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391話 涼を求めて。
昔子供の頃から俺は暑がりだった。
夏休みになるとエアコンの前に1日中居座る。
でも毎日エアコンの前に居座ると母親に電気代が嵩むから外で遊んでこいと家から追い出されるので、寒い程冷房が効いていた銀行やデパートやパチンコ屋を渡り歩いていた。
大人になっても暑がりなのは変わらず、少しでも涼しい所を求めて川沿いのアパートに入居している。
それでも暑い。
エアコンを1日中フル回転させていたいけど、悲しい程薄給の俺には無理。
ある晩俺は暑さに耐えかねてアパートの前の川に飛び込んだ。
今、1体の土左衛門がもっと早く実行してれば良かったと思いながら、涼しい川の底に居座っていた。




