501話 ジレンマ
アメリカやヨーロッパでの黒人差別問題、日本ではどちらかって言うと対岸の火事。
しかし日本でも昔から民族差別の問題はあった。
ヘイトスピーチを叫ぶ民族主義者。
だか民族主義者がいくら叫んでも彼等は少数派だった。
裕福層の差別主義者は一定の数がいるだろう。
彼等は民族主義の政治結社に金を出すが声は上げない。
我が国で多数派の中流層の人たち、彼等の声は大きく主義主張を述べる手段を持ち影響力もあるが、中流層の人たちの中の差別主義者は少数派でいくら叫ぼうと他の中流層の人たちには浸透しない。
最下層の貧困層、彼等は差別対象者達がいなくなればそいつ等の仕事に自分達がつけるかも知れないと、民族主義者に声援を送るが他の層に影響する事が無くその手段も持たない。
だが新型肺炎の影響で失業者が増え、多数派の中流層の人たちが次々と貧困層に落ちている今、民族主義者の人たちが叫ぶ差別に同調する人たちが増えるのでは無いだろうか?
彼等の声は大きく主義主張を他の中流層の人たちに広げる手段も持っているのだから。
まあもっとも、その事を喜んでいる民族主義の政治結社の人たちは別なジレンマに陥っているのだろう。
新型肺炎が蔓延し不要不急の外出の自粛を政府が要請している現在、民族差別を叫ぶデモを行えばそれこそ非国民呼ばわりされてしまうというジレンマに。




