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二度捨てられた白魔女は、もうのんびりワンコと暮らすことにしました ~え? ワンコが王子とか聞いてません~  作者: 吉高 花 (Hana)


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白い魔力4


「ああ、お陰様でね! しかもあなたのおかげだ。あなたは私の命の恩人なんだよ。で、ついでに魔力が白いというのがどういうことかもわかった気がする。たぶんだが」


「ええ……?」


 何もした記憶はないのに、なぜか命の恩人とまで言われて面食らうマルガレーテ。しかし王妃様はそんなマルガレーテを気にもとめずにひたすら語っていた。


「いやー、あなたが魔力を山ほど持っていてくれてほんっと助かった。もしこれで一般的な量しかなかったら、きっと間に合わなくて死なせてしまっていたと思う。それでもおそらくギリギリだったから、いやはやつまりはとても危なかった!」


 ふと見ると、王妃様の後ろでは王妃様の侍女のハンナがうんうんと激しく首をたてに振りながら時折ハンカチを目元に当てていた。ということは。


 あら私、本当に危なかったの……?


 たしかに今、マルガレーテの体にはあまり力が入らなくて、おそらくは今しゃっきりと立つことはできなそうだという気はした。なんというか、全身に力が入らないのだ。全身からっぽ。そんな気分。


 でも急に……なぜ……?


 顔中に?マークを浮かべているマルガレーテの顔を見て、王妃様が今度はゆっくりと説明をしてくれた。


「多分なんだけれどね。おそらくあなたの持つ白い魔力というものが、魔術を消せる魔力なんだと思う。あなたの手に触れた途端に大量の白い魔力が私に流れ込んできて、同時に今まで感じていたクソ重いものが消えていった。まああれが呪いなのだとしたら、だけどね。でもおそらくはそうだと思う」


「私、魔術を、消したんですか……?」


「消したというか吹っ飛ばしたというか。とにかく突然とんでもない魔力の動きを感じたからとっさにあなたの手を離したのだけれど、この様子だとあともう少しでも長く触れていたらあなたの命まで吸っていたと思う。本当に申し訳なかった。道理で白い魔力の子がすぐに死んでしまうわけだ。今回もあなたが目覚めてくれてよかった」


 と、しみじみと言う王妃様だった。


「あの……でも、それで王妃様がお元気になられたのなら私も良かったです」


「危うくあなたの命と引き換えにするところだったけどね! でもありがとう。私も嬉しいわ。久しぶりに体が軽くて楽しいったらない。でもこの償いはするから。ということで、まず一つ目はこれね」


 そう言って王妃様はにっこり笑うと、一つの金色の指輪を差し出した。


「指輪ですか……?」


 指輪と言えば、あの金髪の王子にもぎ取られた指輪の思い出が蘇る。どうもあれはあの王子との婚約の印となっていたようだった。

 思わずまた何か意味がある指輪なのかと困惑して王妃様を見ると。


「そう。これは、あなたが目覚めたらすぐさま渡そうと特注しておいた魔力制御用の魔道具だ。こういうのは普通は魔力を暴走させがちな子供に使うもので効果はそれほどでもないし安っぽいものばかりだから、うちの嫁に相応しいものを急いで特注した! ほーら綺麗でしょう? 超強力! 超丈夫! そして最高に豪華!」


 そう言って王妃様が見せたその指輪は、明らかに高そうな金属――おそらくは金――に大きなとても綺麗な青い石が鎮座し、そしてその他のところにも全て宝石がこれでもかとびっしりと埋め込まれているものだった。

 おそらくはものすごい高価な宝飾品である。もはや宝石を金で固めた塊とも言えそうな、それでいて上品に見えるところが素晴らしい芸術品だった。


「あの……?」


「せっかくだからあなたの髪と瞳の色の金に、クラウスの髪の色の濃紺のサファイアを入れて、他にももう少し華やかになるようにいろいろな宝石も入れてみたんだ。これをつけているあなたはどこからどう見てもうちの嫁ってわかるようにね。だからはい、つけてー」


 そう言って、ぽんとマルガレーテの手に指輪を乗せる王妃様。


「え……? でもこんな高価なものをいただけません」


「何言ってるの。もううちのクラウスと婚約しているんでしょう? 私、こんなに綺麗で可愛い素直な嫁が来てくれて嬉しいのよ。だからそんな嫁に最初のプレゼント。あ、どうせだから薬指のサイズを勝手に測って調整させたから、婚約指輪の代わりにつけておきなさい。そうすれば今回みたいなことは二度と起きないから!」


「……はい……」


 溌剌としゃっべりつづける王妃様に、マルガレーテはすっかり飲まれていた。それに、また今回のようなことが起こったら、きっとまた周りに迷惑をかけてしまう。それをこの指輪で防げるというなら、その方がいいのだろう。


 それに王妃様から賜るものを断るわけにも……。 

 

 なので、言われたとおりになんとか左手の薬指にそのやたらと高価そうな指輪をはめる。

 ずっしりとした見た目に反して、指輪はすうっとマルガレーテの指に馴染んで違和感も無くしっくりと収まった。


 それを見て、王妃様がまた嬉しそうに語る。


「ああいいね! とってもよく似合う。これでもう私や他の人にうっかり触れても大丈夫。あなたは今後、その指輪を絶対に外さないように気をつけて。指輪をつけない状態でまたとんでもなく呪われている状態の人にうっかり触れてしまったら、今度こそあなたの命の保証はないからね」


「とんでもなく……ですか?」

 

 とんでもなく呪われるって、なに?


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