表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『優しい世界』

作者: イプシロン

夏の日の、出来事だった。

蝉が羽ばたき飛び去った。

ぼくの眼は、浴びせられた、

おしっこで、光なくした。


秋の日の、出来事だった。

啄木鳥(キツツキ)が木とまちがえて、

ぼくの鼓膜を、突っついた。

耳はそれから、聞こえない。


冬の日の、出来事だった。

蜘蛛がひらりと降りてきて、

ぼくの口に、巣を作り、

それからぼくは、喋れない。


暗闇と、無音と、

沈思のなかで、ぼくが確かに、

感じたのは、心臓の音、ぼくの音。

それは、優しい音だった。


待ちにまった 春が来て、

頬なでる風、爽やかで、

桃の香りは、鼻くすぐった。

ごくりとぼくは、唾を飲み、


甘い春を味わった。

世界は、ぼくから奪ったが、

それでもぼくに、優しさくれた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