456話 晒し者
昔、大学生の頃からストレス解消のため電車で若い女の子の身体を撫で回した。
大学を卒業し一部上場の企業に就職して30年以上経っても、私のストレス解消方は変わらない。
女子高生らしい女の子の身体を撫で回していた手が突然捻りあげられ罵声を浴びる。
「女の子が嫌がっているのが分からないのか! 糞爺!」
大学生らしい若い男が私の腕を掴み捻あげていた。
男に腕を掴まれたまま電車から引きずり降ろされる。
駅員に引き渡される前に逃げなくては。
掴まれた腕を強引に振りほどいた私の脇腹に激痛が走り、全身が電流が流れたように痺れ意識を失った。
「クスクス」
カシャッ、カシャッ。
「ハハハハ、馬鹿だねー」
カシャッ、カシャッ。
今、私の耳に人の笑い声や話し声等が聞こえて来て意識を取り戻し、目を開ける。
私の前に沢山の人が群がり、スマホを向けて写真を撮っていた。
「な、何だ?」
動こうとしたがホームの柱に縛りつけられていて動けない。
「ど、どうなっているんだ?
お前ら写真を撮るのを止めろー!」
私が大声を上げたのに気がついた駅員が近寄って来て説明される。
「最近、法が改正されましてね。
貴方のような電車や駅構内で迷惑行為を行った人たちを警察に引き渡す前に、ホームで晒し者にする事が出来るようになったんです。
迷惑行為、否、犯罪を行った糞供を確保する為に私達駅員にはスタンガンの所持も許されました。
貴方はそこで一昼夜晒し者にされます。
そこで貴方が行った迷惑行為を反省してください」
駅員はそう言うと離れて行き、代わりに写真を撮ろうとする野次馬が群がって来た。




