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413話 無謀
「遊びましょ」
連休中、暇を持て余していた私の所に、保育園、小学校、中学校、高校と同じクラスだった幼馴染みが遊びにきた。
「遊ぶって、何をして遊ぶんだ?」
「山の向こうの温泉に行こうぜ」
「車で?」
「いやいや、高校生の時と同じく自転車でさ」
昔、高校生の時こいつと一緒にサイクリングに出掛けた事を思い出す
あの時は温泉に泊まる金など無く、温泉街の入り口で写真を撮り返ってきた。
「そうだな、行くか!」
無謀だった。
今の年金受領年齢は100歳、その年齢の人たちに比べられて若い若いと言われるが、俺達の年齢60代半ば。
自転車を押しながら山を登る俺達は、その事を嫌というほど痛感していた。




