プロローグ① 過去編
ちょうど、こんな雨の続く夜、僕はいつものように妹である、
智江と一緒に遊んでいた、
「おい!ガキ!ちょっとこっちに来い!」
まただ…またあの男に呼ばれる、もう嫌だ…
「…どうしたの?」
「そこ座れ、」
「え?」
「そこに座れって言ってんだよ!」
「…」
僕は殴られるのが嫌だから黙って座った
「なんで呼ばれたかわかるよな?」
「…え?」
わかるわけがない、なんで呼ばれたかなんてわかっていたら
僕はこいつに殴られないように必死に努力しているだろう。
「…ごめんなさい、わかりません…」
「あ?」
「…」
ダメだ、どう考えても理不尽に殴られる未来しか見えない
どうしていつもこの人は僕を殴ろうとするんだろう。
「まだ躾がちゃんとできていないようだなぁ!」
「ぐっ!」
痛い…でも…智江が殴られないんだったらなんでもいい
僕が殴られるだけで済むなら…
「やめてよ!お父さん!お兄ちゃんに乱暴しないで!」
あぁ…そうだよね…智江はどんな時でも僕を庇おうとしてくれるよね
庇ってもらわなくてもいいのに…どうしてなんだろう…
「どけ!智江!邪魔をするな!」
「どかない!どうしてお兄ちゃんにいつもひどいことするの!?」
「うるせぇ!」
「きゃっ…」
「智江!?……」
「お兄ちゃん…痛いよ…。」
「智江!大丈夫!?あんた…それでも僕たちの父さんなの?!」
「なんだ?文句でもあんのか、このガキ!」
「つっ…」
なんで?…どうしてなの?…智江は関係ないのにどうしてこいつは…
「…あれ?」
母さん…どうして…
「もうやめて!あなた…!」
「あぁ?!お前もそんな目で俺を見るのか!?
お前がこいつらの面倒を見ないからこいつらが反抗的になるんだろうが!」
違う…そうじゃない…母さんは何も悪くないじゃないか…
「そんな…わかりました、そんなに私たちのことを見るのも嫌なのであれば
私たちはここから出ていきます。」
だめだよ…母さん…そんなこと言っちゃったら…
「ざけんじゃねぇよ!誰のおかげで飯が食っていけてると思ってんだ!」
「稼げるから何?それが子供たちを殴っていい理由になるの?
違うでしょ?そうじゃない!あなたいったわよね子供が出来たら
一緒にちゃんと面倒を見てくれるって!それなのにあなたはこの子達を殴ることしかしないじゃない!ちょっとは父親らしいところをこの子達にみせてあげたらどうなの!?」
「俺の気持ちも知らないくせに勝手のことばっかり言ってんじゃねぇ!」
だからってどうして殴るの…僕には理解できないよ…
「やめて…」
「大体お前はいつもいつも俺に意見しやがって!」
「っ!」
「もうやめてよ!なんで母さんまで殴る必要があるんだよ!
おかしいだろ!」
「お前が何も言わずに俺の意見をしっかり読み取ってくれてたらこんな
ことにはなんねぇんだよ!」
意見ってなんだよ…小学生の僕に読み取る力があるなら最初からやってるよ
「…ごめんなさい」
「ふん!わかればいいんだよ!」
そう言ったあとにあいつがいなくなった
「ごめんなさい…僕のせいで母さんが…」
「圭のせいじゃないのよ…圭は何も悪くないの…大丈夫だから」
母さんはいつもそういって僕の頭を撫でてくれる、正直
それが一番悔しかった、