浮いたインフェルノを地面に叩きつけた
「………」
「ふぅ…水奈!!こっち来てー」
呼ばれた水奈達がインフェルノを見ると呆然としていた
「…いやいや、徹底的にやれとは言ったけどさ!!」
「…人の体がこんなに曲がる…訳ないよな」
気絶しているインフェルノは両肩、手足の骨は完全に砕けて見るも無惨な光景になっていた
「お兄ちゃん怒っちゃっの?」
「みたいだな。
徹底的にしてみたらこうなったが」
水奈はため息をつきながらインフェルノの怪我を直していた
「で、お前何した?」
「ん?なんのこと?」
「…にぃ、消えてた」
「あー、その事」
桜は頭をかきながら苦笑いをした
「時間魔術使って時止めてた」
『は?』
「だから時間魔術。覚えたから改良したら止めれた」
桜の言葉に皆あきれ始めた
「お前、そんな高度な魔術どこで覚えたんだよ…」
「結構、最近」
ま、あの試合を見てればだけど
「シオンお姉ちゃん」
「おー、冴えてるねジャイアントちゃん」
ガルシオンが近くに引っ越して来たため遊びに来るうちに、桜以外とも交流を深めて女子会等も開いているらしい
『…あー』
「覚えちゃった☆」てへぺろ
「「きも」」
即答するなよ…
悲しくなってくるだろ…
「クー君、治りました」
「流石!!水奈はできる子。
さて…そこの筋肉!!」
エクスプロージョンはびくりと体を動かした
「…俺はお前と戦う気はねぇぞ」
「違う違う。こいつ引き取れ」
桜はインフェルノの首を掴んで持ち上げた
「…わかった」
エクスプロージョンは警戒しながら桜からインフェルノをもらった
「さて…帰ろうか。
あ、ジャイアントちゃん。飴ちゃん」
桜が飴ちゃんを渡すと嬉しそうに頬張り始めた
「お、おい!!」
「3対1。
お前だって聖と戦いたいならここは引くべきじゃね?」
「…そうだな!!お前話わかるやつだな!!絶対に戦いたくねぇけど!!」
最後の一言は余計だ
エクスプロージョンはインフェルノを抱えてどこかに消えていった
「よし、帰ろうかって萩は交渉してるし」
桜が振り向くと萩が本を開いて交渉を始めていた
「桜」
「どうした、聖?戦いは最小限に」
「なってねーよ!!俺が後々戦うみたくなってるじゃねーか!!」
「これから会うって事もないかもだろ?」
桜は聖が掴もうとするので何とか逃げていく
「これ絶対戦うことになるよね!!」
「まーさかー」
そんな偶然ありえない
「桜、飛んで帰ろうぜ」
「ふぁ?飛んで?なん……短剣に座標入れ忘れてた…」
桜は部屋の座標を短剣に入れ忘れてインフェルノ達のところに来たため帰る手段が無くなっていた
「何しとん」
「…ほら、空から見れば…ね」
「ね、じゃねーよ!!韓国わかんねーのに空から見てわかるか!!」
桜の冷や汗がマッハで流れていく
「いや、ほら。奇跡とか」
「んなもんねーよ、バーカ!!」
すると萩がボロボロの鷹のような生き物を3匹だした
「ま、動いてからにしようか」
「「うーす」」
桜一家は鷹に乗って空を舞った
「おおー!!めっちゃきれー!!」
鷹の上であぐらをかいている桜
「きもちー!!」
膝立ちで桜に片手を乗せてはしゃいでいる朱音
「あはは、たまにはいいですね」
桜を後ろから抱き抱えて笑顔の水奈
「す、少し寒いのじゃ」
桜の左腕をギュっと抱き締めている神楽
「…楽しい」
桜のあぐらの上に座っている鳴
「鳴、うちはこういう家族だ!!
嫌だったら諦めろ!!」
「…楽しいのは好き。それに」
鳴は桜の首に腕を回して頬にキスをした
「…にぃも好き」
「お兄ちゃん!!」「クー君!!」「兄上!!」
「ちょっ、まっ。お前らこんなところで暴れたらギャー!!」
鳴以外の3人が桜に攻撃を始めて桜は2回は鷹から落ちた
「し、死ぬかと思た」
桜を鷹から落として3人はすっきりしていた
「お兄ちゃんが悪い」
「そうです。クー君が悪いです」
「兄上は少し学ぶといいんじゃ」
俺がいったい何をしたと…
「桜!!遊ぶのもいいけどホテル探せやー!!」
「スマソー!!
ちゃんと探すよー!!」
てか、こんな命をはった遊びって洒落にならないぞ
「…にぃ、あっち」
鳴は桜の服を引っ張ってある方向を指差した
「ホテルがあっちってことか?」
「………」コクリ
「萩!!あっちにホテルだって!!」
よし、これで帰れるな
「兄上頬を出すのじゃ!!」
「なにする気だ?」
「チューじゃ!!」
「断る!!」
桜は今度は鳴も合わさって鷹の上で鬼ごっこをした。
桜はホテルに着くまでに3回はスカイダイビング(パラシュートなし)を体験することになった
そして、波乱に道溢れた修学旅行は幕を閉じた
読んでいただきありがとうございます!!
誤字脱字がありましたら報告お願いします!!
感想くれたら喜びます!!
戦闘の時の表現をだいぶ緩く書きましたがもうちょっと生々しい方がよかったりします?
ぶっちゃけ修学旅行にあんまり思い出がないんだよな…




