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知らぬが仏
町の海水浴場は首都圏に近い事もあり昔から沢山の海水浴客が押し寄せる。
芋を洗うと言う言葉がぴったりする程に。
海沿いの砂浜にはその押し寄せる海水浴客が落とす金を目当てに、町の人間は絶対に利用しない町の人たちや町営の海の家が建ち並び、沢山の海水浴客が食事をしている。
今も顔に笑みを浮かべた子供たちとその父親が海の家に入って行く。
それを見ながら防波堤沿いの町営駐車場の誘導員の男が呟いた。
「こんな大腸菌まみれの海で遊んだ直後によく物が食えるな。
ま、知らぬが仏って奴か」




