436話 射殺
僕は昔12~3歳の頃から密輸入した東の島国製の高級乗用車で、制限速度を無視してノロノロ走る奴等の車をブッチ切っていた。
ノロマ共の車は僕の車をバックミラーで視認すると脇に退くから良いんだけど、道路を横断する歩行者、こいつらが邪魔。
僕の車の前に飛び出してきた糞なんかは躊躇すること無く引き殺したけどね。
引き殺す事でそれなりの爽快感は得られるんだけど、車が傷つくんだよ。
密輸入した車だからその純正部品を取り寄せるのに時間がかかるんだ。
だから3代目独裁者になった僕は、僕がハンドルを握っている間は道路の横断を禁じる。
でもその命令を無視する奴が偶にいるんだ。
僕の目に映ったら躊躇する事無く引き殺し、そいつの家族は再教育収容所に送るけどね。
でも車が傷つく。
だから僕は僕がハンドルを握っている間の外出禁止令を出し、違反者を問答無用で射殺できるように道を見下ろすビルの屋上に狙撃兵を配置した。
今僕は車も人もいない無人の道路をフルスピードで走り抜ける。
あ! 犬?
横から突然飛び出てきた犬を弾き飛ばした衝撃でハンドル操作を誤り、車がスピンして道路脇の電柱に激突。
道路沿いに住む住人達は事故に気がついたが射殺される恐怖に脅え、聞こえてくる助けを求める悲鳴が段々小さくなるのを眺めている事しか出来なかった。




