第51話≡決勝戦~VSガルシオン~前編
「まさか本当にお主が決勝までいき、ヴァンパイアの娘と戦う事になるとはの」
「えー、マスター。俺がいくと思ってなかったのかよ…」
桜は決勝前日にマスターの部屋に訪れていた
「すまぬ、すまぬ。
しかし、あやつは強いぞ」
「まぁ、死なないように頑張るだけですからね」
てか、決勝まで勝ち進んでる時点で相当強いだろうな
「俺が縛りいれてなかったら勝機があったんでしょうが…」
「お主が本気を出したらトップ10のやつらだって1分持てばいいほうじゃよ」
「あはは、またご冗談を」
マスターの目は本気だった
「ごほん。
それよりマスター。そのガルシオンって言う人について何か情報はないんですか?」
「それはの…」
マスターはそれだけ言うと黙ってしまった
「どうしたんですか?」
「いや、お主が会場で確認した方が面白いと思っての」
「えー…」
そこ、面白さ取っちゃう?
「ヴァンパイアの娘じゃってお主の事を知らないんじゃ。
お主だけに教えると言うのも武士道じゃないじゃろ?」
…少なくともあっちは俺の戦い方を知ってると思うんだけどな
「それにお主はその場でわかって対処できるじゃろ」
「いや、こう…対策くらいはたてたいなーっと」
アヌビスさんの時なかなか大変だったし
「うむ。ダメじゃ」
「うぇーい。
俺に何もせずに倒れろと?」
「別に倒れろなんて言っておらん。
お主にはこのくらいが調度いいんじゃよ」
…はぁ。
結局その場のノリと勢いで対処しないといけないのか
桜はそんな事を思いながら紅茶を煽った
「クー君、頑張ってくれよ。
僕たちも久々にどんちゃん騒ぎをしたいんだ」
と、少し顔色の悪いアヌビスが言う
「ふん。昨日散々飲んで何を言っている。
それにこいつの名前はアルファだろうが」
そう言って謝ってくるリーダー
「見せ物にもならない試合だけは止めてくれよ」
『(それは保証できないかな。
てか当事者じゃないからって散々な物言いだな!!くそー!!)』
「ま、適度に無理しない程度に頑張るのがいいよ」
と、だるそうにしているスーツの男がそう言う
『(あんたはもうちょっとやる気を出した方がいい気がするぞ?)』
『ありがとうございます。
無理しない程度に頑張ってきます』
岩手代表の人たちは桜を激励すると控え室を出ていった
『泣いても笑ってもこれが最後の試合だ!!
岩手のダークホース、アルファ対
宮城の時間姫ことガルシオン選手の対決です!!』
『ガルシオン選手が優勝候補って言うことは知っていましたが、まさか初出場で無名のアルファ選手が決勝まであがってくるとは思いもしませんでした』
『(俺もまさかここまでくるなんて思いもしなかったしな)』
『さて、その注目の決勝戦。
数分後には始まります!!
奇抜な戦い方をするアルファ選手。
女の子とは思えない火力をもつ若手ナンバー1のガルシオン選手。
勝利の女神はいったいどちらに微笑むのか!!』
『シオンちゃぁぁぁぁぁぁぁぁん!!』
『おお。親衛隊の皆さんも盛り上がっています!!』
『ガルシオン選手は強くて可愛い、その上性格も上の上。
これで男が魅了されないのは不思議な話ですね』
『(…そういう子って小さい頃に苦労している人が多いよな)』
『では、決勝戦からみる皆様もいるでしょうし、おさらいです。
アルファ選手のアイテムは地上の贈り物。
土があれば武器を量産できるアイテムですね。
ガルシオン選手のアイテムはいかれた古時計。
少しの間、自分の時間操作が可能になるというアイテムです』
『(うわー。時間魔術とか見たことすらない品物だ…
でも自分だけってところがまだましなところか)』
『さて、決勝の始まる時間となりました!!今、東北のナンバー1が決まる戦いが始まろうとしています!!』
『さて、行くか』
桜はアナウンスを聞きながらカプセルの中に入ってワープした
ブゥゥゥゥゥ!!!!
『(…もうブーイングしかないじゃん)』
『先に現れたのはアルファ選手です!!会場はブーイングの嵐!!
会場の流れはすでにガルシオン選手に落ちたも同然でしょう!!』
『ガルシオン選手がまだ登場すらしていないのに場の流れが決まるってすごいことですね』
『(いいよ。これがラストなんだろ?こんな公開処刑してないで早くバトルしようぜ!!
…あれ?目から汗が)』
『後はガルシオン選手が来るだけです。彼女はいつ来るのでしょうか』
『彼女はまったりしてますから。
マイペースといいますか…』
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
『シオンちゃぁぁぁぁぁぁぁぉん!!』
ガルシオン親衛隊が大きな旗を持ってお祭り騒ぎとなり始めた
『っとここでガルシオン選手の入場です!!すごい熱気です!!』
『いやー、アルファ選手とは真逆の盛り上がり方をしていますね』
『(俺が何をしたって言うんだよ…)』
そんな桜を尻目にガルシオンは武器であるランスを地面に刺して観客に手を振っていた
『素晴らしい!!ガルシオン選手、ファンサービスも忘れません!!
