表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
445/531

445話 リニアモーターカー


フト、10年程前に106歳で亡くなった祖父の事を思い出す。


祖父はJRを利用するとき駅に出入りする度に会釈していた。


私鉄を利用したときは会釈しないので、何故JRを利用したときだけ駅に会釈するのか昔子供の頃聞いた事がある。


祖父が教えてくれたのはこういう事だった。


祖父が生まれ育ったのは山奥で、大きな街に出て来ようとすると半日はかかる所だったらしい。


そんな村に高校なんてあるわけが無く、進学したのは県の中核都市にある高校。


そんな訳で祖父は16歳になったばかりの高校1年のときから襤褸アパートでの独り暮らしが始まった。


1年の秋、実家の稲刈りに駆り出され土曜の授業が終わってから帰省、日曜の朝早くから稲刈りを行ったあと家族に駅まで送ってもらい何とか最終電車に乗れる。


朝早く起きて行った稲刈りの疲れと、最終電車に乗れて安堵した所為で眠ってしまう。


身体を揺すられて目を覚ました祖父の耳に、「終点ですよ降りてください」と言う車掌の声がかかる。


乗り過ごしに気がつき、タクシー代も宿泊する金も無く真っ青な顔で立ち尽くす祖父、それに気がついたJRその頃は国鉄の職員さんが、これから祖父が降りる駅方面に向かう貨物列車に便乗できるように取り計らってくれて、無事にアパートに帰れたとの事。


だからその時の事を忘れ無いように、感謝の気持ちを込めてJRを利用するときは会釈するようにしているとの事だった。


何でその事を思い出したかと言うと。


新幹線の代わりにリニアモーターカーが全国を繋いでいる今。


鹿児島観光を終え自宅のある大阪で降りる筈だったのに熟睡してしまい、気がついたら終点の札幌にいたからだ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