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混ぜるな!
昔、戦国時代、家の御先祖様はある豪族の被官だったが、その豪族の隙を突き下克上を行う。
都の寺に入れられていた子供1人を除きその豪族の一族を皆殺しにした。
館に火が掛けられたとき燃え盛る炎の中から、「呪ってやる! お前の血を引く者を呪ってやるからな!」と言う怨みの籠った声が周辺に響き渡ったらしい。
御先祖様はその後徳川家の傘下に収まり旗本になった。
しかし一族の者は男女を問わず皆、血塗れで炎を纏った武者が睨んでいると叫びながら40代前半で狂い死にする。
父が亡くなり一族の血を引くのは私だけになった。
私も呪いによって皆と同じく40代前半で死ぬのだろうが、私の代で呪いを断ち切るためある女性をさがしだす。
今、血塗れで炎を纏った怨霊が呪うべき相手を見て地団駄を踏んで悔しがっている。
呪うべき相手の呪い殺した先代が自分の伴侶に、一族の者を呪い殺した怨霊のただ1人生き残った坊主の子孫の女性を娶り、血を混ぜ合わせたからだった。




