第54話≡あなたはいったい…
今回は主にガルシオン視点です
side:ガルシオン
『今、優勝者のガルシオン選手にトロフィーと魔宝石が渡されました!!』
わぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!
「おめでとう」
「ありがとうございます」
ガルシオンは東北大会に優勝しその授与式を行っていた
…いつも通りの授与式。
早くアルファさんとお話したいんですが…
ガルシオンは微笑んでいたが心残りがあった
「皆さん、応援ありがとうございまーす」
わぁぁぁぁぁぁ…!!
『シウォンちゅぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』
はぁ…後で岩手支部の人に聞いてみましょう
ガルシオンは観客に頑張って手を振りながらこれからの事を考えていた
「あの…岩手支部の…」
「ん?なんじゃヴァンパイアの嬢ちゃんか。
優勝おめでとう」
「はい。ありがとうございます。
それで…アルファさんは?」
「アルファならもう帰ったぞ。
あやつは特に他人と関わろうとしないからの」
え…もう帰った?
直接会って言いたいことあったんですが…
「でしたら、アルファさんの住職等は?」
「すまぬの。それも固く口止めされておるのじゃ」
「そう…ですか…」
困りました。
どうにか場所だけでも解ればと思ったんですけど…
「やつと関わっても面白いことなど何もないわい。
それとうちの支部にも強いやつはたんまりとおるわい。気軽に遊びに来るがいい」
「はい。ありがとうございます」
ガルシオンが礼を言うと満足そうにマスターは去っていった
「…はぁ」
「お嬢様」
ガルシオンの影から声だけが聞こえてきた
「どうしましたか?」
「今夜はもうすぐ暗くなります。
気がかりなのはわかりますが今慌てる必要はありません。
今夜はホテルに行き、明日探すのが最善の策かと」
「…そうですね。
ホテルに向かいましょう。
それとアルファさんについて調べてくださいね」
「かしこまりました」
ガルシオンは宮城支部の長に言い、いち早くホテルに向かったのだった
「お早うございます。
紅茶を」
「………」
ガルシオンは家系の関係で朝に弱いのか少しボーっとしながら紅茶を飲んでいた
「…ケルピー、今日の予定は?」
「は。
朝から夜にかけて取材、写真の撮影。テレビの出演等がありまして終わるのは22時頃になるかと」
「…そう」
ガルシオンは開いたティーカップを渡して着替え始めた
「アルファさんについて何かわかりましたか?」
「申し訳ありません。
彼についての情報は試合の時の情報以外わかりませんでした」
ガルシオンはケルピーに着替えさせながら一瞬不愉快そうな顔をした
「そうですか。でも必ず見つけてくださいね」
「は。
お嬢様、朝食の準備ができていますが」
「お腹は減っていないので遠慮します」
ガルシオンはベットに座り直して楽しそうに足をブラブラとしていた
「お嬢様、ずいぶんとご機嫌なようで。
何か楽しい夢でも?」
「ふふふ、やっと楽しいおもちゃを見つけたんですもの。早く見つかりませんかね~」
ガルシオンはマナ、アイテムに恵まれ、家で魔術師として散々鍛え上げられてきている。
そのため同年代では負けることはなくなってしまいいつも年上の人達と対戦をしてきているのである。
最近ではその年上の人達にも勝つことが難しくはなくなってしまったため多少マンネリ化していたのだ
「お嬢様、そろそろお時間です」
「そうですか。アルファさんの事お願いしますよ」
「かしこまりました」
ガルシオンは少し足軽く部屋を出ていったのだった
「…ふぁ…少し眠いですがやりましょう」
あくびを噛み殺したケルピーはアルファ捜索を開始するのだった
「お嬢様、お疲れ様です」
ケルピーは撮影や取材などで疲れたガルシオンを労っていた
「ふぅ…暖かいシャワーを浴びたいところですね」
「お風呂はすでに沸いています」
「それよりもアルファさんの事。
どうでしたか?」
ガルシオンは疲れながら目を輝かせていた
「申し訳ございません。どこの情報網にも引っ掛からず何も…」
「そう…ですか…」
ガルシオンはベットに座りまた足をブラブラとし始めた
「あ、そうだ。これから岩手支部に行きましょう?
