第42話≡そばに居てやるよ
今日最後の投稿です
次からバトル描写が書けるので頑張りたいと思ってます
「たらいもー」
ダッダッダッ…
「お帰りなさい!!」
「ばとふ!?」
玄関を開けると朱音が走ってきて鳩尾に綺麗なタックルを極められたんだ。
何を言ってるかわからないだろうが俺もわからねぇ
鳩尾を押さえて倒れたいところだが流石は朱音。
桜の鳩尾をロックして頭をグリグリと押し付けている(桜視点)
「お帰りなさいクー君って朱音!!クー君がグロッキーな事になってますよ!!」
「え?」
朱音が鳩尾のロックを外してくれたらお陰で桜はやっと痛いところを擦ることができた
「朱音、俺になんの恨みが…」
「アハハ…ごめんなさい、(嬉しくて)つい」
俺が隙を見せたからつい鳩尾にタックルをしたと…
「クー君大丈夫ですか?」
水奈はうずくまる桜を介護すると同時に手のひらの傷をみた
「…今日も家族会議があるんですか?」
「………」
なぜわかったし。
え?ガチでなんで?
「それよりも今は治さないと」
水奈が桜を擦ってたお陰もあり3分もすれば回復していた
「お兄ちゃん、本当にごめんなさい」
「結果的に治ったから大丈夫だよ」
改めて朱音の破壊力を身を持って知ったけど
桜は朱音にお土産やらを渡してから自室に戻って荷物を置いた
「はぁビックリした」
「主殿の家は本当に賑やかじゃな」
ベットに座る桜に神楽がそんな事を言ってくる
「つまんなくは無いって言っただろ?」
「実にじゃ。
それよりわらわはいつになったら出れるのかの?」
水奈も何故か気づいてたしな…
「この後皆に紹介するからそれから自由って感じでよろしく」
「了解なのじゃ」
神楽はそう言うと桜の影に潜った
「はぁ…本当に疲れた」
『クー君!!洗濯物は出してくださいねー!!』
「わかったー!!」
水奈にも苦労をかけるよな
桜は洗濯物を全部下に持っていき洗濯機の中に入れリビングのソファーに座った
「お兄ちゃん、大丈夫」
朱音がそういいながらお腹を擦ってくる
「うん。もう大丈夫だよ」
そういいながら朱音の頭を撫でてあげる
「えへへ。そう言えば肉まんが4個も有ったけど…じゃんけん?」
桜は来る途中でコンビニにより肉まんを4つ買っておいたのだ
「違う違う。これは」
「まさかとは思いますけどまた一人家族が増えるんですか?」
水奈が苦笑いをしながら桜にそう言う
「それはだな」
「お兄ちゃん、正座だね」
「…はい」
俺、家での立場弱ー
「まずは新しい家族を見せてください」
「だって。出てきてくれ神楽」
すると桜の影から黒い風が吹き神楽が現れた
「わらわは主殿の新しい奴隷。神楽じゃ!!」
神楽は何やらポーズを決めながらそう言った
「…クー君、何か言うことがあるんじゃ無いですか?」
「…事の顛末とかですか?」
「ご名答です」
神楽は出てきてすぐに朱音と遊び始め。
桜は正座して水奈に説明をしていた
「主殿!!肉まんは食べてもいいのかほ?」
「いいぞ。朱音、チンしてやってくれ」
「わかったよー」
段々と騒がしくなってきたな…
「クー君、その地域の人達にはバレてないんですか?」
「顔は隠したし、あっちは俺を魔物と勘違いしてたからバレてないと思うぞ」
水奈はそれを聞くと安堵の息をついた
「クー君、トラブルを起こさないで下さいとあれほど」
「ごめんて。でも神楽を助けてやりたかったんだよ」
今度は違う意味でため息をつく水奈
「水奈、そろそろ足が痺れそうなんだが」
「あ、もう大丈夫ですよ」
桜はそれを聞くと床に伸びた
「あーしーがー」
「うふふ、クー君は相変わらずですね」
あぐらでさえ痺れるのに正座で痺れないとかなにそれ怖い
「あ、水奈お風呂用意できる?」
「クー君が入るかもと思ってもうできてますよ」
「おお。水奈はいいお嫁さんだー」
桜が冗談半分でそう言うと水奈は顔を真っ赤にした
「お嫁さん…クー君のお嫁さん…」
…これはちょっと放置しよう
「朱音ー、神楽を風呂に入れてやって」