』
『(…これが人気者の差なのか…)』
桜はそんな事を思いながら近づこうとしないガルシオンに近づいた
「あらあら。あなたが今日のお相手さんですか?」
桜はこくりと首を縦に降った
ドンドン
シオンちゃぁぁぁぁぁぁぁぉん!!
「そうですか。お互いに頑張りましょうね?」
桜は紙にペンを走らせ、渡した
負けるなシオンちゃぁぁぁぁぁぁぁぉん!!
『お互い後悔だけはない戦いにしよう。
無理はしない程度に
読み終わったら紙から手を放してくれ』
「そうですね。無理しないように全力で戦いましょう」
そこの仮面野郎何親しく話してやがんだ!!
ガルシオンはそう言うと紙を綺麗に折り畳んでポケットにしまってしまった
『(あれー…あの紙、風に当たって風化する仕組みなんだが…
しかも1分で効果がきれるようになってるんだが…)』
「どうかしました?」
今日も可愛いよー!!
桜は首を横に振ってからガルシオンに背中を向けた
「後で一杯お話ししましょうね」
早く離れろ厨二病!!
『(…外野うるさ!!
最後の方とかただの悪口じゃねーか!!)』
『さあ!!挨拶もすみました!!これからゴングが鳴ります!!』
『もうすぐで観客からの声が遮断されますからアルファ選手も戦いやすくなるでしょう』
『(…本当、その魔術が張られててよかったよ)』
騒がしかった観客からの声もなくなり桜の前に半透明の板が出てきた
板には黒い背景にアルファVS
ガルシオン・V・ウルバヌスと表示されていた
『さて、頑張りますか』
桜がそう呟くと朱音が影から飛び出してきた
「そうだね。これが最後だもん!!」
朱音は槍を地面にさして軽く体をほぐしていた
『始まるぞ』
「はいはーい」
3
「私はガルシオン様の従者。ケルピーというモノです。以後お見知りおきを」
ガルシオンの横には朔の奴隷とはまた違うオーラを出している細目の執事が立っていた
2
「私はお兄ちゃんの奴隷の銀狼だよ!!全力で行くからね!!」
『(うん。朱音は今日も元気だな)』
1
「あ、あなたが噂の変態さんでしたか」
『(ちょっと待て!!今聞き捨てならないこ)』
Fight!!
『(…今の俺は泣いていいはず)』
「お兄ちゃん!!指示!!」
見ると既にケルピーは動き始めていた
『(はぁ…)アシスト:スピード
朱音は奴隷の方を惹き付けてくれ』
「わかった!!」
指示を飛ばすと朱音はすぐさま動いて少し離れたところで戦闘を始めた
「私達も始めましょう?」
『(ナイフでランスをいなすのは辛いだろうな…)』
桜は地面に手をついて2本の洋刀を作り上げた
ガルシオンは人とは思えない速度で桜に近づいてランスを放った
『(魔術?炎と…みたことないな)』
桜は洋刀に水の魔術を走らせてガルシオンの突きを洋刀2本がかりで弾いた
『(おっも!!こいつ本当に女子かよ!?)』
ガルシオンの炎の魔術は水の魔術で相殺されたがガルシオンの一撃は桜が思ってる以上に大きなものだった
「おお?私の攻撃を弾きましたか…
これは驚きです」
桜は隙だからの腹に洋刀で一閃したが簡単にかわされてしまった
「でしたらこれは、いかがですか?」
ガルシオンはさっきと同じくランスを放った
『(線も1本。
魔術も変化なし
さっきと同じ?)』
桜はさっきと同じくランスを弾いた
『嘘!?2本目!?』
「引っ掛かりましたねー」
攻撃予測の線は2本重なっていたようで、桜はそれに気づけなかった
ガルシオンのランスを弾いた後すぐに謎のマナでランスの形が作られ桜に放たれた
『(ヤバッ!!これはキツいぞ!!)』
桜はすぐに“エアーボム”で弾かれた洋刀を持ってきて胸の前で×印を作った
バキッ!!パキッ!!
桜は洋刀が折れたのと当時に横に転がるようにして回避した
『(…肩をかすったか)』
桜のHPは少し削れており桜も肩に痛みがあった
『おお!!アルファ選手初ダメージだ!!
