氷狼
ほとんど眠れずに朝を迎えた。とは言っても洞窟の中は常時薄暗いままなので多分朝?って感じだった。残りの魔力灯、屋根、窓、扉。宿題を抱えているが、取り敢えず気分転換も兼ねて、氷狼に挑む。裏技なら現有戦力で十分な相手だが、しっかりシミュレーションしながら山頂に向かった。
氷狼の攻撃4つ、氷の刃、冷気、爪、牙。護りは氷の鎧で、これを溶かしてしまえば、あとは雑魚魔物と大差無い。ただ、冷気が強烈で炎の攻撃を打ち消してしまう。かなりの火力と、炎系の武器を揃えて何とか溶かす事が出来る。今のマン研では、全く歯が立たない。
登りながらの作戦会議が終わり、頂上に到着。極寒の山頂で氷狼が迎え撃つ。勿論防寒は対処済み、分身達が囮になり、魔法班は炎のジャブを撃ちながら包囲する。火力を上げて冷気をどんどん吐かせ、タイミングを見計らって一斉放水。氷の鎧ごと、地面に縛り付けた。フットワークを奪われた氷狼は、更に冷気を吐く、炎の魔力弾で挑発して、
「「「「斬首滝!」」」」
巨大な水の刃は、氷狼の直近で氷の刃になり、氷の鎧を真っ二つ。水よりも氷の方が殺傷能力は高いが、凍らせる為に魔力を割かなけれなならない。そこで、氷狼の冷気を利用して、最大の水の刃を氷の刃に進化させた。ゲームの時は、水系の大技がこれ程では無かったので、水の矢を氷の矢に変えて鎧を崩し、割れ目から炎系を撃ち込んで、もう少し苦労して鎧を破壊していた。
大きな傷を追った氷狼は1番弱いことを把握していたのか、一か八か、風太を狙って突進したが、ノーマルの矢が額を捉えゲームオーバー。トドメを差した風太は、何か能力を得た感覚があった。
魔物を倒すと、魔石等のアイテムをゲットしてその後は自由に使えるパターンと、トドメを差した者に自動的に能力が付加されるパターンがある。風太は、自分に使えない能力を貰っても仕方がないので、ガッカリしながら自分を鑑定した。
氷の大技ゲットして、水系統に適性がいので使えません。を、予測していたが、新しく得たスキルは『重力操作』重い物を軽くしたり、軽い物を重くしたり。自分を軽くすると、飛んだりする事は出来ないが、使い熟せばフワリと浮く程度は出来る。逆のメリットとしては、例えば斬首滝の水の刃に重力を追加して破壊力を増したり出来るだろう。どの程度ほパワーなのか、使い勝手はどうなのかは、使ってみてのお楽しみ。取り敢えず、防寒能力の高い毛皮を剥いで、爪と牙を回収した。残りを焼却処分して洞窟に戻った。
夕食を食べながら反省会。
「氷の魔物を氷でやっつけるなんて、凄い発想ね!」
七海が興奮気味に感心。
「あれ、攻略本で読んだんだよね、自力でクリアしたときは、炎系マックスでオートヒールとかフル装備、地雷敷き詰めて、葵に手伝ってもらってやっと倒したんだよね!」
「あぁ、アレ?画面がずっと真っ赤になって壊れたかと思った時の!」
「へぇ、二人でも出来るんだ?」
「うん、コントローラーが標準で2個付いていてね、ハブみたいなオプションで4人で出来るよ!斬首滝は出来ないけどね!」
反省はいつものように確認がほとんどで、ゲームの事とか、ここからのワープ先の事を話して、今後の計画を立てる。
「先ずは屋根を何とかしたいな!」
「雨の心配ないからさ、そんな慌て無くても良くない?」
風太は、夜の明るさが問題だと主張した。
「風太らしいね、見るだけにしちゃうから困るんじゃない?あたしは前からオーケーなんだから、その気になれば良いのに!」
「アーッ、陽菜、抜け駆け禁止だよ!ミイだって!」
「・・・ボクも。」
「ふぅ、そろそろ覚悟キメたら?」
「あっ、屋根無くても、だ大丈夫、もう、寝ようか。」
雲行きが怪しくなって風太は自室に逃げ込んだが、枕を持った4人の行く先も当たり前のように同じ部屋だった。
いつものようなスキンシップを期待していた風太だったが、
「ふぅはあんまり好きじゃ無いみたいだからさ、準備は私がするからね、開発の魔力注入だけはお願いしていい?」
疑問文だが、NOだとしても実質4対1、風太に拒否権は無い。
風太は連続で2巡受けてから攻守交代、
「これなら明るくても、あんまり見えないでしょ?」
本日トップバッターの七海は頭から毛布を被って魔力注入に必要な部分がなんとなく隠れる程度まで覆っていた。視線が届かないだけで、その中は魔力開発の準備が整っていると思うと、全裸の時より鼓動を速くした。
「じゃあ始めるね。」
毛布の裾からそっと手を入れる。直接目的地と思っていたが、薄い布地に阻まれた。
「いつも全裸で攻め過ぎだから引かれるのかと思って穿いて見たの。」