「わかったよー。こっちに来て」
「お風呂とはなんじゃ?」
神楽は朱音に案内されて風呂場に消えていった
「あ、水奈」
「お嫁さん…」
「…てりゃ」
桜は小さく冷たい水の球を水奈の額めがけて発射した
「ひゃう!?」
「水奈、神楽の着れそうな服って有ったっけ?」
「は、はい。少しブカブカになりますが朱音のジャージを着せれば大丈夫かと」
それなら大丈夫だな
「水奈お願いできる?」
「はい!!私はクー君のお嫁さんですから!!」
水奈はそう言って足取り軽く二階に上がって行った
「…水奈、それは誤解を招くぞ」
その時の水奈の笑顔を思いだし一人ニヤニヤしてしまう桜だった
「では神楽も来たことだし歓迎パーティーとします!!」
「イエーイ!!」
「なのじゃー!!」
桜の前と朱音の前にはオレンジジュース
水奈と神楽の前にはグレープジュースが注がれたコップがあり料理もとても豪勢だ
「ではまずこの家でのルールを確認するぞ」
「お兄ちゃん食べていい!?」
確認するって言ってるのにこの娘は…
「まあ、待て。ルールは1つここでは奴隷とか主ってのは関係ない。皆家族として扱うぞ」
「皆が主殿を主と呼ばないのはそのせいか」
神楽は理解が早くて助かる
「それだけ。それじゃいただきます」
「いただきます!!」
「はい。食べてください」
朱音は豪快に肉を食べ
水奈は礼儀正しく平均的に食べ
桜も全体的に料理を味わっていた
「朱音、ちょっと顔」
桜はディッシュで朱音の口回りを拭き、水奈も何故かちょこっとわかるようにソースを口の端につけていたが、桜はそれに気づかなかった
「クー君はなんなんですか!?」
「え?どうしたの!?…あ、ソースついてるぞ」
「わかってますよ!!」
桜には水奈が起こる原因がわからなかった
「くふふふふ…」
「どうした神楽?少し怖いぞ?」
「いやなに。こんな賑やかな食事というものは始めてでの。楽しいと思うての」
その時少しだけ空気が重くなった
「そうだな。何事も楽しんだもん勝ちだ!!ほらじゃんじゃん食えよ」
桜は神楽の皿に勝手に料理を盛った
「あ、主殿!?わらわはそんなに食べられんぞ」
「頑張って食べないと大きくならないぞ」
「だ、誰が育ってないかー!!」
神楽が叫びまた賑やかな食事が再開された
その日の夜
まだ部屋の決まっていない神楽は神楽の希望から桜の部屋で寝ることになった
そんな桜の部屋で夜も深まり誰もが寝てる時間動く影があった
ガラガラガラ…
影は窓を開けて髪の毛を使い屋根に上がった
「うう…まだ肌寒いの…」
影―神楽―は星空を眺めていた
「こんなに寒いのなら厚着をすれば良かったぞい」
そんな事をいいながらも神楽は星空を見上げる
「わらわは何をしておるんじゃろ…」
神楽の問いに答えてくれるものはその場には居なかった
「くふふ…今日の食事は楽しかった…夢じゃないといいんじゃが…」
「この寒さが夢って事は無いだろ?」
神楽は毛布が後ろからかけられた
「…そうじゃの
…主殿、いつから見てたんじゃ?」
隣を見ると毛布にくるまる桜がいつの間にかいた
「うう…まだ肌寒いの…から」
「始めからいたんなら声くらいかけてもよかろう!!」
「いやー、雰囲気って大切だなと思って」
桜はそう言って苦笑いをした
「…わらわはどうしたらいいんじゃ」
桜は神楽の言葉を黙って聞いていた
「わらわにはわからぬ…こんなに楽しいのは初めてなんじゃ…
じゃが、わらわは輪に入って壊してしまったらどうすればいいんじゃ」
桜は夜空を見上げるだけで何も答えなかった
「主殿。わらわは何をすればいいんじゃ?」
「…したいこと…かな」
桜は神楽とは目を会わせずにそう答えた
「したいこと?」
「そう。生きてるんだ、壊すことだって迷惑をかけることだってある。
でもさ、それを怖がってたら生きていけないだろ?」
桜は神楽の目をまっすぐにみた
「お前が壊しても俺がなんとかしてやる。だから怖がんないで生きてみたらどうだ?
