378話 歯止め
昔小学校低学年の頃、両親が相次いで病死する。
両親以外に身寄りが無く孤児になった私を、子供がいなかった父の友人の小父さん夫婦が引き取ってくれた。
この家に来た直後くらいから私は隣の家の同じ歳の奴に虐められるようになる。
それは高校を卒業し東京の大学に進学するまで続いた。
大学を卒業し都内の会社に就職。
これで義理の両親に恩返しが出来ると思った矢先に、義理の両親が乗っていたタクシーが事故を起こし2人共亡くなる。
葬式を執り行い家で義理の両親の遺品を整理していたら、隣の家の彼奴が断りも無く土足で家に押し入って来た。
だから所持していたスタンガンで失神させ、地下室に猿ぐつわを噛ませ縛り上げて監禁。
目を覚まして猿ぐつわ越しに「ウーウー」唸り暴れる奴の髪を鷲掴みにし、動かないようにしてから語りかける。
「お前は私が逆らわないからと執拗に虐めた。
逆らわなかったのはお前が怖かったからでは無い。
お前を殴り怪我を負わせたら、私を引き取り育ててくれた両親に迷惑を掛けると思ったから逆らわなかっただけだ。
両親が亡くなった今、私を抑える者はいない。
覚悟するんだな」
そう言い捨てて私はナイフを握りしめた。




