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エピローグ

 永遠の命。


 誰もが一度は憧れたことのあるもの。


 魔法


 誰もが一度は欲したことのあるもの。


 どちらとも手に入れた8人の賢者がいた。魔法を使える生活。永遠に続く人生。


 茶の賢者は酒の魔法を授かった。

他人の夢を追いかけ、追いかけられなくなり、酒に溺れる永遠の人生。

余命3年の王女と出会い、やっと自分の夢を見つけられた。

やっと自分の人生を送ることができる。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとが人生になったのだから。


 白の賢者は米の魔法を授かった。

人類が頂点であると信じ、頂点ではないと思い知り、頂点とするための人生。

余命3年の王女との出会いの意味するところはまだ語られていない。

だが出会おうと出会わまいと、彼の目的は明確だ。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとまで征しよう。


 灰の賢者は札の魔法を授かった。

世界は人類のものではないと悟り、狂い世界の敵となってしまった友を討つ人生。

余命3年の王女と出会い、かつての友の裏切りの言葉を聞いた。

亡くした最愛の人を追いかけるため、死ぬために世界に仇すという友の言葉に安堵し戦うことを決意する。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとと制しよう。


 黄の賢者は塩の魔法を授かった。

夢を持たない彼は、他人の夢を破り、永遠に続く懺悔の人生を選んだ。

余命3年の王女と出会い、自分の夢に気付いた。

そして懺悔の日々を終わらせたいと旅に出た。心にとある想いを抱きながら。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとから惹こう。


 緑の賢者は木の魔法を授かった。

夢が破れ、夢に挑戦できなくなり、夢を叶えた人が狂う様を見た。

余命3年の王女と出会い、その夢を叶えたあげたいと願った。

共に旅立つことを決めた。自らの最期の時を心に描きながら。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとより弾こう。


 青の賢者は水の魔法を授かった。

妹のために生き、他人に求めることはなかった。唯一求めた想いは届かない。

余命3年の王女と出会い、自らの想いは叶えてはならないものだと悟った。

それでも想い人の目的を叶えるために旅をする。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとを贈りたい。


 赤の賢者は炎の魔法を授かった。

もっと恵まれた日常を送りたかったが、そのせいで姉と離れ離れになってしまう。

余命3年の王女と出会い、生き別れてしまった姉を求めた。

やりたかったことはただ一つ。

もう一度、あの日夢見た世界のふもとで送りたい。


 黒の賢者は鏡の魔法を授かった。

幼い頃からの夢が叶い、この世でただ1人の最愛の人と結婚できた。だが最愛の人は遠くへ旅立ってしまう。

余命3年の王女と出会い、誓った。たとえこの世界が滅んだとしても死ぬことを。

心に響くのは、結婚式の誓いの言葉のさらに先。

 もう一度、あの日夢見た世界のふもとに逝こう。


 余命3年の王女は魔法を授かっていない。永遠の命も持っていない。

それでも8人の賢者の人生を大きく変えることができる。

どんなに永い人生だったとしても、それだけでは明るい未来は抱けない。

短い人生であったとしても、他人の人生を照らすほど輝くことはできる。


 余命3年の王女がいなくとも、この物語は始まっただろう。

だが余命3年の王女がいなければ、この物語の終わりは別のものになってしまったであろう。


 いつの日か、黒の賢者が解放されることは決まっていたことだ。

だがそこに立ち会った人により運命は大きく変わる。


 だからこそ、この物語に満たされる想いは、

もう一度、あの日夢見た世界のふもとへ行こう。


 そして、この物語の題名は、

「あの日夢見た世界のふもとへ」


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