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この転生に抗議します!  作者: 淡星怜々
ネアノスト共国-前編
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091話『一件落着』

「魔女教と一悶着あったようね。それも、大いなる意思に定められた運命に導かれた結果なの。だけど、これだけじゃ終わらないわ」


 パンドラは腕を組みながら、何かを思い出しながらそう言った。


「パンドラさん。彼は()()()()()のですか? 」

「えぇ、確かに。だけど、それはまだ種でしかない。芽を出すには、あと一歩……いや、五歩くらい必要」


 ナーレファインとパンドラは、俺を置き去りにしてよく分からない話をしだした。


 もういいや、帰ろう。


 ***

「本当は、レイがするべきなんだけど……」


 雀燕と天衣、そして陰陽道を代表して雅姫に入団届けヲタ手渡した。3人がそれにサインして、レイが最後にサインすれば晴れて正式入団ということになる。


「サインすれば良いのね」

「私、字書けないなの」

「なら、拇印で……」


 3人の書名入りの書類はすぐに完成した。とりあえず、レイの机の上に置いておこう。


「失礼する、ワインデッド七星はいらっしゃるか」


 そんな時、複数人の男がぞろぞろと入ってきた。何とも不躾な連中だ。


「レイニィは、少し出ておりまして……」


 それに動じず、スズテナさんがきっちりと対応した。見たところ、その男たちは女王府の役人のようだ。


「そうか……なら、また日を改めるか」

「いえ、その必要は無いです。こんにちは、私がレイニィです」


 話が盛り上がっていた2人を置いて帰ってきたが、大丈夫だったんだろうか。帰ってきたらなんか役人いるし。


「お初目にかかります。レイニィ様、女王陛下より御勅令をお伝えしに参りました」


 女王から御勅令……? 女王からの命令か、税金も高くなってるし……ろくなもんじゃないだろうな。


「では、読み上げます『全領主に通達する。翌、人元歴460年6月を以て、全領地を女王府に奉還せよ。以降、地方自治は女王府から役人を派遣する。ギルドマスターを兼任している領主以外の者は、即刻王都に戻ること』以上です」


 その役人の一人が大きな紙を広げ、もう一人がそこに書いてある内容を読み上げた。封建制度の廃止……って事か。中央集権化を進め、いざという事態に備える意図が読み取れる。


「分かりました。それでは、私はここに残っても良いのですね」

「はい、ワインデッド七星はカノープスのギルドマスターで在らせられる故、このまま残ることが出来ます」


 それだけ言うと、役人達はそそくさと帰って行った。やれやれ、これで俺の領主生活もあと一ヶ月か。まぁ、自分から辞めるって言ってたし、どっちでも良いんだけどね。


「レイ、机の上に入団届け置いといたから……」

「あぁ、ありがとう」


 その入団希望の3人の方を見ると、ニコニコとしていた。

 あの双子はまだ帰ってきていないか。無理もないな……今晩くらいは、2人きりにさせてあげたいし。さすがに、このまま居なくなられると業務が回らないからやめて欲しい。


 ***

「申し訳ありませんでした! 」

「まぁ、いつも死ぬ気で働いているのだから、少しくらい良いわよね」


 双子が帰ってきたのは、あれから1週間ほどしてからの事だった。その時にはもう、完全に切り替えられていた。何も無かったんじゃないかと錯覚してしまうほどに。


「寂しかったなのー! 」

「やっぱりあんた(レフ)がいないと、つまらないわ」

「2人とも、お帰りなさい。仕事が溜まってますよ」


 手荒い歓迎を受ける2人だったが、その顔は満更でもなさそうだった。



「それじゃあ、改めて……雀燕、天衣そして龍宮陰陽道のみんなの入団を祝して! 乾杯! 」


 ささやかではあるが、入団歓迎パーティーを開いた。これで本当に一件落着……次は魔大陸だ。


 ***

 人元歴460年6月某日――


 この日、俺は領主じゃなくなった。これでギルド活動にも本腰入れられるし、何より魔大陸に行ける。


「あ、そういえば……魔大陸の方では、言語が違いますが……どうしましょう。私が翻訳に入りましょうか」


 俺はハッとした。確かにそうか……言語が一緒なわけないもんな。


「それもいいけど、その言語。俺に教えてくれないか? 」

「……良いですけど。かなり難しいですよ、魔族語は」


 こうして、ナーレファインさんに魔族語を習いつつ迷宮でお金を稼ぎ、順調に準備を進めた。体も若く、脳の働きが良いからか、魔族語もすぐに習得できそうな気がする。


「ただいま、レイ……」

「ただいま帰りました! レイニィ様! 」


 ぞろぞろと帰ってきた迷宮組、内訳はアマンダイトとユフ、そして雀燕と天衣だ。ユフは先頭に立っていたアマンダイトを押し退け、俺の顔を覗き込んだ。あの一件から、ユフとの距離感がおかしくなった気がする。


「かわいい女の子に囲まれて良いご身分だこと……」

「レフ……お前も中々だぞ。サボってないで仕事しろ」


「ユフ、レイニィがレフをいじめるわ……」

「姉様、ちゃんとお仕事してください」

「あら、あなたも敵なのね」


 こんなんで魔大陸に行って大丈夫なのだろうか。心配ばかりが募る……


「レイ、きっと大丈夫。みんななら……」

「そうだよな。俺が信じなくて誰が信じるんだろな」


 魔大陸へ出発するのは、1ヶ月後の予定だ。それまでに、魔族語を完璧に習得しないとだし、お金も貯めないと。あとは、七星蓮の方の仕事の引き継ぎもだな。


 ***

「……という感じで、よろしくお願いします」

「分かりました。外務星様」


 今まで外務副星として、毎日コツコツと頑張っていた男に仕事を託すことになった。今日で引き継ぎも終わり。明日からは、こいつが代理外務星だ。


 女王にも一応、挨拶しとくか。


「失礼します。女王陛下、お久しぶりです」

「おぉ、レイニィではないか。本当に久しぶりじゃの」


 実に3ヶ月ぶりくらいになるのだろうか……とにかく、久しぶりだ。魔大陸に行くことが決まったのと、少しだけ近況報告をして、女王府を後にした。しばらくは見れないだろうし、目に焼き付けておこう。


「何か急に実感湧いてきたなぁ……」

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