見つかるかも」
「かしこまりました」
ケルピーは一度影に入ると白い布に包まれた短剣を持って出てきた
「お嬢様、これを」
「さて、行きましょう!!」
ガルシオンはホテルの中で短剣を使い岩手支部に飛んだ
「お嬢様。私目に策がございます」
「ん?策?」
「はい。
恐れながら申し上げますがお嬢様はすでに有名人」
ガルシオンは首を縦に振りながら答える
「そこでお嬢様が人目を惹き、私目が騒ぎが起きないようアルファ様らしき人を探すと言う策はどうでございましょう。
もうひとつ助言しますとアルファ様は人とあまり付き合わないお方です。すぐにわかるかと」
「うーん…そうですね。
私が動くと人が動きますから…そうしましょう」
「ありがとうございます」
事はケルピーの策通りに動いた。
ガルシオンが人通りを歩くと人だかりが出来て人と群れない人がすぐにわかった
「ケルピー、どうでしたか?」
「…それらしき人はいました」
「そうですか。皆さま、ありがとうございます」
ガルシオンはケルピーのアイテムを使って認識を地面の中にずらした
ガヤガヤ…
「ふふふ、これで隠れれますね」
認識を地面の中にずらすと人からはまったく見えなくなる。
つまり簡易的なと透明状態になることができるのだ
「それで、ケルピー。どこにいるんです?」
「あそこです」
ケルピーが指差したのは全身を黒いマントで覆い仮面も真っ黒。
さらに青髪の奴隷を出している人がそこにいた
「…ケルピー、アルファさんの奴隷は銀髪ですよ?あの人では」
「黒いマントの人は体格も同じ。
変にマスターに聞くよりもこの人を追跡した方が確率的に高いかと」
ケルピーがそう言うと考え込み始めた
「…行きましょう。
とこに向かったんです?」
「すでに」
ケルピーは短剣を白い布に包んでガルシオンに渡した
「では向かいま」
「お嬢様、今飛んだら鉢合わせになるかと」
「そうでした」
ガルシオンは人のいない森の中に向かった
「そろそろ頃合いかと」
「では、改めて行きます」
ガルシオンとケルピーは桜の向かったクエストに飛んだ
「また森の中です」
「…私は潜っています」
ケルピーは歩いた時の音でばれると思いガルシオンの影に入った
「…では、アルファさんは
あ、いました」
桜たちも始めたばかりのようで案外近くにいたが服のせいで見つけずらかった
「あれ?他にも」パキッ
あ、枝を…
ガルシオンはすぐに下がって姿を隠した
「ん?…動物か」
…よかった。ばれてないみたいです
桜達はガルシオンに気づかずに奥へ奥へと進んでいく
「…ケルピー」
「は」
ケルピーは望遠鏡を一つとマナで望遠鏡の変わりをするグラスをかけていた
「…どうやらアルファ様で間違いがないようですね」
「ふふふ、そうでしたか」
ケルピーは遠目に銀狼を確認して確信していた
「ですが…どうやらアルファさんは奴隷を複数所持しているようですね」
「アルファさんのアイテムは“アースウェポン”のはずです」
「片目の色が違います。どうやら邪眼持ちのようです」
その言葉がガルシオンの心に刺さっていく
「…アルファさんはどこまで私をこけにすれば…」
「……(お嬢様が恐ろしくて見ることができません。
アルファ様、お願いですからやめてください)」
ケルピーが横のオーラに怯えているとグラスに桜とヘルハウンドの戦闘が写った
「お嬢様、アルファ様達が戦闘を始めたようです」
ガルシオンは望遠鏡で桜の事を観察し始めた
「…今、何もない空間から武器を錬成してませんでした?」
「はい。土の量も減っていないため“アースウェポン”は使っていないようですね」
それから桜は棒を巧みに操りヘルハウンドの動きを止めた
「…お嬢様、目隠しをさせていただく可能性があります」
桜はヘルハウンドと自分に鎖を噛ませて黒いオーラが包んだ
「…何をしているのでしょう」
「わかりかねます」
するとヘルハウンドは正気を取り戻し桜と会話をし始めた
「どうやらマナを魔素に還元していたようですね」
「…さっきから魔術で解決できないような事をしていますね」
ヘルハウンドの鎖を解き虹色の空間を作ってヘルハウンドはそこに消えた