どうすべきか風太はフリーズ、氷狼の冷気よりも固まったかもしれない。
「自分で脱ぐよ。」
ゴソゴソと動くと、両方の太腿にひもの様な布地が引っ掛かるように残っていた。脱ぐ動作も、脱ぎかけの下着も、風太の理性に大打撃を与え、魔力コントロールが出来なくなってしまった。自分の暴走を抑えつつ何とか一人目続けて2回クリア。
「お願いします。」
毛布越しに美咲の声。腰を浮かした様子から、脱がさなけれはならないと、両手でトライ、無事成功?七海が自分で下ろした辺りまで下ろしたが、脱がしてしまったほうが落ち着くと考え、思い切った。
さて、新たな問題。脱がしてしまったソレ、どうしたら良い?視界にない方が良さそうだし、穿くときにすぐ見つかった方が良いし・・・、結局左手に握ったまま、開発に取り組んだ。動揺した状態での開発に少し慣れて、二人目をクリア。次に行こうとすると、
「お願い!」
毛布からニョキっと出た二本の華奢な脚はつま先を揃えてキレイに伸びていた。風太は何をお願いされたか直ぐには解らなかったが、我に返って、左手で握りしめた小さな布地を少し伸ばしてから、両足をくぐらせ、元の位置に戻して、ミッションクリア。
次は陽菜、後で穿かせる事を考えると、脱ぎ掛けがベター。横が紐になっていて、扱いづらい感じだったので下ろすのも最小限。動揺は最低限で、無事開発を終了。
元に戻そうと、再び毛布の中にてをいれた。ん?紐が解けてる?
「風太が解いたんだからね!」
なかなか上手くいかず、結局毛布捲ってしっかり見ながら結んでミッションクリア。
普段は2巡、8回でも疲労を感じる事の無い風太だが、動揺で余計な気を使ったせいかかなりバテていた。
「ふぅ、大丈夫?」
「あ、うん、平気。じゃあ始めるよ。」
風太は、さっさと脱がしてしまうのがドキドキから解放される近道と考え、座り直して毛布にグッと手を入れた、予想より奥まで、布地の手触りにはならず、柔らかく滑らかな曲線を括れまで辿ると毛布が捲れて、今の作業が必要なかったことに気付かされた。
「やっぱ恥ずいからね、待ってるうちに脱いじゃた。」
「早く言ってよ、またドキドキしちゃったよ。あ、自分で脱いだから穿かせなくても良いんだよね?」
「そういうルールなの?」
「なんとなくそう思った。」
「じゃあ、次から気を付けるわ!」
更に動揺した風太は、出力のブレを考慮して、魔力を思い切り絞ったつもりだったが、強めに出てしまったヒールに、強めに反応する葵。風太の制御能力は崩壊、葵を失神させてしまった。
「2回目はキャンセルだな。」
葵が被っていた毛布を普通に掛け直すと、枕元に小さな布地がふんわりと丸めてあった。風太は拾って少し伸ばしてみてから葵の両足を通して、所定の位置に落ち着かせた。
翌朝、葵の魔力開発を受けて目覚めた風太は、
「昨夜はゴメン、一回目で・・・」
「大丈夫、元々私、魔力に困ってないからね!私だけ受けないと、皆んな気にするから。これからグローワー開発するから、効果あるか鑑定してね!」
結果はしっかり数値に現れた。昨夜から5時間も経っていないので、24時間で2回ではなく、日付でリセットすると思われる。
「じゃあ、あたしも!」
4人が2回ずつ風太を開発すると、攻守交代は無く、朝食を摂る。晩のうちに支度しておいた物で簡単に済ませた。
「あのね、昨夜はさ、僕には刺激が強すぎた、みたいでね・・・」
恐る恐る切り出すと、
「え?風太が見えるのヤダっていうから工夫したんだよ!ミイって親切でしょ?」
美咲はあきらかに、イタズラ成功の表情だった。
「意志が強いのか、気が弱いのか、昨夜もやっぱ現状維持ね。あたしの時でもあのテンションだったから、葵に期待してたんだけどな。」
いつの間にか、風太が居ない様な雰囲気で反省会。
「えっ?ボクだけ穿かせて貰って無いの?」
「今、おねだりしたら?丁度スカートだし。」
美咲は視線で風太を捉えながらニッコリ笑った。
100パー冗談かと苦笑いの風太だったが、七海は椅子を隣りに置いて、ちょっと恥ずかしそうな顔をすると、スカートに手を入れると、スルリとぱんつを下ろした。
「ふぅの気持ちが変らないみたいだからね、魔力開発は色々期待しないシチュエーションでしようって話してたんだよね・・・」
葵の説明によると、風太を開発するのは、朝自然に魔力注入しやすくなっているので、それを利用して、逆は日中都合のいい時に行うとのこと。
「開発以外を期待しない雰囲気でね、チャチャッとお願いね!」
今朝は七海だけが特別であとは先に脱いでいて、済んでから自分で穿いていた。




