第32話≡話がある…耳を貸せ…
話を切るタイミングが調度よかったので少し短めです
桜と萩は桜の家の庭に出ていた
「んじゃ、さっそくマナの使い方の練習するぞ」
女の子の三人は今のところ家の中からみてもらっている
「こんなところで大丈夫か?」
「今は光の魔術使って家の方向以外からは見えないようにしてるから安心しろ」
それを聞いた萩は少しだけ驚いたがすぐに真面目に戻った
「んじゃ、まずは得意魔術を調べるからこの石握ってマナ送ってみ」
「どうやって送ればいいんだ?」
「なんかこう、入れー、入れー、って感じでやれば入ると思うぞ」
その説明を聞いて萩は桜を睨んだ
仕方ないだろ、本当にそんな感じでいいんだから
「まず、やってみろって」
「…やってはみるけどさ」
桜は眼帯を外してマナの流れを読んだ
よし、流れているが…なんだあのマナ
萩のマナの色はどす黒く見たことの無い色をしていた
闇のマナでも無いんだよな…なんだあれ?
「…手、開いてもいいか?」
「おk、開いてみて」
開いた手の上にはなんとも言えない黒に近い石が乗っていた
「…悪い、お前の得意魔術わかんね」
「はあ?どういうことだよ」
「いやー、俺も見たこと無い種類のマナなんだよ」
一応、奴隷の皆にも見せたがわからなかった
…アイテムが関係してるのか?
「萩、お前アイテムなんて言われた?」
「“死者の書”って言われた」
…絶対それが原因だろ
「もしかしたらだけど、その『死者の書』ってやつ出せるか?」
「どうやって?」
まあ、それが妥当な反応だよな
「書ってくらいだし本をイメージしてみれば?」
「やってみる」
萩は目を閉じた
少しすると手元が輝きだし紫色の本が出現ししていた
「おお?なんか出てきた」
萩がさっそく本を開いて中を除きこんでる
「どれ?俺を見る」
桜も萩側にまわって本を覗いた
「…何も書いてなくね?」
「え?読めないの?」
萩が開いていたページには何もなく茶色い紙だけがあった
「あー、目次に使用者以外は見えないって書いてるわ」
「あ、そうなん?なら仕方ないな」
萩は地べたに座って目次(推定)を読み始めた
「てか、そこに書かれてるの日本語なんだ」
「は?いや、外国語だが」
えー、この子外国語読めるのかよ…
「ちなみにどこの国の?」
「いや、知らんが」
「ちょっと待て」
え?知らない国の字読んでんの?流石におかしくね?
「お前それどうやって読んでんの?」
「は?契約したときのオマケ機能で翻訳機能あるじゃん。これで外国飛んでも言葉には困らないなって思ってたんだが」
なにそのオマケ機能!!初耳なんだが
「そんな機能あるのか!?」
「あるみたいだな。俺だってこんなどこの字かわかんないの読めてるし」
「誰から教えてもらったんだ?」
「マスター」
あの爺、なんで俺の時は教えないんだよ!!
「使い方は?」
「読めたらいいなとかって思えば出来るみたいだぞ」
桜は自分の部屋に行き適当な本を見つけて英語単語を探した
「…マジかよ」
桜は見知らぬ英単語を読むことに成功していた
英語の授業でこれ使えば問題ないじゃん
はぁ…なんか1ヶ月無駄にした気分だわ
庭に戻ると本を開いてたっている萩が待っていた
「なんだ知らなかったのか?」
「あの爺、なんで会ったときに教えてくれなかったんだよ」
次会ったら文句いってやる
「で、お前の方は?」
「ひとまず使い方はわかった。そこで一つ試してみたい事があるんだが」
「試してみたい事?」
なんぞ?この狭いところだと出来るのも限られて来るぞ
「この本ってマナを食べることが出来るみたいなんだよ。
だから適当な魔術を本にぶつけて欲しいなと」
マナを食べる?なんか怪しさが加速したぞ?
