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461話 赤白黄色
家は昔から貧乏だった。
実りの秋、田圃一面が黄金色になり稲刈りが行われる。
刈り取った米を金に換え借りた金を返すと、来年の刈り入れまで何とか持つ程度の米しか残らず、また借金する悪循環。
そんなもんだから、俺は1年中腹を空かせ山に登り食えるもんなら何でも食った。
ドングリ等の木の実、野草、キノコ、時には空腹に耐えきれず、赤、白、黄色、等の毒々しいヤバイキノコも口にした事も幾度もある。
当然、凄まじい下痢と吐き気を伴う胃痛になったり、身体が瘧のように震え身動き一つ出来なくなったり、幻覚や幻聴を見たり聞いたりしながらラリパッパッー状態で山の中を駆け回ったりしたもんだ。
そんな事を体験をしながら大人になったこともあり、その体験を生かして幻覚作用のあるキノコで金儲けに勤しんでいる。
生えてる赤白黄色のキノコをチョッピリ噛れば幻覚作用のあるキノコかどうか分かるからな。
今、幻覚や幻聴を見たり聞いたりしながらラリパッパッーになった男が、裸で山の中を駆け回っている。
それを熊や猪等の野性動物達が痛ましげな目で眺めていた。




