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この転生に抗議します!  作者: 淡星怜々
第一章 ラインアース王国編
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020話『ルゥナ-④』

 「さぁ、そろそろ終わりにしようか、人牛鬼ミノタウロス。ロード・ハイテスト……灼熱之烈火インフェルノ・エグゼ!」


 14号さんが片手を高々と掲げ、炎属性系神級魔術の灼熱之烈火を発動させると、人牛鬼の頭上に幾つもの火柱が出現した。

 それらは次第に1つの巨大な火柱になり、そのまま人牛鬼に向かって凄まじい爆風を伴いながら直撃した。火柱が消滅すると、そこにいたはずの人牛鬼は跡形もなく焼け失せていた。


 魔術の最高位とされる神級魔術を、省略詠唱魔法を使い発動させるなど人技では無い。彼女こそが人間の皮を被った化け物だ。


「ふぅ……みんなお疲れ様!」


 14号さんはこちらを見てニカッと笑った。その笑顔が俺には恐怖に感じられた。


 そんなこんなで、めでたく依頼は完了した。あとは、王都に戻って協会に報告するだけだ。


「いやぁ、君たちレーシィ中々やるねぇ……僕、感動しちゃったよ」

「あはは、ありがとうございます。14号さんも凄すぎましたよ……」


 ***


「それにしてもあの人やばかったな……」

「ほんとにね……あの人一体何者なのかしら」


 王都に戻る為に、竜車へ乗ったあともロンとミズキは14号さんすげぇとずっと言っている。

 今回は、バハネラも寄らずに一直線で王都まで帰る。

 その関係で、馬車ではなく稚竜が引く竜車を選んだ。価格は割高だが、何より早い。普通の馬よりも三倍は早いとも言われているのだ。


 ***


「依頼完了、了解しました! こちらお約束の報酬です。お疲れ様でした! 」


 カウンターでエルフの受付嬢の人から、報酬を貰い協会を後にした。


「これで私達もそろそろ昇格できるんじゃない?Aランク! 」


 外で待っていたミズキ達と合流すると、とても楽しそうに喋っていた。

 確かに、俺自身も昇格するかもと思いワクワクしているのだ。やっとエリスを故郷に連れて行ってあげられる。それが嬉しくてたまらない。


「レーシィの皆さん、王城から登城せよとの事です……」


 さっきのエルフの受付嬢さんが、息を切らして走ってきてそう言った。

 国王からの呼び出し……何かやらかしたのだろうか……思い当たる節が何も無い。




「Bランク冒険者パーティー『レーシィ』がお見えです」


 大きな扉の前に控える衛兵がそう言うと、国王はただ一言「入れ」とだけ言葉にした。

 その整然とした雰囲気と重苦しい空気は、正直二度と味わいたくない。


「お初目にかかります。水星級魔術師、黒級こくきゅう冒険者のレイニィと申します」


 前に会った国王が少し前に崩御し、次代の国王になっていた為改めて自己紹介をしておく。ミズキや、ロンたちもそれぞれきちんと自己紹介をし終えると、国王が喋り始めた。

 この国王は先代と比べると、少しおっかないように見える。強面、と言うべきか……


「主らを呼んだのは他でもない、とある重要事項を伝えるためだ」


 そう言い終わると、衛兵に向かって合図を送った。すると、衛兵が「14号様、入室されます」と叫んだ。俺たち全員がその扉の方を驚いて振り返った。

 すると、そこにはついさっき別れたばかりの14号さんの姿があった。


「やぁ、君たち。さっきぶりだね」


 さすがに、あの変な仮面は外していたのが何故かホッとした。それにしても、なぜ彼女がここに……


「僕はね、国王陛下に仕える特設部隊『ガーラレ』のメンバーなんだ」


 噂でしか聞いたことがなかったその名前を聞いて、俺たちは驚愕した。まずまず、本当に存在していたことが驚きだった。


「ラインアース王国、第九代国王ベル・ローム=レストナーバの名の元に、冒険者パーティー『レーシィ』を、国選パーティーに指名する」


 一つ咳払いをした後、国王は衛兵が持ってきた文書を読み上げた。

 いきなりの指名に、俺たちは思わず固まってしまった。Aランクパーティーになれたらいいやとか思っていたら、通り越して国選パーティーにまで上り詰めてしまった。

 国選パーティーはある一定以上の強さと、国王が認める推薦人からの推薦が必要になる。それなら、推薦人は一体……


 ***


「ただいま戻りました。ルゥナに出現した魔獣の群れ及び人牛鬼の討伐完了しました。やはり、例の組織が絡んでいるかと」

「そうか、ご苦労であった。ふむ、魔卿使団か……」

「それと、1つお話がございます。僕、14号はBランク冒険者パーティー『レーシィ』を国選パーティーに推薦します」



 ***


 今日は色々ありすぎて疲れた……ルゥナにいる間はろくに休めなかったし、今日くらいはゆっくりしよう。

 国選パーティーに指名されて三日経ったが、未だ実感は湧いていない。

 うーん、ちょっと外の空気吸いに行くか……

 部屋に誰も居ないところを見ると、ミズキ達も外の空気を吸いに行ったのだろう。


「なぁ、あれ……『死神』じゃないか?」

「え、本当?」

「だってほら……」


 通りを歩いていると、何やらヒソヒソと噂されてる気がする……めっちゃ視線感じるしな。


「本当にあの人闇属性適正者なの?私、まだ死にたくなーい」


 良くよく聞いてみると、そんな声も多かった。そうか、そういえば俺は呪われた闇属性適正者だったな、すっかり忘れていた。

 あぁ……そう考えると俺は仲間に恵まれていたんだな。

 少し落ち込みながら、通りを引き返していると急に路地裏から手が伸びてきて、そのまま引きずり込まれた。


「何ボケーッと歩いてるのよ!見つかったらまた大変なことに……」


 俺を引きずり込んだ犯人はミズキだった。こんなとこで何してるんだこいつは。


「私達今良くも悪くもめっちゃ有名人なのよ!全く……自覚してよね!」


 彼女は思っていたより真剣なようだ。それもそうか、弱小パーティーが急に国選パーティーだもんな。そら注目も集まるわ。


「おい!あそこにいるのって死神と白剣はっけんじゃないか?!」


 反対側の路地裏の入口の方からそんな声が聞こえた。そして、その方向から人が押し寄せてくる音が迫ってきた。

 俺たちは、一心不乱に押し寄せる人々から逃げ続け夜中になりやっと宿へ戻ってこられた。専ら俺は、ミズキに引きずられていただけなんだけどね。


「もう疲れた……」

「私もよ……」


 一日中走り回ってもうクタクタだ。体を休ませたかったのにな……


「レイニィさん、ミズキさんお疲れ様でした……エリスも、大変でした……」

「俺とカテラもだ」


 どうやら全員が追いかけ回されたらしい。人というのは怖い生き物だ。




「なるほど、つまり全員に二つ名が付いてるってことか」


 話を整理すると、どうやらそうらしい。ミズキは白剣はっけんでエリスが狐子きつねのこ、ロンが漆黒剛剣ストロソガードでカテラがラインの魔女。

 それで俺が死神って……なんか俺だけ酷くない?


「これからどうするの?死神さん」


 ミズキは楽しそうに笑いながらそう尋ねた。


「うるせぇよ白剣。決まってる、獣王国藝華じゅうおうこくげいかに行こう」

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