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消えた
昔、食糧を求める民衆に向かって、「パンが無ければケーキを食べればよいのよ」と言ったため、断頭台の露と消えた王族の女性がいた。
今、沢山の痩せこけた民衆が道の両脇に群がっている。
道の脇には餓死した人の遺体がそこかしこに積み上げられていた。
道に群がっている民衆は馬車に乗って通りかかった王族に向かって、口々に食べ物を恵んでくれるよう訴え手を伸ばす。
王族の女性が馬車の窓から民衆に向けて言い放つ。
「食べ物が無いのなら、そこに積まれている者達の肉を食べればよいじゃない」
結果、言い放った王族の女性と護衛の兵士達は民衆の腹の中に消えた。




