第35話≡ここってコミケじゃないよな?
女性陣が二階へ行き、桜達男性陣はリビングにいた
「一気にむさ苦しくなったな」
「それにはお前も含まれてるからな。
それにしてもサキュバスまであんなノリノリで行くなんてな」
女の子は女の子同士でやった方がうまくいくんじゃないのか?きっと
「俺としては早くジャイアントとの晴れ姿を見たいんだが!!」
「お前は乗り気でいいよな…
俺はゾンビちゃんが不安で不安で…」
テンションがやたら高くなっている聖と反対にげっそりしてある萩である
「ま、俺は関係ないからのんびりと傍観者きめれるからいいんだけどな」
そう言った朔に皆の視線が刺さる
「お前は夜雀とよろしくやってればいいんだー!!」
「ホモはお帰りください」
「おやおや、主は私と」
「はい、夜雀黙る。これ以上場を荒らさないでくれよ」
朔にそういわれた夜雀は肩をすくめてから黙った
「てかお、前らそんなに気になるなら覗きに行けばいいじゃん」
覗き
なんと甘い響きか。そこには桃源郷があり天国が見えるとも言われている。
だが俺達がそんな甘い言葉に惑わされずにここに残らなければいけない理由がある。それは…
「おいおい朔。そんなことしたら俺らは」
「dead」
「or」
「die」
「皆死ぬしかないじゃない」
桜達はさも当然の如く言い切った
「お前ら実は仲良いだろ」
「偶然って怖いよね」
「「「(*′・ω・)(・ω・`*)ネー」」」
「お前らわかっててやってるだろ」
ソンナコトナイヨ。タマタマダヨ
「皆様。彼女達から覗いてはいけないと言付けを預かっております」
「ほらな。早まってたらどうなっていたことか」
そんな話をしていると階段を降りてくる音が聞こえた
「来たのか?」
「みたいだな」
「ヒャッホーー!!」
…こいつのテンションの上がり方異常だろ
「お兄ちゃん、準備できたよ」
ドア越しに朱音の声が聞こえてくる
「おう。早く入ってこい…ふぁ」
「むっ。お兄ちゃんはいつもと違う私を見たくないの?」
朱音が声に多少の苛立ちを含ませながら言ってくる
「いつも一緒に生活してるのに何を言うか」
「何をー!!こうなったら意地でもギャフンと言わせてやるんだから!!」
朱音が勢いよくドアを開けて女性陣が入ってきた
『………』
「皆様随分とお綺麗になられましたね」
そこには各自コスプレをしている朱音達がいた
「…なあ、桜。ここってコミケだっけ?」
「違かった気がするんだけどな…」
するとまず始めに動いたのはミニスカートの和服を着たゾンビだった
「どう、ご主人様?今夜頑張りたくなった?」
「いや、そんな気は微塵も起きないが」
「はぁ…ご主人様のデレ期はいつになるんだろう」
ゾンビが挟んでくる下ネタを慣れたようにスルーする萩
「ど、どどどどどうですかご主人様!!」
サキュバスは三角帽子と黒い衣装に身を包んでいた。一般的に言う魔女っ子だ。
「…なんかスゲーしっくりくる」
「そ、それはよかったです…」
なんか甘ったるい雰囲気を醸し出した柚汰達を放っておいて桜は他を見ることにした。
するとどこを見てもジャイアントの姿が無かった
「…行動が早すぎるだろ」
「は?何が?」
「あれ」
桜が指差した先には体を巫女服で包んだジャイアントが聖に膝枕されていた
そして桜が指差した事によって皆の視線が聖に向いた
「なんと言うか…」
端から見れば優しい兄と甘えん坊な妹に見えるんだが…
『(犯罪臭しかしねー!!)』
皆の心が通じあった瞬間だった
今までの聖を見てる人達にとっては犯罪者以外の何者でも無かった
「ふふふ、お兄ちゃん。ついに本命の登場だよ」
「す、凄く恥ずかしいのですが…」
桜は朱音達の声が聞こえ振り替えるとそこにいたのはチャイナドレスに着替えた朱音とメイド服を着た水奈だった。
桜はその二人を見て言葉を失った
「さあ、お兄ちゃん。何か言うことは?」
「…ギャフン。これは参った」
その言葉を聞くと朱音は飛びながら喜んだ。
桜は目のやり場に困って水奈に視線を向けたが視線を泳がせる事しかできなかった
「クー君。どうして目を反らすんですか?」
「………」
水奈の胸がすごすぎて直視出来ないんだ!!
