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新たな婚約者

「そうか。ファルマンは失脚したか。」

「少々、やり過ぎましたかな?」

「いや、あの程度で倒れるならその程度ということだ。これから余が行う改革の波に耐えられなかったであろう。」

「そうですな。しかし、後任はなかなかに厄介な人物と聞きます。」

「良い。余に歯向かうなら目に物を見せてくれるわ。」


「それで、いかが対処いたしましょう。」

「どうせ奴らは姑息な手しか打ってこんだろう。ならば、教会が下手な手出しを出来ぬよう、こちらも多数派工作を進めるのだ。」

「そうですな。グレッグ家が向こうに付くと、いささか厄介ですな。」

「まあ、シンクレア家をこちらに引き込めば、グレッグだけではどうにもなるまい。」


「それで陛下、例の新たな婚約者の件につきまして、何名か候補を内偵して見ました。」

「早いな。まだ婚約破棄して一月ちょっとではないか。」

「しかし、既に水面下では王妃の座を狙う者が蠢いておりますし、そうでなくともそういった方の不在は陛下の弱点になりかねませんので。」

「まあ、それは良いが、あくまでも秘密裏にやってくれ。下手を打つと聖女に同情が集まりかねん。」

「それは慎重に行っております。」


「それで、何名かいたのか。」

「はい。第一候補はテンセル侯爵家のご令嬢セリ-様、第二候補がデンゼルマン伯爵家のご令嬢オスタニア様、第三候補がサリー王国の第二王女ナターシャ様でございます。」

「テンセルはグレッグの派閥だな。デンゼルマンは中立派か。サリー・・・また遠い所から探して来たな・・・」

「我が国に比べれば小国ですが、政情も安定しておりますし、我が国と誼を結べるなら、応じるものと考えております。」

「まあ、ヤース教徒だがな。」

「他国の姫君ですから、それはそうなります。」

「むしろ、教会と対立するなら改宗しても良いな。」

「そのご判断は慎重にお願いします。ただし、含みを持たせるという意味で、他国の姫というのも捨てがたい選択かと・・・」

「そうだな。今の余の立場で選り好みなどできぬ。政局を見つつ、絞り込むことが必要だな。」

「ええ。さらに内偵を進め、特に問題の無い人物であれば、この三人に絞って参ります。」

「分かった。それで、周囲にはどう仄めかすつもりだ。」

「候補者は選定中であり、数名いるが、氏名などの公表は差し控えさせていただく方針でございます。これは、たとえ他の王族の方々でも例外なく秘匿します。」

「それで良い。」


「はい。それと、ここのところ、ジェラード殿下が頻繁にリデリア殿下の元を訪ねておられるとのこと。」

「まあ、兄弟だからな。あれでも一応・・・」

「しかし、これまでジェラード殿下は、リデリア殿下と特別仲が良かった訳ではございません。」

「そうだな。いくらリデリアがまだ子供とは言っても、今後、あちらに付く諸侯も出てくることが予想されるからな。それがそっくりジェラードに取り込まれるのも避けたい。」

「はい。監視を強化しておきます。」


「それで、キャッチフレーズの効果はどうだ。」

「まだ目立って評判を呼んでいるというところまではいっておりません。民の考えはこちらに伝わって来づらいものですし、そんなに大きな声になっている場合は、もう我々の手でも止めることはできませんので。」

「そうだな。直接的な文言ではないから、ピンと来る人間はそう多くはあるまい。しかし、これが何かのきっかけでもあると、この言葉を連想する者が出てくる。」

「起こしますかな?」

「そうだな。ファルマンがその座に居続けるなら問題無かったが、彼が失脚したとなれば、必ず王家に歯向かう人間がトップになる訳だからな。」

「では、方法は私の方でも検討してみます。」

「ああ。策は一つで無くとも良いのだからな。」


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