「…次元の裂け目
お嬢様、アルファ様は次元魔術も使えるようです」
「…もういいです。彼に直接聞いてきます。
ケルピー、あなたは下がっていなさい」
「は」
ケルピーは影に入りガルシオンは足を進めた
「アルファさん。これはどういう事ですか?」
「「「「え?」」」」
全員がガルシオンを見た
「…なんでここにいるんだよ」
桜の驚きでそれしか言えなかった
sideout:ガルシオン
side:桜
「それでどういうことです?」
「…クーよ。バレてしまうとは情けない」
「ストーキングされるとは思わんて」
桜達はクエスト後にマスターの部屋を訪れていた
「人聞きが悪いです。私は尾行していただけです」
「それ、英語に直すとストーキングだからな」
桜のツッコミはスルーされマスターに詰め寄っている
「はぁ…ヴァンパイアの娘よ。
こやつは運があるのかないのかよくわからないやつなんじゃ。
わしらはこやつの能力を隠しながら生活しておる。わかってはもらえんか?」
ガルシオンはそれを聞き少し悩みだした
「言いたいことはわかりました」
「お?だったら」
「でもダメです」
…えー、わかってくれてねーじゃん
「ヴァンパイアの嬢ちゃんは何がしたいんじゃ」
「アルファさんともう一回戦わせてください」
…また適当に負けようかな
「でも今度は一対一。ハンデなどはない状態で戦いたいです」
「…お主今ハンデ無しと言ったな?」
あ、マスターのこの顔は何か企んでる時の顔だ
「ガルシオンさん。やめといた」
「はい。ハンデ無しで」
「それを叶えてやればクーの事は言わないんじゃな?」
「はい」
えー、なんかまた戦うような雰囲気じゃん
「わかった。お主に弱味を握られてしまったんじゃ仕方ない。
クー、お主に何もハンデをつけずヴァンパイアの娘と戦え」
「…はぁ」
「よろしくお願いしますね」
お願いされたくねー
「クー、お主全力でやるのじゃぞ?
一対一じゃから奴隷の方も気にしなくてすむしの」
…そういえば威力でかすぎで使えない魔術があった希ガス
「あ、でもお客さんとか」
「んなもん入れるわけないじゃろうが」
…よし、ぶっぱしてやろう
桜達はマスターの部屋から出てバトルフィールドに向かった
「ついでにバトル最短記録は1分じゃ」
「…それを越えろと?」
「できるじゃろ?」
ま、やってやりますか
以外と乗り気な桜である
「あれ?ナイフじゃないんですね」
「今はこの方が楽だからな」
桜の手には杖が握られていた
「そういえばちゃんとした自己紹介をしていませんでした。
私はガルシオン。気軽にシオンとお呼びください」
「俺はクー。
気軽によろしく」
3
「私は本名ですよ?」
2
「本名は勘弁してくれ」
桜は苦笑いをした
1
「私が勝ったら本名を教えてくださいね」
Fight!!
「勝てたらな」
桜は始まったそうそう杖を横にして構えた
「(まずは集束してっと)」
「さらにこれ」
動き出そうとしたガルシオンは上からの強烈な力に負け地面についた
「か、体が…なにこれ」
「自分の『影』からいきなり『鮫みたいな顎』がいきなり噛みついてきたらそれはそれでホラーじゃないか?」
「何を言って」
ガルシオンの体は軽くなり立ち上がろうとした
「言霊って面白いよね。
“シャドーファング”!!」
ガルシオンの影から鮫のようなものが飛び出してガルシオンを影の中に連れ去ろうとする
「な、何?
さっきからなんですか」
「闇魔術ってのは強力だけど相手の影に触れてないといけない。
その点光魔術ってすごいよな」
桜の杖に光が集まりだした
「攻撃力もあるんだから。
“スター○イトブレイカー”!!!!!」
桜の杖から極太の光線が発射され地面ごとガルシオンを消し去った
「ふぅ…ネタとして撃てないのが難点だな」
You win!!
「時間は…25秒か…ま、スッキリしたし、いっか」
桜は試したかった魔術が試せてホクホク顔でフィールドを出た
読んでいただきありがとうございます!!
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