流石のアルファ選手もガルシオン選手の攻撃は避けきれなかったようだ!!』
『仕方ありませんよ。ガルシオン選手のアイテムは時間を操るものですから』
『(…時間?…どういうことだ?)』
「ふふふ、動けてませんね。
私のアイテムは私の攻撃の結果を操る事ができるんですよ」
『(攻撃の結果を操る?)』
「だから、慣れればこのような事も」
ガルシオンはダッシュして桜との距離を積めた
『(は!?攻撃予測が3つ!?)』
桜はひとまず攻撃を受け流すようにバックステップをしてかわそうとした
桜がバックステップをしたときと同じタイミングでみたことない魔方陣がガルシオンのランスにかかった
魔方陣は空中で二つに増えてランスを型どり桜を突こうとした
桜には実質、3本のランスが襲ったがバックステップをした桜を襲うことができたのはガルシオンのランスだけだった
「甘いですねー」
ガルシオンのランスに炎の魔方陣がかけられる
桜はそれと同時に自分の体の下に“エアーボム”を入れて体を弾く準備をした
「受けてくださいね?」
『断る』
ランスの先端から炎の弾丸が飛ばされた。
桜はそれと同時に“エアーボム”を発生させ自分の体を弾いた
『おお!!なんという攻防!!見ていてとても楽しい試合です!!流石は決勝戦ですね!!』
『炎のB等級魔術の“フレイムシュート”をCC等級いけばいい方の“エアーボム”でかわす…
アルファ選手の魔術の使い方は見ていて飽きませんね』
桜はその後、壊れた洋刀から風魔術を発生させガルシオンから距離をとったところに着地した
『…攻撃を他のところにも打てるのか…厄介って事はわかったけどまだよくわからないな』
桜はひとまず靴を“ウィンドウブーツ”にして洋刀を2本作った
『次はこっちからだ』
桜は“ウィンドウブーツ”で加速して腹部を斬り裂こうとした
ガルシオンは口調とは真逆の早さでランスを振るい洋刀を防いでいた
『かかった!!』
桜はランスに攻撃したのを確認し“ウィンドウブーツ”で回り込んで背中を斬ろうとした
「随分とお早いんですね」
桜の剣撃にガルシオンはランスで防ごうとしていた
『よし、間に合わな』
ガキン!!
桜の剣撃は見事ランスに防がれていた
『(…だいぶわかってきたぞ)』
桜が確認したのはランスにみたことない魔方陣がかかるとランスの先端からランスの形の魔術が出てきて桜の剣撃を防ぎランスと同化するところだった
『(今のが攻撃の結果を操って早めたってところか)』
桜はつば迫り合いを止めてまた距離とった
『(さて、どうやって攻略するかだな…)』
桜は後ろを向いて剣を振るった
ガキン!!
「完全に死角だと思ったのですが…」
ケルピーが後ろで片手用の長めの剣を振るうのを感じて桜も防ぐ事が出来た
「しかし、私の相手をしてもよろしいので?」
桜はケルピーの剣にムーンサルトを決めて後ろを確認するとランスを構えたガルシオンが待っていた
「どうですか?」
桜が地面につくと同時についた
『(まあ、これくらいなら…)』
ランスは顔面を狙って放たれていたため桜はしゃがんで避けようとした
『(あ、加速しとる)』
ガルシオンは攻撃の時間を早めて桜を突いていたため桜は完璧にかわすことができなかった
『あっぶね…当たるかと思った…』
桜はかわした後にガルシオンの腹部に蹴りを入れて遠くに飛ばした
『よし、ダメージは入れ』
カランカラン…
「あれ?なんか涼しい」
桜の仮面は二つに割られて地面に落ちた
「ふふふ、やっと素顔を…え?」
「(…どうしよう。
仮面だけが壊れることなんて予想してなかったよ…)」
ガルシオンは桜の仮面の下を見て驚きの声をあげた
『こ、これは驚きだー!!
アルファ選手は今まで目を隠しながら戦っていたのか!?』
『これは驚きですね。
彼は目を使うことができないのでしょうか?』
「…どうして目隠しなんか
…私を馬鹿にしているんですか?」
「い、いや。そういう訳じゃ」
桜は言い訳を考えていたがその間にガルシオンから不気味な雰囲気が立ち込めた
「ふふふ、いいですよ?あなたが私を馬鹿にするなら私もそれ相応の対応をさせていただきます」
桜からは見えないがガルシオンはとっても怖い笑みを浮かべていた
「いや、だから」
「私はこれから徹底的にあなたを倒します。よろしいですね?」
「いやいやいや!!よろしくないから!!」
「(この人、人の話を聞く気あるの!?)」
「…こうなったお嬢様を見るのは久し振りだ。
アルファ様、敵ながらエールを贈らせて頂きます」
「いらねー!!
てか、なんだよそのエールって!!怖いわ!!」
「お兄ちゃん!!頑張ろう!!」
「(…ここに俺の理解者誰もいないのね)」
桜は脱力しながらガルシオンに向き直った
「お手柔らかに」
「嫌です♪」
これがガルシオンとの本当の戦いが始まった瞬間だった
読んでいただきありがとうございました!!
誤字脱字がありましたら報告お願いします!!
感想くれたら喜びます!!
ガルシオンのアイテムのイメージはほむほむです