残念ながら俺はそんな事を言えるような強靭な精神を持ち合わせていない
「…気にしないでくれ」
「そ、そんな…気になりますよ。私クー君に何かしましたか?」
水奈が桜と視線を合わせようと桜の前に立つ
「何さー、私だって見てよね!!」
「カニミ!?」
朱音が桜の首に乗ってきた肩車をしてきた。
チャイナドレスで
あー、どうしよう。本格的に逃げ場が無くなったぞ…
「二人とも女の子耐性を持ってない桜がそんな事されてみろ。
俺でもそうなるぞ。うらやまけしからん」
つまり君も女の子耐性が無いって事ですねわかります
朔の言葉を聞いてもよくわかっていない二人
「朱音ちゃんは足、水奈はその胸。桜には辛いんじゃないか?」
朔、ドストレートにありがとう
朔の言葉を聞いた朱音と水奈は今の自分を見直した
ボッ
桜からは見えないが二人の顔が一気に真っ赤になった
朱音は飛び降りて水奈も少し下がってくれた
「お前らはいいよな、女の子の奴隷がいてさ」
「それでは私とイチャイチャしてみますか?」
そんな夜雀の言葉をゾンビが聞き逃す訳は無く
「馬鹿!!そんな事言ったら」
ブシャー
「遅かったー!!夜雀、ティッシュを大至急!!」
「…ご主人様。私の亡骸は灰にして海に…」
「お前もう亡骸じゃねーか」
そこに巫女服ジャイアントに聖も加わってだんだんと騒がしくなってきた
「お兄ちゃん、ごめんなさい」
「私達、クー君の迷惑を考えないで」
賑やかな雰囲気を壊さないように二人が話しかけた
「気にしない気にしない。今は楽しくやろうよ」
桜がそう言うと二人とも笑顔になった
「で、二人ともいつになったら着替えてくれるんだ?」
「え?お兄ちゃんの反応が楽しいから着替えないよ」
「こら朱音。そんな事を言ってはいけません」
うん。やっぱり水奈は常識人だな
「しかし、私もこんな機会しかこのような服を着れないので着替えたくありません」
あれー?結局着替えない方針なの?
「だからお兄ちゃん。今は私達を堪能してね」
朱音と水奈は皆の中に混ざって行った
「桜様」
「どうした夜雀?」
「皆様のお菓子とお飲み物が切らしてしまいましたが、いかがなさいますか?」
まあ、こんなことになるなんて思ってないから大したもの買ってないしな
「しゃーね。買いにいくか」
桜は周りにばれないように二階にある自室へ行き財布を持って部屋を出て、玄関に行くと
「お供いたします」
「菓子買いに行くだけだから大丈夫だぞ?」
「執事として当然の事でございます」
…執事って本当に大変だな
「それじゃよろしく」
「かしこまりました」
桜は夜雀を連れて菓子を買いに近くのスーパーへ向かった
「そういえば夜雀はどうして朔の執事なんかしてるんだ?」
「どうしてと申しますと?」
「深い意味とかは無いんだけど、朔の奴隷をするなら別に執事にならなくてもよかったんじゃないかと思って」
すると夜雀は「そうですね」と呟いた
夜雀「しかし、私がこうして狂化せずに暮らしていられるのも主様のお陰なので、やはり主様には何かやってあげたい。
そう思い執事をしております」
桜は夜雀の言葉に感心したが同時にある単語に疑問を持った
「夜雀、狂化ってなんだ?」
「それはですね…すみません。私にはどう説明すればいいのか…
私より水奈様の方が詳しく説明できるかと」
そういって謝る夜雀
「いや、変に説明されるより詳しい奴に聞いた方がいいもんな」
「左様でございますね」
そういえばゾンビちゃんの時も狂化なんて単語が出てたよな
「ま、家帰ればわかることだしいいや。とっとと買って帰るか」
「皆様になんと言われるかわかりませんからね」
桜達はスーパーへ急いだ
「いやー、久々に騒いだね」
時刻も遅くなり皆が解散したあと水奈と朱音は片付け、桜も二人を手伝い今休んでいた
「お兄ちゃん、サボらないでー」
「朱音大丈夫ですよ、ほとんど片付け終わりましたから。
朱音も休んで構いませんよ」