甘えるのも悪くないんだぞ?」
桜は神楽に笑顔でそう言った
「でも、それはお主に迷惑が」
「んなもん生きてるんだから仕方ないって。
甘えられる相手がいる。それって良いことだろ?」
桜は神楽の目に涙が貯まっている事に気がついた
「寒いんだ。暖めてくれないか?」
「…わかったのじゃ」
神楽は桜の隣に座った
「神楽はもう俺達の家族なんだ。
気を使うことなんてないさ」
「…どこかに行ったりはせぬか?」
そう聞いてきた神楽の顔はどこか泣きそうになっていた
「当たり前だ。俺がそばにいてやるよ」
桜が神楽にそう言うと神楽は泣いてしまった
声を圧し殺すように。桜をきつく抱き締めながら泣いていた
お月様が綺麗だな…
桜は神楽を見ないで星空を眺めていた
「すぅ…すぅ…」
「疲れたのかな」
神楽の泣く声が聞こえなくなると今度は寝息が聞こえてきた
さて、ここだと風邪引くから部屋に行きますか
神楽を抱っこしようとすると服が捕まれていて上手く抱けなかった
「ちょっと失礼して」
桜は握ってる指を服から自分の手に握り直させた
「母様…」
…これは起こしたらダメだろうな
桜は最前の注意を払いながら部屋に戻って神楽と一緒に布団に入った
「…父様…いっちゃ……やだ…」
布団に入ると神楽が抱きついてきた
っとビックリした
神楽の顔を見ると目に涙を浮かべていた
「…大丈夫だよ。ここにいるからね」
桜は神楽の耳にそう言って抱き締めた。
すると心なしか神楽の顔が穏やかになった……気がした
さて、俺も寝るかな
桜は神楽を優しく抱きながら寝た
…体が動かない
桜が朝起きようとすると体が動かなくなっていた
あれか?これが金縛りってやつか?
最近学校で寝てても起きるから困るんだよな
桜は思いながら起きようとするが全然起きれない
「くふ…可愛い寝顔じゃ」
ん?神楽の声?
「は、早く起きないとどうなることか。くふふ」
神楽の声で目が覚めた桜が真っ先に目にしたのは目を瞑って顔を近づけている神楽だった
「おはよう神楽」
「きゃわ!?おおおお、おはようなのじゃ」
神楽は驚き少し下がったが何かに邪魔されて桜の胸に横になった
「神楽でよかったよ。金縛りかと思っ…あれ?」
桜は動こうとしたがまだ動くことが出来なかった
「くふふ…主殿の寝顔を見るためにわらわが頑張って髪の毛でグルグルにしたからのぉ。
身動きが取れないはずじゃ」
「だからさっき変な風に倒れこんだのか」
神楽は桜を這い上がって顔の正面に来た
「どうじゃ?恥ずかしかろうて」
「…これはなかなかくるな」
桜は目をそらしながらそう答えた
「くふふ…昨日は恥ずかしいところを見られてしまったのじゃ。
わらわもお主を恥ずかしがらせないと平等じゃないじゃろ?」
その理屈はおかしいだろ
「どうじゃ?1日わらわと寝てたんじゃ興奮して夜も眠れなかったんじゃろ?」
「いや、それはない」
「なんじゃと!?」
てか、ぐっすり寝てた気がする
「そ、そんなわらわの完璧な体に欲情せぬとは…」
「完璧…」
ストーンって効果音が似合いそうなのに?
「お主今変なこと考えたじゃろ!!」
「考えて無いって
てか近い!!」
神楽は桜に顔を近づけながら問い詰める
「…確かにこれは恥ずかしいの」
神楽は自分でやっておきながら少し距離をとった
「そうだよ。神楽みたいな女の子にまっすぐ見られたら恥ずかしさもあるって」
「そ、そうかの?」
「うんうん」
神楽は桜の上でもじもじとし始めた
なにこの可愛い生物
「じゃなくて。神楽ひとまず俺の上から退けよう?」
「それは嫌じゃ」
「何故に!?」
神楽は桜にまた近づき始めた
「お主には大人の魅力を教え込んでやるのじゃ」
え?大人?どこらへ
「カプッ」
「ちょっ神楽痛い」
神楽は桜の首に甘噛みした
「お主が失礼な事を考えるからじゃ」
「だから考えて無いって!!」
なんで女の子は考えてる事がわかるんだよ!?
「では始めるぞい」
ガチャ!!
「お兄ちゃん朝だよー!!」
勢いよく扉を開けて入って来たのは朱音だ。
「朱音、ヘルプミー」
「ちっ…もう少しじゃったのに」
朱音は桜の状況をみて固まった
「み、水奈ー!!大変だよー!!お兄ちゃん会議始めないと!!」
ドタドタと朱音は水奈にそんな事を言いに行ってしまった
「…あ」
桜は拘束が緩んでるのをみてすぐに魔術を使って逃げた
「あ、逃げるで無いわ!!」
「そりゃ逃げるわ!!」
こうしていつもと変わらない賑やかな日常が過ぎていくのだった
読んでいただきありがとうございます!!
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