昔と今の物語

五体満足

昔高校生の頃、俺と友人５人は漫画で得た知識だけで無謀にも雪山登山に出かけた。

最初のうちは若さと体力に任せて雪深い山の奥深くに歩を進めたが、天候が悪化して吹雪になると疲れはてビバークする。

テントに籠り助けを待ったけど何時まで待っても助けが来ない。

食料が無くなり窮地に陥った俺達はジャンケンして負けた奴の身体を切り取り食料にする。

そうやって助けが来るのを待ち続けて1カ月後、捜索隊に発見され俺と手足を無くした友人等は救助された。

あれから１０数年経って遭難した山を訪れた俺は今、雪山登山に出かけようと言ったのもジャンケンしようと言ったのもお前なのに、何故？ お前だけが五体満足なのだと、食料になって死んだ友人２人の霊に責められている。