「やったー!!…もう、疲れたよぉ」
朱音も桜の座ってるソファーにダイブした
…あ、そういえば聞かないとな
「水奈、聞きたいことあるんだが」
「少し待ってください」
水奈は台所でゴミをまとめてからリビングに来た
「お待たせしました。それでクー君の聞きたいこととは?」
「今日夜雀と話してて思ったんだけど…狂化って何?」
桜が狂化という単語を出しても水奈どころか朱音すら驚いたりしなかった
よかった…地雷じゃなかった
「クー君。少し難しい話になりますけど構いませんか?」
「俺にもわかるような説明をよろしく」
「わかりました」
すると水奈は一旦席から離れて紅茶を2つとオレンジジュースを持ってきた
「では…まずは私達の世界から話しましょう。
私達の世界はここではなく一般的に『魔界』と呼ばれる世界から来ました」
それが水奈や朱音達が育った世界なんだろうな
「その魔界には『マナ』ではなく『魔素』と呼ばれるものがマナの代わりとなっています」
おっとここら辺からは聞いたことないぞ
「水奈、マナと魔素って何が違うんだ?」
「人間がマナを使って魔術を使うと威力が増しますがコントロールが難しくなります。
一方魔素はコントロールが簡単になりますが威力が多少下がってしまいます」
なるほど。
ま、両方とも物は使いようだけどな
「この世界には『マナ』が溢れています。むしろ『マナ』しかありません。
しかし魔界は『魔素』が主な力でした。
重要なのはここからです」
水奈は紅茶を飲み喉を潤してから話を再開させた
「私達、魔物にとってはマナは毒でしかないんです」
「え?」
「毒というのはオーバーですが、魔物がマナを取り込み続けると正常を失い狂暴化してしまうんです。
これは毒よりも麻薬に近いかもしれません」
だから狂化って言われてるのか
「しかし奴隷となった魔物は取り込んだマナを主を通して魔素に還元して私達に送られます。
つまり主を持つことができた魔物は狂化する危険性が無くなったといっても過言ではありません」
だからゾンビちゃんも夜雀もあんなこと言ってたのか
「となるとこの前のガーゴイルって、主が見つけられなくて狂化した魔物だって事か?」
「そうなります。
でもクー君悔やむことはありませんよ。一度狂化した魔物を助ける術はありませんから」
うーん。それでも、もしかしたら朱音や水奈みたいな魔物だったらな…
「でもお兄ちゃんが始めに倒した鼠って魔物じゃないんだよ」
「え?何それ?どう言うこと?」
桜は助けを求めて水奈を見た
「マナは物に対する依存性が高く魔物だけではなく物すらも狂化させることがあります」
ん?どう言うことだ?さっぱりわからんぞ
「つまり、このハサミにマナが一定量溜まってしまうと獣のような姿となり狂化した魔物と同じようなものになるということです」
へー、マナって結構怖い品物なんだな
「人間の皆さんはどちらも敵とみなしひとまとめに『魔物』と呼んでいます。
クー君もそういう分け方でよろしいと思います」
まあ、救う術が無いんだもんな…どうするかな…
「水奈、その魔物と違うのの見分け方は?」
「話せるものは『魔物』。話せないものは『憑き物』と呼ばれています」
あー、だから初めの鼠は『憑き物』だってわかったのか
「言っておきますがクー君の力があってもこればっかりはどうにもなりません。
考え事をされて怪我をされたくありませんからきちんと倒してくださいね」
…ま、魔方陣は作ってみるんだけどね
「私が話せるのはここまでです」
「ありがとう水奈。それと今日の夕飯は何?」
水奈は馴れた手つきでエプロンを着けた
「豚肉がありますのでしょうが焼きです」
水奈はそう言うと台所に戻った
「しょうが焼きか…ご飯が進むね!!」
「俺も好物だから嬉しいよ」
二人はニコニコしながら夕飯を待っていた
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