「まあ、わかった。適当なのでいいんだろ?」
「そうそう、出来るだけ弱いの」
「はいはい、わかってるって」
桜は弱い風の槍を空中に六本作った
「空気の槍当たっても後ろに強めに押されるくらいだから頑張れ」
「でも、なぜ六本も?」
「それは単なる実験だから。
ほらいくぞ」
桜は萩―正確には萩の持ってる本―に向かってエアランスを1本飛ばした
…よかった。なんかリアルな食べ方じゃなくて安心した
エアランスが本に当たる時表紙が裂けそこに吸い込まれるようにエアランスは消えた
その後本は何事もなかったかのように表紙が閉じ普通の本になった
「…こっちからだと全然見えないんだが」
「ならそこに置けばよくね?」
萩は本を閉じて地面に置き桜の近くに来た
「1本ならいけるとわかったから次は複数でいこうと思います」
「…だから6本も出してたのか」
桜は5本の空気の槍を調節した
「そういうことー
それじゃ…GO!!」
ヒュッ…フォォン!!…
5本の空気の槍は裂けた本に近づくと軌道が変えられ全て本に吸収されてしまった
「…魔術師にとっては最悪の盾だな」
「範囲はわかんないから怖いけどね」
萩は本を拾ってページを見て本を観察し始めた
「…マナを食べるとここに来るのか」
「kwsk」
「この本ってアンデッドを召喚して戦うみたいなんだけど。
その時マナが貯まってるとアンデッド達の武器に属性がつくみたい」
アンデッドの召喚が主な戦い方か…
なんて他力本願な
萩は一通りみた後本をしまって家の中に入った
「で、どうする?実戦したいなら出来るが」
「やれるなら是非やりたいけども」
すると口元をパンツで被っているゾンビが近くにきた
「すぅ…ご主人様…はぁ…戦いですか?…すぅ」
「ゾンビ、ひとまずパンツを着けながらの深呼吸はしないでくれ。
パンツを脱げ!!」
「そ、それって…」
するとゾンビは自分のパンツに手をかけた
「…おい萩。人の家でナニする気だ?」
「ナニもしねーよ!!ゾンビ、お前なにしてんだよ!!」
「え?だってご主人様がパンツを脱げって」
ゾンビは首をかしげながらスカートをたくしあげる
「そんなこと一言も言ってないよね!?俺は俺のパンツを口に当てながら深呼吸するなって言ったの!!」
「そ、そんなご主人様は私に死ねと!?」
「そんなことじゃ…」
桜はそんな二人を無視してある人物にメールした
『お前今暇?
by桜』
…あ、ダメだ。柚汰にメール打って返された記憶がほとんど無い
となると頼みの綱がこいつか
『今暇?
by桜』
朔にメールしてから数分で返信された
『暇だがどうかしたか?
by朔』
よし!!メールの返信が早い
『暇って言うなら萩の相手をしてほしいんだよ
by桜』
てかお前に頼むしか無い気がするんだよな
聖はハンマー使ってすぐに終わるだろうし
柚汰はメール返ってこないから無理だし
俺がやったら友達いなくなるからな
『えー、あんまり本部に行きたくないんだけど…
by朔』
『今の時間なら人少ないからいいじゃん。頼めるのお前しかいないから頼むよ
by桜』
『……ジュース奢りな
by朔』
よっしゃ!!俺らの通貨がジュースで助かったぜ
桜が携帯の時計を使って時間を確認するとまだ1時すぎくらいだった
『1時半にバトルフィールド前でよろしく
by桜』
『了解
by朔』
ふぅ……あ、バトルにはギルドカードが必要なっだっけ?
「萩、お前ギルドカード、もらってたりす…る?」
「わー!!ゾンビそれはダメだから!!」
萩の方を振り向くとゾンビがパンツを食べている最中だった
……頼むから朱音たちには変な事教えないでくれよ
「桜も携帯いじってないで止めてくれ!!」
「はぁ…ゾンビちょっとこっちに来い」
すると頬をリスのように膨らませたゾンビが桜の近くに来た
「なんれすふぁ?」
「耳貸せ…今はおとなしくして、油断している風呂の時に影からお前が出てきたらどうなるか…」
桜が周りに聞こえない大きさの声でゾンビにそんな事を言う
それを聞いたゾンビは口からパンツを取り出してビックリしたような表情で桜を見る
「あなたは天才ですか!?」
「だから今は警戒させないで夜になったら…」
「デュフフ…ご主人様を…」
ゾンビが口から垂れた涎を袖で拭く
…この子天性の変態だな
話を終えた二人はすぐに皆の中に戻っていった
「すみません、ご主人様。私が変な事をしたためご主人様に迷惑を…」
ゾンビは萩を安心させるためかまずは謝ることから始めた
「い、いや。反省してくれてるならいいんだ」
その時ゾンビの口元がニヤッとするのを桜は見逃さなかった
「でだ。萩はギルドカードなんか渡されて」
「ああ、ちょっと待ってろ」
萩は自分の鞄から財布取り出してその中から青いギルドカードを出した
えー、俺、結構日付かかったんだが…
「これのことだろ?」
「あ、ああ。そうなんだが…なんで?」
「なんかマスターが青のギルドカード数枚余らせてたみたいで」
俺のときはタイミングが悪かったと、そういうことか?クソが!!
「はぁ…つくづくついてないよな…」
「ん?なにがだ?」
「いや一人言、気にしないでくれ」
本当気にしないでくれよ
桜が萩から視線を外して違うところを見ると女性陣がキャッキャッと話しているがなぜか朱音と水奈の頬が少し赤みがかっている。
さらには桜の事をチラチラと見てくるのだ
ん?俺なんかしたのか?
てかゾンビがいることが怖くて聞く気になれないんだが
「で、お前は俺になんでギルドカードの事なんて聞いたんだ?」
「ん?ああ、これから朔と試合することになったから」
桜がそう言うと萩は困ったような、嬉しいような、なんとも言えない顔になった
「うーん、戦えるってのはワクワクするんだが、俺大丈夫かな?」
「大丈夫だろ。てか戦って覚えた方が早いだろ」
俺理論だが
「あ、そう言えばバトルフィールドの説明がまだだったな」
桜は残りの時間を萩にフィールドの説明をしながら過ごした
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次回、萩vs朔
やっと夜雀登場しますよー!!
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